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宣教師C・L・ブラウンとその時代

宣教師C・L・ブラウンとその時代(12)―1922(大正11)年(7)

2012年4月27日16時54分
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第7節  奥地への旅

ミューレンバーク伝道地で6日間過ごした後、ブラウンはチャールズE・ブッシュマン牧師と共に伝道視察のために、11月14日、奥地に向けて旅立った。これはブラウンの最後の旅である。

その出発の模様が11月10日付の妻への最後の手紙に触れられているので、まずそこから紹介しておこう。

「今朝、私は墓地を通って、コーヒー農園を視察しました。適切な日々の生活が私の調査旅行を可能にしています。日曜日には川の両側に住むクリスチャンたちに話すことになっています。11月14日の月曜日の早朝は、奥地の伝道地に向かいます。そこは新たなる伝道が展開されるところです。この視察には一ケ月が必要です。そこに行くための道はありません。歩き続け、川を横切り、ハンモックで毎晩、寝なければなりません。この旅の最後に、二日間、宣教師たちとの会合を持ち、色々な問題を話し合う予定です。その後、ボートに乗って帰路に立つ予定です。今のところ、12月18日前後にモンロビアを発つ船を見つけようと思っています。

これが最後の手紙になるかどうか今のところ分りません。原始林のどこかで手紙を船便として送ることができれば、すぐにでも書くようにします。もし、私から翌月あるいは六週間経っても何の便りが届かなかったならば、私が帰宅の途に向かっていると思ってください。」

(In Memorial Charles Lafayette Brown,p90)

この手紙の末尾で「私から翌月あるいは六週間経っても何の便りが届かなかったならば、私が帰宅の途に向かっていると思ってください。」と書いているように、一ケ月後にモンゴリアを発ち、アメリカに帰国する自分の姿がブラウンの胸の中で、はっきりとした映像を結び始めていたことは確かであろう。
『ブラウン伝記』による奥地への旅の描写は、簡略なものであるが、その模様を十分に伝えているので、必要なところを摘出する。

「 奥地への旅の準備が整ったので、11月14日に出発した。旅行の日程も組まれ、宣教師会議議長であるチャールズE・ブッシュマン牧師がブラウンに同行することになった。最初に訪ねたのはコロジョ(Kolojo)である。そこは、ブッシュマン夫妻がウデイ(Wuodi)より移って来て、新たに切り開いた伝道地である。」(「In Memoriam C.L.Brown」)

ブラウンと同行することになったチャールズ・E・ブッシュマンは、一年前の10月29日にゲルトルード・ラップ(Gertrude Rupp)と結婚し、新たな気持ちで伝道への情熱に燃えていたと思われる。

「 この旅行において、リベリアの内陸部に広がる森林地帯を旅行するための用具であるハンモッグを使用することはブラウンにとって初めての経験であった。アロンゾ・トルクルの学校で教えてコロジョに行く途中の午後、彼らは土砂降りの雨に襲われ、午後5時30分に目的地についたとき、雨でずぶ濡れになった。コロジョで奥地にある他の拠点地とフランス国境近くにある新設の拠点地区への旅行計画を細かく練った。 」(「In Memoriam C.L.Brown」)

ブラウンがブッシュマンと共に奥地への伝道視察に旅立ったのは、雨季の終りである。リベリアでは雨期と乾期がはっきりしており、降雨の大部分が4月末から11月中旬に集中する。沿岸部の間雨量は年1,500ミリに達するが、内陸部になると2,000ミリに低下するところである。

「 コロジョで彼らは奥地に点在する伝道地とフランス国境近くに計画されている新たな伝道拠点を視察するための旅行日程を細かく検討した。ブラウンの日記の最終ページに次のような言葉が書き残されている。『コロジョに着くと、私は温かいお湯を浴びて、びしょ濡れの衣服を着替えた。朝食と昼食の食事として、チーズとパンをまず食べたが、さらに空腹であったので、ご飯、サケ、それにコーヒーを飲むことで、十分な食事をとることができた。ポーターが疲労困憊であったので、水曜日にコロジョを発つことが出来なかった。水曜日は、これからの旅行についてポーターとむだ話をすることで終わってしまった。近郊の農村の村長がご飯の食事を贈り物とし持ってきたが、食事をいただく前に、その中に何の毒も入っていないことを証明するために村長は自ら一さじすくって試食した。それを『魔女払い』と名付けていた。それに続いて、個人的観察を記した二つの短い段落の文章が最後に書かれ、日記はそこで終わっている。」(「In Memoriam C.L.Brown」)

この『ブラウン伝記』の記述に従うと、ブラウンはコロジョから約200キロ先にあるフランス領ギニア国境に接する新規の開拓伝道地への視察旅行を抱いていたことになる。
1922年10月に開催された北米一致ルーテル教会第3回総会の議事録とGorge Drach著『Our Church Abroad』に拠ると、その新規の伝道地は「ゾルゾール」(Zorzor)と「ズィギイダ」(Zigida)であると推測できる。
(続きは次週掲載予定)
(本文は「教会と宣教 第17号」日本福音ルーテル教会東教区-宣教ビジョンセンター紀要-2011年から転載しています)

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青田勇(あおた・いさむ)氏略歴
1975年   日本ルーテル神学校卒業 
日本福音ルーテル教会牧師
1992年   本教会事務局・広報室長
1995年   本教会事務局長〔総会書記〕

2009年   日本福音ルーテル教会副議長

*画像は日本福音ルーテル教会のロゴ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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