化学薬品メーカー「旭化学工業」(大阪市淀川区)の福井事業所(福井県坂井市三国町)で8日未明、作業員の斉藤豊和さん(39)=坂井市三国町=が意識がない状態で倒れているのが見つかった。斉藤さんは病院へ運ばれたが、約1時間後に死亡した。斉藤さんは当時、有毒の硫化水素ガスを取り出す作業をしており、誤って硫化水素ガスを吸引した可能性があるという。朝日新聞などが伝えた。
同紙や中日新聞によると、斉藤さんは当時、塗料などに使う化学薬品を製造する第1工場におり、めっき用添加剤を製造する工程で、タンク内から硫化水素ガスを真空ポンプで除去し液状化する作業をしていたという。
別の場所にいた50代の男性作業員が異臭に気付き、斉藤さんが倒れているのを見つけた。共同通信によると、現場は工場の3階。通報は8日午前3時ごろで、斉藤さんが倒れているのを見つけた男性は、救助時に階段で転倒し、顔を打つ軽傷を負ったという。
テレビ朝日によると、工場内には当時、ガスが充満しており、斉藤さんは防毒マスクを付けていなかった。中日新聞によると、旭化学工業の社内規定では防毒マスクの着用が定められていたという。
旭化学工業は1932年創業。本社は大阪市にあり、大阪市と坂井市に工場がある。坂井市には研究開発部門も置かれている。