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【特集】韓国キリスト教とイスラムの衝突(12) 全浩鎭牧師

2008年4月7日21時34分
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全浩鎭牧師+
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欧州と韓国で広がるイスラム恐怖症



 昨年のアフガン事件の際、韓国のムスリムはマスメディアを通じて、イスラムは平和と愛と寛容の宗教だと力説し、イスラムのイメージ回復に努めた。それが功を奏したのか、韓国のマスメディアではイスラムに対する否定的な報道はほとんどないと言う。小中高の社会教科書でも、イスラムに対する否定的な説明はすべて除去された。



 しかし現実はそうではない。欧州、アメリカ、韓国では、イスラム恐怖症(Islamophobia)か蔓延している。韓国教会も最近、イスラムに対する不安感を持ち始めた。先日ジュネーブで開かれたダボス会議では、欧州での「文化衝突」について深刻に議論が行われ、欧州の多くの人々がイスラムに対して不安感を持つという研究結果が発表された。ドイツの週刊誌デア・シュピーゲル(Der Spiegel 4/2008)は、「欧州で文化戦争が始まったのか」というタイトルで欧州とイスラムの関係を取り上げた。結論は、対話では有益な結論は出ず、衝突が不可避だというのだ。



 欧州の人々は、イスラムを欧州文化のアイデンティティに対する脅威だと考える。特に、イスラム国家から来る多くの移民に対して不安感を持っている。その理由は、欧州文化がイスラムに圧倒されて崩れるのではないかと憂慮するからだ。中には、ムスリムは劣等生の群れ、爆弾を持っている者たち、無知な人々などと過剰に非難する人々もいる。



 特に、イスラムやムハンマドを皮肉った風刺画に対して、暴力で抗議するような姿勢に不安を抱いている人々が多いようだ。風刺画家たちが殺害の危険に晒される中、このような葛藤はさらに増大している。



 一方、中東のイスラム諸国は、西洋の人々がイスラムに対して多くの偏見を持っていると非難する。ここに価値観の衝突が起きている。イスラム社会は、西欧社会とキリスト教が批判を通して発展してきた事実を全く理解しようとしない。批判はすなわちアラーへの挑戦だと思ってしまうからだ。.



 韓国もテロを警戒する国になった。2000年初めにイスラム過激派の団体が韓国の11の都市に支部を設置してテロを試みたが、2004年に韓国警察がこれらを検挙し、4人を国外へ強制退去させる事件があった。さらには現在も、タリバンの大物指導者が韓国で張り込みを続けているのではないかとの噂が広がっている。韓国には約10万人の外国人ムスリムがいるが、イスラムのテロ団体が韓国を資金洗浄の基地として利用しているとの噂もある。



 韓国教会がイスラム勢力を懸念する理由は、次に挙げる幾つかの事件でもわかる。先日、英国ある弁護士がイスラムを批判するセミナーを開いた。もちろん非公開だったが、韓国へ留学に来ているムスリムの学生ら20人余りが突然会場を訪れてセミナーに参加しようとした。主催側が説得し、その日は学生らに帰ってもらったが、ムスリムは韓国で反イスラム活動を見張り、情報を収集しているようだ。



 韓国の多くの教会は外国人労動者を助けている。教会は彼らのために集会場所と奉仕者を提供し、日曜日には昼食ももてなす。ムスリムは、教会の礼拝に出席し、洗礼まで受ける。そして多くのムスリムの青年は、親切にしてくれた教会の女性と結婚する。問題は、結婚後に再びモスクに戻り、イスラム式で結婚宣誓をしなければならないと強要することだ。



 あるムスリムは帰国の際、親切を尽くした牧師に次のような挨拶をしたと言うのだ。「牧師様、この度は親切にしていただきありがとうございます。またすぐ韓国に帰って来ます。その時はイスラム宣教師として、韓国教会で学んだ親切をそのまま行います」と。その牧師は大きな衝撃を受けてしまった。




【全浩鎭 (ジョン・ホジン)】 1940年、大阪生まれ。韓国・高神大学、同大学院卒業、米国・ウェストミンスター神学校神学修士課程修了、米国・フラー神学大学宣教学博士課程修了、英国国立ウェールズ大学哲学博士課程修了。その後、高神大学学長、平澤大学学長、亜細亜連合神学大学大学院院長、トーチ・トリニティー神学大学院教授などを歴任。現在は、イスラエル及びイスラムネットワーク会長、韓半島国際大学教授。著書に、「宣教学」(85年)、「宗教多元主義と他宗教宣教戦略」(92年)、「アジア・キリスト教とミッション」(95年)、「人種葛藤時代と未伝道種族ミッション」(00年)、「イスラム―宗教家イデオロギーか」(02年)、「文明衝突時代のミッション」(03年)、「転換点に立つ中東とイスラム」(05年)(いずれも韓国語)などがある。

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