バハマは、カリブ海と大西洋の境界に浮かぶ700以上の島々と2千以上の岩礁からなる島国であり、首都はナッソーだ。かつては先住民ルカヤン族が暮らしていたが、1492年のコロンブス上陸を契機にスペインの支配を受け、後に英領となる。1973年に独立を果たし、現在は英連邦王国の一員だ。美しいビーチや透明度の高い海は世界的に有名で、観光業とオフショア金融が経済の二本柱となっている。
観光業はGDPの約50%を占め、労働人口の半数以上を支えているが、その半面、観光によって刺激された物質主義が社会全体に深く根を下ろしている。高級リゾートやカジノの発展、外国人富裕層の流入により、消費主義と拝金主義が社会の価値観を大きく変化させた。その結果、道徳や倫理が低下し、非婚出産の増加、薬物乱用、武装強盗をはじめとする暴力犯罪の増加が深刻な問題となっている。
このような社会的混乱の背景には、国内の経済格差がある。高級リゾートや金融業で富を得る一部の富裕層と、低賃金労働に従事する大多数の国民との間には、大きな格差が存在する。
貧困層の中でも特に厳しい状況に置かれているのが、ハイチからの移民たちである。彼らは不法移民や難民としてバハマに渡り、劣悪な住環境で不安定な労働に従事している。教育や医療の機会も限られ、社会の最下層として差別や偏見にさらされている彼らの存在は、バハマ社会の不平等を象徴しているのだ。
このような状況の中、教会と信者たちは、バハマ社会の道徳的回復と社会的正義の実現のために祈る必要がある。政府が全ての社会階層に仕え、教育・医療・福祉の向上に真剣に取り組むことができるよう祈ろう。教会が愛と希望をもって困難な状況にある人々に寄り添い、福音を伝えることができるよう祈っていただきたい。
■ バハマの宗教人口
プロテスタント 70・5%
カトリック 14・4%
英国教会 13・7%
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