一九九三年より二年間の準備期間を経て九五年に設立された日本バプテスト連盟宣教研究所(松見俊所長)。現在は専任スタッフ二人、事務局員一人、パートタイムスタッフ一人で活動している。同研究所は伝道者の継続教育と訓練、宣教論・宣教方策の研究、情報収集とネットワーク作りの三つの分野を中心に活動している。
同宣教研究所の松見所長によると、日本バプテスト連盟(バプ連盟)全体の流れとして、最近は開拓伝道が難しく、研究所開設以来「教会の充実」を提案してきたという。
バプ連盟宣教部がイニシアチブを取る青年伝道や、高齢化問題についても、研究所から助言や資料を提供している。特に、同宣教部、西南大学神学部、宣教研究所の三機関とは密なつながりを持ちながら、教会全体の宣教促進のために研究を重ねている。
昨年行われたバプテスト連盟の宣教会義では、これまでの基金体制から協力献金体制に移行することが話し合われ、組織のスリム化が図られることになったが、松見所長は研究所の現状体制維持を働きかけている。現在、バプ連盟は実務者委員会を組織し、構造改革に取り組んでいる。
他の宣教研究所と比べ、資料収集にとどまることなく、神学と現場(教会)を結び付けることに尽力していると松見所長は語った。
これからのバプ連盟のあり方としては、地方の教会で人を育てても都会に移ってしまうため、信徒をいかにつなぎとめていくかを課題として意識を高めていくという。
そのため、Uターン、Iターン現象を配慮しながら、若者たちが地元でどのような生活を送っていくかを教会が考慮して面倒を見なければならないのではないか、と語った。
教会形成については、どのようにして新しい人を教会にひきつけるかということを課題として、礼拝参加が五十人になるまでは温かい教会作りを、五十人から百人までは牧師がリーダーシップを取り、基本が整った教会は成長を続けているのではないか、と語った。
また、教会に明確なビジョンを定めると同時に、行政や管理も徹底させ、複数の牧師を配置するなど、信徒同士の衝突が生じたとき等の管理能力の差によって左右されるのではないか、と語った。
宣教研究所では、伝道者訓練のためにバプ連盟宣教部や諸神学校と連携しながら研修会を開催している。毎年六月には神学セミナー(定員四十人)を開催。一昨年からは「バプテストを問い直す」をテーマに全三回のシリーズで研修を行っている。
昨年からはバプ連盟内の地方連合に出て行き、教会形成についてのセミナーが行われるようになった。ここでは、地方の牧師たちを対象に教会形成について具体的な議論の場をもつ。今年は九月に中国・四国地方で行われる予定。
一月には、教会の現場で生じる問題にテーマを絞って研修会を開催する。昨年は「性と結婚」をテーマに研修が行われ、同性愛者の牧師や信徒、女性の牧師、結婚・非婚・離婚の問題になどについて発題があった。
二月末から三月にかけては、各地の神学校の新卒牧師を対象とした研修会を開催し、毎年十五から二十人が参加している。連盟事務所を会場として、一週間バプ連盟の歴史や教会初期の牧会の仕方を学習する。これは各神学校卒業者同士の交わりの場ともなる。
研修会のほか、牧師の個人研修を実施し、一日や一泊二日、二泊三日の日程で、牧会に出て実際にぶつかる問題を課題に研修を行う。昨年度はこれに十一人の参加があった。
このほか、各地の教会に出張して教会研修も行っている。
研究分野の活動として、これまで按主礼の問題や天皇制・神道、新興宗教やキリスト教に間違えやすい宗教などをテーマに研究してきた。
牧師の研修のニーズが高く、研究所の活動の比重もそちらにおかれているという。
同研究所では現在、研修で話し合われる議論と並行して、一九七〇年代に制定されたバプ連盟の礼拝式文の改定を研究中。
情報収集とネットワーク形成のための活動として、隔月発行のニュースレターがある。その中で、NCCを始めとする他団体とのかかわりなど、牧師個人では入手困難な情報を掲載。また、バプテスト連盟各委員会のニュースや諸教会のニュースを知らせている。
今後の活動として、研究部門を特に強化したいと松見所長は語った。牧師を対象とした研修会にニーズがあり、それにこたえるためにも資料と研究の充実を図りたいとのこと。
また、信徒訓練の要望も多く、これまでは神学校の夜間講座を薦めることが多かったが、将来的には信徒が訓練を受けて宣教の場に立てられていく体制を整え、一、二週間程度の基礎講座を開催することも一つの方向性として考えられている、と松見所長は語った。
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