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平野耕一牧師「イエス伝」(9)・・・激変への引き金(下)

2009年7月2日06時41分
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 なぜ、あなたはクムランを離れたのですか。イエスはヨハネに質問したことがあった。それは、私が彼らの生き方を続けることができなくなったからなんだ―ヨハネは話し始めた。



 クムランは隠遁生活だ。学ぶことと写本には熱心だったけど、人々に直接伝えようとはしなかった。イザヤ書には「ああ、うるわしいかな。よきおとずれを伝える者の足音は」と書いてあるだろう。



 彼らは極めて正しい生活をしていた。世俗の汚れに触れないためにも人々を避けていた。彼らにとって、異邦人、皮なめし取税人、目の見えない人、おし、皮膚病者、そして女も汚れていた。自分を汚れから守ることで汲々としていた。



 しかし、神はくりかえし罪を赦すとかたっているではないか。喜びのおとずれを伝えよ、と命令しているではないか。汚れることを恐れて隠遁生活をすることを神が望まれているのだろうか。それがなんの役に立つというのだ。



 また、エッセネ派はイザヤ書の写本に力を注いでいた。しかし、イザヤのメッセージを理解していなかった。イザヤは赦しと回復を告げていたが、教団は厳しく律法的だった。細かくうるさく規則を守っていた。確かに、清く貧しく生きていたが人を助けるわけではなく、赦しやいのちの力が感じられなかった。大きな声を出しで笑うだけでも罰を受けたのだからね。



 また、すこぶる儀式的だった。とにかく、一日に何回も繰り返して儀式的な沐浴をしていた。それなのに、赦しの確信も愛の喜びも感じられなかったのだ。主はうわべをみるのではなく、心を見てくださる。心から悔い改めるなら、そしてその証としてバプテスマを受けるなら、ただ一度の悔い改めとただ一度のバプテスマで十分だということがはっきりとわかった。心さえともなっていれば、赦してくださる。そうすると、行いにも生活にも悔い改めの実が結ばれてくるのだ。



 決定的だったのは、神のことばが天からくだったときだった。二十五歳の時だった。「お前は、メシヤの先駆者になるのだ」、と言われた。「メシヤの登場は間近い」と、言われた。それで、主がメシヤを示してくださるのを待ちわびているのだ。―そう言って、ヨハネはじっとイエスの目をのぞきこんだ。



 バプテスマを受けてすぐに弟子になる者たちがいた。ヨハネは多くの志願者から注意深く身近におく弟子を選んでいた。イエスが「わたしにもバプテスマを授けてください」というと、「まあ、待て。弟子入りするときバプテスマを授けるが、お前の場合は私から離れるときバプテスマを授けよう」と謎めいたことを言った。



 次の二年間、イエスは学ぶことに没頭できた。ヨハネは次から次へと読み物を手渡した。イザヤ預言書を手渡した時には、「ここに描かれていることは、今成就しつつある」と言った。ヨハネがイエスと二人だけで学ぶときは、いつもイザヤ預言書だった。



 中でもヨハネが繰り返し口にしたことばは―



 シオンに良い知らせを伝える者よ。高い山に登れ、力の限り声をあげよ。
 見よ。神であられる主は力をもってこられる。その御腕で統べ治められる。
 主を待ち望むものは新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。
 見よ。わたしは新しいことをする。今、もう起ころうとしている。
 わたしは荒野に道を、荒地に川をもうける。
 わたしは、わたしのしもべのことばを成就させ、わたしの使者たちの計画を成し遂げさせる。
 わたしは秘められている財宝と、ひそかな隠れた宝をあなたに与える。
 わたしの義は近い。わたしの救いはすでに出ている。
 起きよ。光を放て。あなたの光が来て、主の栄光があなたの上に輝いているからだ。



 とくに、次のことばを語るとき、顔は輝き、声は興奮で震えた。



 荒野で呼ばわる者の声がする。「主の道を整えよ。荒地で、私たちの神のために、大路を平らにせよ。このようにして、主の栄光が現わされると、すべての者がこれを見る。」



 六百年前に書かれたこのことばがヨハネの登場によって実現したことはイエスに明らかだった。旧約聖書は「主の大いなる恐ろしい日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす。彼は父の心を子に向けさせ、子の心を父に向けさせる。それは、わたしが来て、のろいでこの地を打ち滅ぼさないためだ。」で終わっている。



 預言者エリヤは荒野に住み、ラクダの毛衣を身にまとい、野蜜といなごを食した孤高の預言者だった。再び来る預言者エリヤとはヨハネであった。住んだ場所、身に付けた衣、食べ物すら合致していた。



 ヨハネはイエスに語った。―エリヤの弟子に農夫のエリシャがいたことをよく知っているだろう。彼はエリヤが去った後で大活躍するが、エリヤの二倍の霊力を与えられ、エリヤより多くの奇跡をおこなった。エリヤは荒野で生活したが、エリシャは町や村にいて、ごく普通の家に普通の身なりで、人々を助けたのだ。弟子エリシャはその教師エリヤよりも数倍も多くの奇跡を行った。



 私の後から私より力ある者が来る。エリシャのように人々の間で教え、いやし、助けるメシヤだ。彼は私より、さらに大いなる力を持っている。私は水でバプテスマを授けているが、彼は聖霊と火でバプテスマを授ける。実を言うと、私はその方のはきものを脱がせる価値もないのだ。私の使命は、このお方を世界に紹介することにあるのだ。



 メシヤは現存するはずだ。私が今こうしてここにいるのだから。エリヤの弟子の中にエリシャがいたように、私の弟子の中にメシヤがいるかもしれない―そう言ってヨハネはイエスの顔を見つめた。



 もちろん、イエスがその男であることに、ヨハネは疑いをもたなかった。ついに待ち焦がれたメシヤと対面しているのだ。しかし、ヨハネは、だれにもひとことももらしはしなかった。メシヤは直接、神の声を聞かなければならない、ヨハネは自分に言い聞かせた。



 イエスは食い入るようにイザヤ預言書を読んだ。この書に書かれていることが今実現していることをひしひしと感じた。これから、どのことばが成就しようとしているのか、ひとことばも読み落とせない。むさぼるように読みあさった。



 まだ十五歳のころ、預言者イザヤのことばを読んで受けた衝撃が鮮やかによみがえってきた。今回は、このことばによってはらわたがえぐられるように感じた。



 彼はさげすまれ、人々からのけものにされ、
 悲しみの人で病を知っていた。
 人が顔をそむけるほどさげすまれ、私たちも彼を尊ばなかった。
 まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みをになった。
 だが、私たちは思った。彼は罰せられ、神に打たれ、苦しめられたのだと。
 しかし、彼は私たちのそむきの罪のために刺し通され、
 私たちの咎のために砕かれた。



 心の奥底で、存在の根底から、ひそかな声が聞こえてきた。「イエスよ。ここに描かれているのはお前のことだ。」イエスは静かに目を閉じた。 (次回につづく)



◇



 平野耕一(ひらの・こういち):1944年、東京に生まれる。東京聖書学院、デューク大学院卒業。17年間アメリカの教会で牧師を務めた後、1989年帰国。現在、東京ホライズンチャペル牧師。著書『ヤベツの祈り』他多数。

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