受難週と復活「互いに愛し合う教会」の誕生物語(10)正直に語らずには伝えられない 森正行

2016年5月2日20時44分 コラムニスト : 森正行 印刷
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正直に語らずには伝えられない

互いに優劣を競い争い合ったキリストの弟子たちが、「互いに愛し合う」関係を築くために、神は、イエス・キリストが十字架にかかられる受難の一週間と、その後のキリストの復活の期間を用い、彼らの関係性を劇的に変えていかれ、初代の教会が誕生していきました。

この度も、その軌跡を追っていきましょう。これは、今日、私たちの人間関係にも深く関わっていくことだからです。

前回の続きです。

「わたしたちの間に成就された出来事を、最初から親しく見た人々であって、御言に仕えた人々が伝えたとおり物語に書き連ねようと、多くの人が手を着けました」(ルカ1:1、2、口語訳)

ペテロが「イエスを知らない」と言ってしまったことは、彼にとっては当初「恥ずかしい。人に知られたくない。隠していたい」と強く思ったことでしょう。そして、隠すために心に大きな壁を築いたのではないでしょうか。

けれどもペテロは、イエスの大きく深い愛に触れ、彼の心に満ちました。大きな慰めと励ましを受け、大きな希望まで新たに生まれました。イエスの愛が彼の人生観を大きく変えてしまいました。

そのようなイエスの大きく深い愛は、今まで知らなかっただけに、知ってしまった驚きと喜びは隠すことができなくなりました。

「イエスの愛を伝えたい。これは私だけではなくて、全ての人に注がれている愛だ」。けれども、このことを分かりやすく、身近に伝えるためにはどうすればよいのでしょうか。

あの3度「知らない」と言ってしまった出来事を語らずして、キリストの愛は語れませんでした。

「知らない」と言ってしまったことは「恥ずかしい。人に知られたくない。隠していたい」と強く思い、隠すために心の中に大きな壁を築いていました。

しかし、キリストの大きな愛に触れ、「この愛を伝えたい」という思いに心が溢れたとき、この固く大きな壁は崩れ去っていました。

人生のどん底から救われた体験は、どん底を語らずして伝えることはできません。人生のどん底に落ちても、その底にまである神の愛を伝えるために、自分のどん底の体験を正直に語り始めました。

恥ずかしさや恐れは消え、支配されなくなりました。キリストの愛が消したのです。

「愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します」(Ⅰヨハネ4:18)

そして自由を得ました。自分がどんなに愚かでも、神の愛は注がれていたという「真理」が、ペテロに自由を与えたのです。

「真理はあなたがたを自由にします」(ヨハネ8:32)

ペテロはいろいろな所で何度も何度も語り続けました。ある時はマタイが聞きました。ある時はマルコも、そしてルカもヨハネも聞きました。だから、四つの福音書にこの物語が記されました。

ですから福音書とは、弟子たちが自分たちの本当の姿を正直に語り合った記録でもあったのです。彼らの人間関係が、ありのままのお互いを受け入れ合う関係に変えられていったことと思われます。

私たちの受けた痛みは、神様に用いていただけるのです。

【祈り】 神様、弱さや失敗を体験してきた私をささげます。人々の救いのために用いてください。

【関連聖書箇所】ルカの福音書22章54~62節

彼らはイエスを捕らえ、引いて行って、大祭司の家に連れて来た。ペテロは、遠く離れてついて行った。

彼らは中庭の真ん中に火をたいて、みなすわり込んだので、ペテロも中に混じって腰をおろした。

すると、女中が、火あかりの中にペテロのすわっているのを見つけ、まじまじと見て言った。「この人も、イエスといっしょにいました。」

ところが、ペテロはそれを打ち消して、「いいえ、私はあの人を知りません」と言った。

しばらくして、ほかの男が彼を見て、「あなたも、彼らの仲間だ」と言った。しかし、ペテロは、「いや、違います」と言った。

それから一時間ほどたつと、また別の男が、「確かにこの人も彼といっしょだった。この人もガリラヤ人だから」と言い張った。

しかしペテロは、「あなたの言うことは私にはわかりません」と言った。それといっしょに、彼がまだ言い終えないうちに、鶏が鳴いた。

主が振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、「きょう、鶏が鳴くまでに、あなたは、三度わたしを知らないと言う」と言われた主のおことばを思い出した。

彼は、外に出て、激しく泣いた。

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森正行

森正行(もり・まさゆき)

1961年兵庫県西宮市出身。建設専門学校卒。不動産会社、構造建築事務所にて土木・建築構造設計部門を5年間勤務。1985年受洗。関西聖書神学校卒。岡山・岡南教会にて伝道師・副牧師3年間奉仕。1995年より現在、日本イエス・キリスト教団宮崎希望教会牧師。

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