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喜べば喜び事が、喜んで喜び集めて喜びに来る 安食弘幸

2023年5月24日21時54分 コラムニスト : 安食弘幸
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喜べば喜び事が、喜んで喜び集めて喜びに来る 安食弘幸+

「嘆きの代わりに喜びの油を、憂いの心の代わりに賛美の外套(がいとう)を着けさせるために」(イザヤ61:3)

男性たちがゴルフをしていると、ゴルフ場のそばを火葬場へ向かう霊きゅう車が通りました。すると、プレーをしていた一人の男性が帽子を取り、その霊きゅう車に向かって深々と礼をし、哀悼の意を表しました。

一緒にプレーしていた人たちは感動して言いました。「あなたのように心の優しい人は初めてです。感服しました」。すると、その男は言いました。「いやー、40年も連れ添った妻ですから、これぐらいはしてやらないとネ」

何とこの男は、自分の奥さんの葬儀よりもゴルフの予定を優先させていたのです。表面的には優しく見えても、その実はとんでもない男といえるでしょう。

イエス・キリストの時代の宗教家たちも同様でした。表面的には宗教熱心で、信仰深そうに見えました。しかし、その実は独善的で偽善的で、自分たちの既得権を脅かすイエス・キリストを徹底的に攻撃したのです。そして宗教家たちは、イエスに対して度々論争を吹きかけてきたのです。

あるとき「断食についての論争」になりました。「彼らはイエスに言った。『ヨハネの弟子たちは、よく断食をしており、祈りもしています。また、パリサイ人の弟子たちも同じなのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています』」

恐らく、イエスの弟子になった取税人レビ(マタイ)が断食日に宴会を開き、そこにイエスや友人たちを招いたのでしょう。それは非常に楽しい雰囲気の宴会だったのでしょう。

パリサイ人たちが批判した理由は、断食をすることは極めて信仰的な行為であるのに対して、宴会を開いて楽しむことは世俗的な行為であると考えていたからです。

では、パリサイ人たちはいつ断食していたのでしょうか。旧約聖書が命じている断食の日はたった1日。第7月の10日(ユダヤ暦)の贖罪(しょくざい)の日だけです。

その後、バビロンの捕囚以後、ユダヤ人は自発的に年4回(4月、5月、7月、10月)の断食を付け加えるようになりました(ゼカリヤ8:19)。イエスの時代になると、パリサイ人たちは週に2回(月曜日と木曜日)断食をしていました。水さえ飲まない厳しい断食です。

先生は弟子の行動に責任を持っていたので、弟子たちが断食しないのは先生の責任とされたのです。イエスはパリサイ人たちの批判に対し、言われました。

「イエスは彼らに言われた。『花婿がいっしょにいるのに、花婿につき添う友だちに断食させることが、あなたがたにできますか。しかし、やがてその時が来て、花婿が取り去られたら、その日には彼らは断食します』」

人々が結婚の祝宴に行く目的は、新郎新婦を祝福し、その喜びを共にするためです。ユダヤ人の婚礼は通常7日間続きました。その間は断食すること、喪に服すこと、重労働などは禁じられていました。なぜならその期間は、皆が共に喜ぶ時だったからです。

同じように、花婿であるイエスが共におられる間は喜びの時ですから、断食することは必要ないのです。しかし「花婿が取り去られたら」つまり、イエスが十字架にかかって死なれたとき、弟子たちは悲しみのあまり食事も喉を通らないことになるのです。

そのイエスも、死んで葬られた後、3日目によみがえって今日、私たちと共におられるのです。従って、イエス・キリストを信じて共に歩む日々は「喜びの日々」「喜びの人生」なのです。

17世紀の宗教改革者たちは「人の人生の主な目的は神に栄光を帰し、とこしえに神を喜ぶことである」と言いました。神の恵みの支配の中で歩んでいる人は、喜びにあふれて歩みます。

しかし律法主義的な信仰では、喜びはありませんし、喜んでいる人を裁くのです。このことは、イエス・キリストが話されたルカ15章の例え話にも示されています。

弟は、お父さんに財産の分け前をもらうと、すぐに遠い国へ家出して、放蕩の限りを尽くして財産を使い果たしてしまいました。われに返った彼は、悔い改めて父の家に帰りました。父は彼を喜びをもって迎え、盛大なパーティーを開いたのです。

しかし彼の兄は、このパーティーが気に入りませんでした。兄の姿はパリサイ人(律法主義者)の姿です。彼は、父の大きな愛が理解できませんでした。なぜなら、兄の関心は自分の行いであり、父との豊かな関係ではなかったからです。

父は、弟息子が放蕩生活から悔い改めて帰って来たとき「死んでいたのが生き返って来たのだ。楽しんで喜ぶのは当然ではないか」と言いました。パウロはかつて私たちが「自分の罪過と罪との中に死んでいた者」(エペソ2:1)だったと言います。そして今、主イエス・キリストによって生き返ったのです。

だから、私たちは大いにお祝いし、喜ぶのです。「使徒の働き」を見るとき、初代教会の一つの大きな特徴は「喜び」でした。そして、それが初代教会の成長の原動力でした。

「そして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった」(使徒2:46、47)

初代教会には、主イエス・キリストにある喜びがあふれていたのです。その愛と喜びの交わりが多くの人々を引きつけたのです。

あるクリスチャンが職場の友人を教会に誘いました。そして、その友人も信仰を持ち、洗礼を受けたのです。洗礼式で、その友人は次のような証しをしました。

「昨年、私の人生に本当につらいことがありました。もう生きていけないと、死を考えることも度々ありました。そんなとき、職場の何人かの人が声をかけてくれました。『信仰を持てば救われるから』と言って、それぞれが信仰している宗教団体へ誘ってくれました。私も心の支えが欲しかったので、何かを信じたいと思いました」

「しかし、どの宗教、どの信仰にしようかと迷いました。そこで私は、誘ってくれた人たちをそれぞれ、それとなく観察することにしました。そして一番楽しそうに、一番うれしそうに仕事したり生活している人が信じている神様を、私も信じようと決めたのです」

「その結果、クリスチャンの友人が一番そうだったので教会に来ました。私の選択は間違っていませんでした。今、私は毎日うれしくてうれしくて仕方がありません」

もしかして、あなたも誰かに観察されているかもしれません。大丈夫ですか。

◇

安食弘幸

安食弘幸

(あんじき・ひろゆき)

峰町キリスト教会牧師。1951年、島根県出雲市に生まれる。関西学院大学社会学部卒。大学時代は硬式野球、関西六大学リーグのスラッガーとして活躍。関西聖書学院卒。セント・チャールズ大卒(哲学博士)。JTJ宣教神学校講師、国内外の教会や一般企業、ミッションスクール、病院、福祉施設などで講演活動を行っている。著書に『キリストを宣べ伝える―コリント人への手紙第二』『心の井戸を深く掘れ』『道徳力―モーセの十戒に学ぶ―』『ルツの選択、エステルの決断』など多数。

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※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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