Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

「ディア・エヴァン・ハンセン」に見る現代人の心の傷 それを癒やすものとは・・・

2021年11月29日12時08分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
「ディア・エヴァン・ハンセン」に見る現代人の心の傷 それを癒やすものとは・・・+
映画「ディア・エヴァン・ハンセン」/ 11月26日(金)から大ヒット上映中 / 配給:東宝東和 ©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

トニー賞で6冠を達成した同名ブロードウェイミュージカルを、「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」のスタッフが完全映画化した本作。自らの殻に閉じこもっていた少年が、自殺した同級生の遺族についた「優しいうそ」をきっかけに、思いもよらない方向に事態が転がっていく様に翻弄されていく。その過程を丁寧に描くことで、人間の持つ「承認欲求」や「自己顕示欲」、反対に「匿名性による心ない言葉の暴力」など、現代のSNS世代ならではの人間関係の実態を赤裸々にあぶり出している。監督は「ワンダー 君は太陽」などのスティーブン・チョボスキー。主人公のエヴァン・ハンセンを、舞台版に続きベン・プラットが演じている。

家でも学校でも「透明な存在」である高校生エヴァン。彼は軽度の精神的な病を患ったことから、セラピーを受けている。そして治療の一環として、自分宛てに手紙を書くという課題に取り組むことになる。それを図書館のパソコンで打ち込んだエヴァンは、印刷した手紙を同級生のコナーという少年に持ち去られてしまう。翌日、コナーが自殺したことを知らされた彼は、校長室でコナーの両親から面会を求められる。手紙を見つけたコナーの両親が、文面から息子とエヴァンが親しかったと思い込んだからであった。

彼の家族をこれ以上悲しませたくないエヴァンは、思わず「コナーと親友だった」とうそをついてしまう。そしてコナーの追悼集会で、彼はコナーとのありもしない思い出、そして誰からも相手にされない自分の心情を「コナーの話」として語るのであった。その話が大いなる反響を呼び、SNSにアップされたエヴァンのスピーチは多くの人々を突き動かすこととなる。一躍人気者となるエヴァンだったが・・・。

「ディア・エヴァン・ハンセン」に見る現代人の心の傷 それを癒やすものとは・・・
©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

本作は「ミュージカル」という枠組みを持っているため、セリフが歌となってほとばしり出る作風となっている。その歌詞が世代を越え、現代に生きるすべての人々の心に深く刺さるのである。この構成が秀逸である。しかも歌われる楽曲はほとんどがソロで、各々の内面を彼らなりの表現で開示するというやり方である。

SNSの功罪をここまで見事に人間の心情の揺れ動きとリンクさせた作品は今まで観たことがない。そして単純に「うそはよくない」とは言い切れない可能性を示唆している。しかしだからと言って、主人公がついたうそが最後の最後に作品のテーマとして観客に突き付けられるその鋭さを鈍らせるものにはなっていない。エヴァンはすべてをうそによって手にし、そしてうそによってすべてを失ってしまう。しかしこの作品の肝は、彼の事の顛末ではない。その過程を丹念に描くことで、観客の中にも存在している(存在していた)「エヴァン・ハンセン」を観客自身に見いださせることにある。

「ディア・エヴァン・ハンセン」に見る現代人の心の傷 それを癒やすものとは・・・
©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

前半、「君はひとりじゃない」というテーマで歌われる歌がある。これが人々の心にインパクトを与え、SNSで拡散が始まる。これは言い換えれば、それだけ人は「自分は孤独だ。誰からも理解されていない」と思っているということである。また、エヴァンの歌(劇中ではスピーチ)が人々の心をつかんでいくその過程で、実は観客である私たちの心もギュッとつかまれてしまうことになる。そう、私たちも「孤独」を感じたことがあるからに他ならない。

もう一つ、それは登場人物の中に、常に人々の注目を集めてしまい、図らずもリーダーシップをとってしまう女性が登場する。しかし彼女もまた、人前では自分を「キャラ立て」しているが、その実、エヴァンと同じような悩みを抱え、それを和らげるさまざまな処方箋を持っていることが判明する。つまり本作は、エヴァン・ハンセンという気弱な男の子を中心としながらも、すべての現代人(米国人のみならず、あらゆる民族、人種にまたがる今を生きる人々)に共通する「不安」と「恐れ」を端的に描き出しているのである。ここに私たちは共感せざるを得ない。

「ディア・エヴァン・ハンセン」に見る現代人の心の傷 それを癒やすものとは・・・
©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

SNS時代のバズり、炎上、デジタルタトゥーなどの現代性に目を奪われてはならない。それは時代限定的なフォーマットであって、その本質は、常に人が抱える「アイデンティティー・クライシス」(自分が何者なのか、分からなくなること)であることを、本作は重くストレートに私たちにぶつけてくるのである。

観終わって、ふと次の聖書の言葉が浮かんできた。

わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。(旧約聖書・イザヤ書43章4節)

「ディア・エヴァン・ハンセン」に見る現代人の心の傷 それを癒やすものとは・・・
©2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

この言葉は、よく説教や人を導くときに用いられる聖句である。時として、あまりに抽象的でいきなり天から声がするような突飛な発想に思ってしまい、大上段からこれを語ることに躊躇(ちゅうちょ)を覚えていた。もう少し身近なところから、地に足を付けて向き合うべきではないか、と。しかし本作を鑑賞し、この言葉がすべての人々にとっての「福音(良き知らせ)」となることを実感した。SNSであろうと人のうわさ話であろうと、人は誰もが周りからどう思われているかを意識し、自分の言動が他者に受け入れられているかに人一倍敏感である。それは自分のアイデンティティーを他者に明け渡すようなものである。そして不安と恐れを感じている。そこにこの聖書の言葉ははっきりと決別を突き付ける。「あなたは愛されているよ」と。朴訥(ぼくとつ)ではあるが力強く、肯定的なメッセージを伝えている。

本作は、現代に生きるすべての人々にとっての「私の物語」となっている。だから、クリスチャン、未信者関係なく、鑑賞することで何かを語り出したくなる作品である。コロナも沈静化しつつある現在、多くの人と鑑賞し、共に語り合ってもらいたいと願う。

■ 映画「ディア・エヴァン・ハンセン」予告編

■ 映画「ディア・エヴァン・ハンセン」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • これぞゴスペル映画、これこそ理想のクリスチャン映画! アレサ・フランクリン伝記映画「リスペクト」

  • 映画「空白」は今年のベスト暫定1位だ! 振り回しながらも最後は見事な着地を決めるヒューマンサスペンス

  • 「一匹の羊に目を留めるべきことを訴える秋の良作」紹介(1)「赤い原罪」

  • 「MINAMATA―ミナマタ―」 人間の尊厳を静かに物語る秀作

  • ムロツヨシが現代のヨセフに? 「マイ・ダディ」が単なる人情ドラマに収まらない理由

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.