Skip to main content
2026年2月7日07時44分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム

榮義之牧師「天の虫けら」(2)・・・星原中学

2007年4月27日09時43分
  • ツイート
印刷
榮義之牧師+
+

 私は、先生が赴任した年に、星原中学に入学した。本来なら西之表市古田中学が通学区だったが、偏屈者の父が私の知らない間に中種町の星原中学へ入学手続きをしていたのだ。その理由が奮っていた。古田は炭焼きを教えるから、星原へ行けと言う。そのころの古田中学では、図書費やクラブ活動費を捻出するため、生徒たちが炭を焼いてお金を作っていたからだ。しかし何のことはない。後から分かったことだが、漁港をもつ浜津脇から炭を船積みするので、星原の生徒も炭俵を担いで、古田と同じように費用を捻出していたのである。



 私には父の勧めを拒むことは出来なかったので、浜の中学まで片道八キロの山道を一人で通うようになった。人と話すのが苦手だから、孤独がうれしかった。山育ちの私が話をすれば、浜の子どもたちとアクセントが違うので笑われる。笑われても平気さと言うほど、勇気もなく、大胆でもなかった。そこで話す時は、できるだけ標準語を話すようにした。しかし、そうするとまた浮き上がってしまう。だから余計に人と話をしなくなった。ただ人生なにが幸いするかは、神様以外だれにも分からない。後に朝日放送でラジオ牧師をするようになった際、訛りが少なく感謝した。神の最善の御手を信頼したい。



 当時の星原中学には給食はなく、昼食は弁当だった。浜の子どものおかずは豪快だ。取れ取れの伊勢海老やアワビがある。トッピーなどは常のことだ。昼食時は、お互いに弁当を見せ合い、自慢会のようになる。私はそんな教室を一人そっと抜け出す。「榮、弁当食わんのか」と時折声もかかるが、無視して外へ出る。弁当は裏門の山の中に隠してある。いただきますと食べるのは、決まってサツマイモだけ。喉が詰まるが、飲み物もない。それでも何食わぬ顔で午後の教室に戻る。だれも何を食べたか聞かなかった。貧しさを知る島の少年たちには、それなりの仁義と思いやりがあった。



 今から考えると、ものすごくぜいたくな食生活だった。朝はみそ汁と野菜の煮つけにサツマイモ、昼もサツマイモ、夕食は時にはごはんもあるが、最高のごちそうが豆腐だ。白菜、人参、ごぼうにさや豆、ネギにニラにニンニクに、苦瓜、ヘチマにとうがん、ナスにキュウリ、カボチャにジャガイモに里芋、野菜は植えたらいくらでも実る。卵は産み立て、山羊の乳はしぼり立てだ。種子島だから新鮮な魚がいっぱいと思われるかもしれないが、貧しい家で買うことができない。肉も魚も中学生までは、ほとんど食べたことがなかった。



 通学は八キロの山道のほとんどを裸足で歩いた。新しい靴を買うことができないので、精一杯の知恵ですり減らないように工夫していたのだ。家での生活は石油ランプのため、ホヤを磨き芯を切るのが、毎日の仕事だった。学校が遅くなれば、磨く暇がなく薄暗い上に、もっとほの暗くなる。「読書の秋」や「灯火親しむ侯」などのことばとは縁もなかった。暗くなると寝る。必然的に夜明けとともに起きるから、朝が早くなる。自然のままで健康的な生活をしていた。



 貧しかったが、不思議に豊かさのある家だった。父は頑固者で、サツマイモばかりでも、人に知らせる必要はない、飢えても人の世話にはならないと自負していた。私はただ恥ずかしかったから、裏門の藪の中で一人ひっそりと食べただけだが。



 船乗りとして世界を見て来た父は、生活は貧しくても、豊かに生きていた。家の周りの土手には、四季折々の花が咲き、白百合の季節には純白に染まり、香りが満ちた。八キロの道のりを花束片手に、よく通ったものである。果物もミカン、キンカン、ボンタン(ざぼん)、柿に栗、桃や梨まであった。特にミカンはいつもたわわに実り、木に登れば食べ放題だった。



(C)マルコーシュ・パブリケーション



                                  ◇



 榮義之(さかえ・よしゆき)



 1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。



 このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。

  • ツイート

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(241)牧師と僧侶が共に関わる葬儀!? 広田信也

  • 英米の聖書販売部数、過去数十年で最高を記録 6年で倍増の勢い

  • 米ワシントンの教会、礼拝出席者が7年で20倍に 信仰に立ち返る若年・中堅世代たち

  • 牧師の3人に2人が説教準備にAIを利用 米調査

  • 衆院選での排外主義的ヘイトスピーチを懸念、日本キリスト教協議会がメッセージ

  • 仕事が人格・生活・人生に与える影響 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(2月7日):モザンビークのマヴィハ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(2月6日):インドネシア ミナンカバウ族―母系社会の絆とイスラムの要塞

  • ムラリー主教、第106代カンタベリー大主教に正式就任 1400年の歴史で初の女性

  • 隠れたマナ 穂森幸一

  • 米ワシントンの教会、礼拝出席者が7年で20倍に 信仰に立ち返る若年・中堅世代たち

  • 英米の聖書販売部数、過去数十年で最高を記録 6年で倍増の勢い

  • UFOと終末預言がテーマ クリスチャン映画「未確認」「収穫の終わり」が日本語字幕化

  • ムラリー主教、第106代カンタベリー大主教に正式就任 1400年の歴史で初の女性

  • AIに心を持たせることは可能なのか クリスチャンの東京科学大学名誉教授が解説

  • 牧師の3人に2人が説教準備にAIを利用 米調査

  • ワールドミッションレポート(1月31日):チベット イエスに出会ったチベット仏教僧―光の使者になる④

  • 韓国の合同捜査本部、「新天地」の本部などを家宅捜索 政界との癒着疑惑で

  • 衆院選での排外主義的ヘイトスピーチを懸念、日本キリスト教協議会がメッセージ

  • 衆院選で外国人敵視拡大に懸念、外キ協など11団体が共同声明「排外主義の扇動に反対」

  • 米ワシントンの教会、礼拝出席者が7年で20倍に 信仰に立ち返る若年・中堅世代たち

  • 英米の聖書販売部数、過去数十年で最高を記録 6年で倍増の勢い

  • AIに心を持たせることは可能なのか クリスチャンの東京科学大学名誉教授が解説

  • UFOと終末預言がテーマ クリスチャン映画「未確認」「収穫の終わり」が日本語字幕化

  • ワールドミッションレポート(1月31日):チベット イエスに出会ったチベット仏教僧―光の使者になる④

  • ムラリー主教、第106代カンタベリー大主教に正式就任 1400年の歴史で初の女性

  • 牧師の3人に2人が説教準備にAIを利用 米調査

  • 韓国の合同捜査本部、「新天地」の本部などを家宅捜索 政界との癒着疑惑で

  • 衆院選で外国人敵視拡大に懸念、外キ協など11団体が共同声明「排外主義の扇動に反対」

  • 衆院選での排外主義的ヘイトスピーチを懸念、日本キリスト教協議会がメッセージ

編集部のおすすめ

  • 世界最悪は北朝鮮、死者が最も多いのはナイジェリア 迫害国50カ国まとめた報告書発表

  • お薦めのボンヘッファー入門書3冊 映画を観て興味を持った人のために

  • 上智大学キリシタン文庫が初の貴重資料展、キリシタン版や大友宗麟書状など30点を公開

  • 給食で子どもたちに笑顔と教育の機会を 最貧国マラウイを支援する「せいぼじゃぱん」

  • 日本聖書協会が恒例のクリスマス礼拝、聖書普及事業150年を感謝しコンサートも

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • Threads
  • RSS
Copyright © 2002-2026 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.