映画「母―小林多喜二の母の物語」2月の劇場公開前に完成試写会

2017年1月13日23時19分 記者 : 守田早生里 印刷
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小林多喜二の母セキ役を寺島しのぶさんが演じる。完成試写会初日、多喜二役の塩谷瞬さんが会場に姿を見せた。

三浦綾子原作の映画「母―小林多喜二の母の物語」が13日、待望の完成試写会を迎えた。来月の劇場公開を前に、完成した同作を鑑賞したのは、製作に関わった関係者、報道関係者など約50人。会場となった「なかの小劇場」には、時間前から続々と会場入りする関係者らの姿が見られた。

今回の完成試写会は、関係者のみの限定公開であったが、劇場の前にポスターが貼られると、「当日券はありますか?」などと声を掛ける一般客もあり、関心の高さが伺えた。

上演に先立ち、あいさつに立った山田火砂子監督は、「多喜二が無惨な死を遂げたあの時代に絶対に逆戻りしてはいけない。戦争に負けるまで、女をバカにしてきたあの時代。『幼い日には父に従え 妻は夫に従え 老いては子に従え』と教えを受けたあの時代。女性は学校にすら行かせてもらえなかった」と女性の権利を訴えた。

また、13歳の時に終戦を迎えたという山田監督は、「戦争は絶対にしてはいけない。あんな思いをするのは、もうたくさんです。そのためにも、女性が手と手を取って、戦争が起きないようにしていかなければならないと思うのです。そんなことを少しでも、この映画を通して伝えたかった」と非戦への強い思いを語った。

昨年秋、本格的な撮影が始まった同作だが、撮影期間に体調を崩したという山田監督は、「今回の撮影は、体力的にも非常に厳しかった。しかし、主演の寺島しのぶさんをはじめ、キャストの皆さん、製作関係者の皆さんが非常によく頑張ってくださった。また、ボランティアの方々も含めて、皆さんのご支援があってこそ、映画を完成させることができた。感謝しています」と話した。

映画「母―小林多喜二の母の物語」2月の劇場公開前に完成試写会
あいさつする山田火砂子監督。「宗教色を濃くしないように配慮してるけど、結構難しいのよ」と話した。

映画は、寺島しのぶさん演じる小林多喜二の母セキの物語。貧しいながらも子どもたちに愛を注ぎ、信念を貫くセキの姿は、昔も今も変わらぬ母の姿を表しているようだった。ラストシーンは、教会での牧師とセキの対話から、イエスの愛と赦(ゆる)しを伝えている。

多喜二を演じたのは俳優の塩谷瞬さん。映画鑑賞後、本紙のインタビューに応じ、「私は、多喜二のファンの1人でもある。今回、この役を演じさせてもらい、大変光栄に思っている。今日初めて完成作品を見たが、ただただ感無量。最初から泣きっぱなしだった。多喜二は貧しい家庭に育ったが、母の愛があったからこそ生きてこられた。自分にも貧しい子ども時代があった。どこか通じるところがあって、ますます多喜二が好きになった。この映画は、決して簡単ではなかった多喜二の人生の中で、彼の生きる覚悟を感じることができる作品だと思う。今の時代、失われつつあるものがこの作品には詰まっていると思う。自分は表現者として、それを伝えていかなければならないと感じた」と話した。

「今の時代、失われつつあるものとは?」と尋ねると、「『愛』と『命の尊さ』ですね」と答えた。

映画「母―小林多喜二の母の物語」2月の劇場公開前に完成試写会
会場に姿を見せた塩谷瞬さん。カメラを向けると「初めから泣きっぱなしでした。泣き顔でごめんなさい」と話した。

また、多喜二の作家仲間、宮本百合子役で登場するゴスペル落語でも有名な露のききょうさんも、試写会に参加。「女優としても、クリスチャンとしても、この作品に出演できたことは、大変うれしく思っている。ゴスペル落語も、押しつけではないゆるやかな伝道を目的にしている。だから、ノンクリスチャンの方にも受け入れられているのではないかと思う。この映画も同じように、押しつけるのではなく、家族の愛、母の愛、そしてイエス様の愛を静かに伝えているように思う。誰かの人生に『寄り添う』ってこういうことなのですね」と話した。

2月10日には、大江戸博物館大ホールで完成舞台あいさつも行われる予定。映画館での上映に加え、全国各所で自主上映をする会場が続々と決定している。

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