この人に聞く(4)五十嵐やす子板橋区議会議員 「平和をつくるものは幸い」が私の原点

2016年4月29日15時23分 印刷
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「自分の賜物を生かしたい」と話す五十嵐やす子板橋区議会議員

渋谷駅前で開かれた平和集会

3月20日、ここは東京のど真ん中。大勢の人々が行き交う渋谷の街で、声高らかに平和を訴える歌声が響き渡った。

さまざまな政党や団体が加わって参加者の数もどんどんと増えていく。時代を象徴する「平和集会」である。それを取り囲む警察官、マスコミ。周辺は騒然としていた。

しかしながら、都会の騒音をかき消すかのごとく、美しい歌声とオーケストラが始まると、不思議と聞き入る人々が足を止めて集まってくる。正確な数は公表されていないが、500人近い人が集まった。

参加者は、警察がロープを張る輪の中で傍聴するのだが、ある男性は「なんとしても平和な世の中であってほしいから」とインタビューに応える。20代の女性は「戦争が起きる世の中に生きたくない」と語る。参加している団体関係者も「目的は平和を守るため、ただそれだけです」と話す。

通りすがりでロープの外から眺めていた若者に尋ねると、「ここにこんなに人が集まっているのは初めて見た」と驚いている様子だった。どんな年代にとっても、平和を守ることは他人事ではなくなってきている。

この日、クリスチャンで平和や脱原発を訴え続ける五十嵐やす子板橋区議会議員(板橋・生活者ネットワーク)に話を聞いた。

この人に聞く(4)五十嵐やす子板橋区議会議員 「平和をつくるものは幸い」が私の原点
大勢の参加者の前で平和について力強く語る五十嵐氏=東京都渋谷駅前ハチ公広場で

区議になるまでの道のり

五十嵐氏に、区議会議員になるまでのエピソードを聞いた。子育てで苦労した経験やベビーシッター業を通して学んだこと、銀行に勤務し営業の仕事に従事しながら年金担当となり、高齢者や障がい者と接する機会が増えたことで、その大変さを肌で感じることができたという。

当時は母親の看病もあり、この先どうしていこうか考えた矢先に、心配をしていた母親の体調が回復したことで「何か自分の中に介護や高齢者への思いがひっかかっていたのです」と語る。そのような中で、議員(ネットワークでは代理人)にならないかと声が掛かった。

代理人運動はもともと、生活クラブから始まった運動で、生活者の声を議会へ届ける「代理人制度」を導入して活動している。立場は市議、区議と同じで公職選挙法で選ばれた公人となる。このネットワークには国会議員はいない。ローカルパーティーとして練馬区から始まった。五十嵐氏の説明によれば、職業ではなく活動という意識で取り組んでいるという。使命感を持たないとなかなか務まらない世界なのかもしれない。

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「フィンランディア 平和への歌声」に参加する五十嵐氏。大都会の中で平和の歌が響き渡る。

実際に区議にならないかと勧められたものの、何も分からず、どうしたらよいのか悩んだ。通っている教会の牧師に相談したところ「どうして賜物(タラント)を生かさないのか」と言われた。その時は本当にドキっとしたが、簡単には受け入れられなかったという。

ところが不思議なことに、水曜礼拝で教会主事から「自分の賜物を生かす」というメッセージを聞き、「またこの話だ!」と驚いたという。2度あることは3度あるではないが、日曜日、伝道集会で初めて会う説教者から「賜物を生かす」との聖書の言葉を聞いた。五十嵐氏は「これは私に神様が語られているのだ」と本当に驚きつつも「これは受け入れるしかない。お受けします! 何をしたらいいのか分かりませんが、神様どうぞよろしくお願いします」と意志が固まった。

こうして区議になることを決意し、広い板橋区を自転車で懸命に走りながら、地元の声を丁寧に聞いて回ったという。聖書の言葉から議員としての活動を始めたという素晴らしい証しだ。

選挙目前の3月に東日本大震災が発生。続けざまに東電の福島第一原発事故が起きる。もともと、チェルノブイリ原発事故の問題に関心があった五十嵐氏だが、子どもを守る、人の命を守るために当選後すぐに放射能問題に着手。行政と当初は温度差があったそうだが、熱心な働き掛けにより、少しずつではあるが区民の不安を解消できるようになってきた。

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MIDDLEs(戦争法制に反対するミドルズ)、ママの会、ミナセン(みんなで選挙)、野党共闘(国会議員参加)学者の会などが集結した。多くのマスコミも加わり、関心の高さがうかがえた。

不思議な導きを通じてクリスチャンに

「子どもの幼稚園探しでいろいろと苦労しました」。幾つも幼稚園を回ったが、子どものなじめるところがなかなか見つからなかったという。しかし、ふと立ち寄った教会附属の幼稚園では、子どもが不思議と嫌がることなくなじんでくれた。「あっ、ここに通わせたい」。これが、教会につながった最初のきっかけだった。五十嵐氏は歌が大好きでグレース・アンサンブルという聖歌隊を通し、教会や信仰の世界へ導かれていくこととなる。

そんな五十嵐氏だが洗礼(バプテスマ)を受けようと決心した夜、さまざまな心の重荷から自然と解放されたのだろうか、不思議と涙が出て止まらなかったという。「思い立ったら即行動する性格」と自分でも言うように、翌日には夫に「教会へ通いたい。バプテスマを受けたい」と相談した。夫は反対することなく受け入れてくれたという。牧師に相談をしてバプテスマを受けるための学びをし、8月8日に受洗の恵みにあずかった。

いろいろなつらいことがあっても、ママさん同士の関係でつまずいても、信仰により救われたという。

「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます」(新約聖書 コリントの信徒への手紙一10章13節)

「この御言葉が今の私の全てです」と五十嵐氏。普段穏やかで優しい口調で話すが、自分の信じるものを伝えるときは、本当に力を込めて熱く語る。

「平和をつくる者は幸いです」(マタイ5:9)

「クリスチャンは平和を祈るだけではなく、実現するものでありたい」。五十嵐氏は、当たり前に暮らせることに感謝をしなければいけないと話す。おいしいものを食べ、こうして自由に歌も歌える幸せを味わえるのは、平和があってこそ。区議が平和を訴えてどうするのかと言われたこともある。「それでも平和なのです。平和は国に任せるだけではだめなのです」

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石神井川沿い 美しいサクラ並木がある(写真:五十嵐やす子氏提供)

祖母から引き継いだおいしい塩むすびへの思い

米どころでもある山形県に生まれた。好きな食べ物は祖母から引き継いだという塩むすびだ。「さっぱりした味のアゴ出し(トビウオ)のラーメンも好きですね」。やはり歌が大好きだという。

きれいな景色を見るとつい写真を撮ってしまう。携帯に収めた風景の写真を幾つか見せてくれた。美しいイチョウが輝く公園の写真に目がとまった。「板橋にある平和公園です」。この公園は母子像がシンボルで、カルガモが羽を休める池は、上から見ると「へいわ」の文字にかたどられている。広島と長崎の原爆被害を追悼するモニュメントもある。

隣人愛の精神を忘れないでいたい

SNSを駆使し、さまざまな問題を問い掛けている。少しでも関心を持ってもらいたいという願いからだ。

性格について聞いてみた。「なんだろうなあ・・・やはり粘り強さや諦めない性格でしょうか」「発言してたたかれたら、逆に燃えてしまいますよ!」

「自分を犠牲にして本当に困っている人のために力になりたい」。この精神も、聖書がベースとなっている。「不思議なことに自分の事はできないのに人の事はできちゃう。隣人愛を大切にしたいですね」と笑顔で語ってくれた。

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平和の象徴である母子像=板橋区平和公園(写真:五十嵐やす子氏提供)

最後に板橋区の魅力について聞いてみた。石神井川沿いには有名なサクラの名所がある。目線で見られるので、本当にお勧めだという。板橋の街を歩いてみると、写真にあった平和公園やサクラの名所である石神井川沿いにも、至るところにモニュメントがあり、板橋全体で「平和を守りたい」と願う思いが溢れていることを感じる。

五十嵐氏は区議会で市民クラブという会派に属し、超党派でありながら「反原発 平和 弱者に光を」をモットーに活動している。クリスチャンの議員や活動家とも交流があり、平和のためのさまざまな取り組みに力を入れている。

子どもの未来のために自分の賜物を生かす、五十嵐氏のクリスチャンとしての祈りや使命感を通じて、地域から平和への思いが広がることを願ってやまない。

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