12月1日の世界エイズデーを前に、国連エイズ合同計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が「エイズ報告書」を発表した。世界のエイズウイルス(HIV)感染者は4030万人に達し、2年間で300万人増えた。今年は新規感染者が500万人と増加を続ける一方、310万人がエイズで死亡した。
今年の死者数310万人のうち15歳以下の子どもは57万人。全感染者の半数近くが女性で、今年の感染者は半数以上が15〜24歳だった。
記者会見したピーター・ピオットUNAIDS事務局長によると、新たな感染者は今年、03年と比べて6.5%増加し、エイズ発見以来最多となった。読売新聞によると、ピオット事務局長は「世界は今もエイズの深刻な試練に直面している。現在行われているあらゆる努力も、エイズ蔓延の抑制にはまだ足りない」と指摘。今後5年間、世界各地でエイズの予防に関する知識を可能な限り多くの人々に伝え、可能な限り多くの感染者に治療と支援を差し伸べることに活動の重点を置くと表明した。
ほとんどの国で感染者が増加する中、ケニアやジンバブエ、ハイチなどでは患者数が減少している。ケニアのHIV感染率は、1990年代に10%だったが、200年には7%に低下した。ハイチでは今年に入り新規感染が報告されていない。
新規感染者のうち64%を占めるのはサハラ以南のアフリカ(ジンバブエ除く)で、平均30〜40%の感染率を記録した。
報告書では「コンドームの使用率が80%を超すまでになったことと、性交渉の相手を減らすなど、意識面に変化があったことが背景にある」としている。アフリカ南部諸国での感染率の相違について「女性の社会的な地位の違いが最も影響している」と説明している。
アジアでは、中国とインドでエイズ感染が拡大した。インドネシア、パキスタンも早急な対応が必要であるという。
中国は、麻薬注射と性産業従事者を通して感染が拡大し、南部の主要都市の性産業従事者のうち男性の5%がHIV陽性だった。女性の性産業従事者はエイズに関する十分な知識がなく、今後感染者が急増するだろうとしている。国民全体の感染率は1%を超え、特に男性の同性愛者は3%という結果となった。
インドでは、感染者が500万人に達し、さらに拡大している。妊娠した女性の1%が陽性で、親子感染によって感染者が爆発的に増加すると懸念されている。
日本では、男性の同性愛者が新規感染者の60%を占めているという。不特定の相手との性交渉に対する抵抗感が日本人の中で薄れつつあるとの指摘もあり、問題視されないことが大きな問題となっている。
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