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榮義之牧師「天の虫けら」(9)・・・「ばあ」の最期

2007年5月30日09時59分
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榮義之牧師+
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 夏休みが終わるころ、六年目の患いに入っていた「ばあ」の様態が急変した。



 父はよく世話をしたと、今になって思う。自分のことが何一つできず、寝たきりの「ばあ」を、食事の世話から、掃除、洗濯、下の世話まで、細やかに愛情を注いで看護していた。



 私が父の家に来たころ、「ばあ」はまだ元気だった。当時「ばあ」は家事や仕事をしながら、いつも同じ歌を口ずさんでいた。哀愁を帯びたメロディに、何と寂しい歌だろうと思ったことを覚えている。




まぼろしの影を追いて うき世にさまよい
うつろう花にさそわれゆく 汝が身のはかなさ



春は軒の雨 秋は庭の露 母はなみだ乾くまなく 祈ると知らずや
おさなくて罪を知らず むねにまくらして
むずかりては手にゆられし むかしわすれしか



汝が母のたのむかみの みもとにはこずや
小鳥の巣にかえるごとく こころやすらかに



汝がためにいのる母の いつまで世にあらん
とわに悔ゆる日のこぬまに とく神にかえれ  (讃美歌五一〇番)




 このメロディーを『讃美歌』で見つけた時の驚きを分かってもらえるだろうか。知ったのはクリスチャンになってすぐだから、もう四十年以上も前になる。しかしそれからも私は、このことをだれにも話さなかった。



 「ばあ」の臨終の時がきた。兄はすでにクリスチャンであり、母の枕元で祈りを献げている。父も長年連れ添った愛妻の魂を神にゆだねるように祈っている。二人の祈りの中、「ばあ」は静かにその生涯を閉じた。



 相談の結果、葬式はハモンド先生にキリスト教式でしてもらうことにした。同時まだ大阪聖書学院の神学生だった池田牧師が、通訳を兼ねて式を進行してくれた。おそらく村では初めてのキリスト教式の葬列だったと思う。



 私が初めてキリスト教に正面から接したのは、まさにこの「ばあ」の葬式の時だった。そしてそれから一週間もしないうちに二学期がスタートすると、私はキリスト教会の礼拝 に出席していた。だから、私をまことの神に導いたのは、「ばあ」なのである。



 また池田牧師は、この最初の葬式がきっかけで、種子島伝道に導かれ、今日に至るまで四十年以上にわたって、愛と重荷をもって種子島に仕えておられる。最近ではそのビジョンはさらに広がり、リゾート的な老人ホームの建設や中国宣教までも計画しているという。そんな先生を種子島に導いたのも「ばあ」であると言っても過言ではない。こう書くことを池田牧師も許してくれると思う。



 父は若いころ、「ばあ」を神戸でキリスト教会に導き、自分も熱心なクリスチャンになった。しかし、船を降りてからは信仰から離れ、好き放題のことをしていた。そんな父を再びキリストに導いたのも、やはり「ばあ」の存在であった。



 「ばあ」は三十年も前に、自らの愛の結晶である唯一の男の子を、牧師として聖なる神に献げる決心をしたのを忘れたことはなかった。長女を二十歳で天に送り、次女は生後間もなく召された悲しみの中で、ただひたすらに沈黙の信仰を貫いた「ばあ」こそ、真の信仰者であったことを確信する。また、私を黙って引き取り、自分の子として育ててくれた愛は偉大である。



 「汝がためにいのる母の いつまで世にあらん とはに悔ゆる日のこぬまに とく神にかえれ 母はなみだ乾くまなく 祈ると知らずや」と、祈りに祈られた愛する息子、榮一仰牧師は、母が召される前に、大阪救霊会館で見事に救われたのである。そればかりではない。母の臨終の場に立ち、祈った時は、生涯を牧師として献げられた息子として、献身の誓いを新たにし、生駒聖書学院に入学することを決心していた。



(C)マルコーシュ・パブリケーション



◇



榮義之(さかえ・よしゆき)



 1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。



 このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。

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