Skip to main content
2025年9月15日10時30分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム

ささきみつお「お母さん、お帰りなさい!」

2008年11月27日07時03分
  • ツイート
印刷
佐々木満男弁護士+
+

1.「お母さん、お帰りなさい!」



 「東京入国管理事務所から呼び出しを受けた時、その場で収監されてミャンマーに強制退去させられると恐れて、身も心も縮む思いでした。必死に祈って入管での面会に臨みました」。



 それもそのはず、3ヶ月の観光ビザで日本に入国したEさんは、そのまま帰国せず、不法滞在が15年に及んでいました。ミャンマーのクリスチャン部族・カチン族の女子として生まれたEさんは幼児洗礼を受けた形だけのクリスチャンでしたが、軍事独裁政権と仏教徒グループの迫害が強まる中、先に日本に来ていた妹二人を頼りに来日したのです。難民ビザをめったに出してくれない日本政府の心の狭い態度を知り、違法とは知りつつも滞在を続けざるを得ませんでした。



 ある時交通事故で大怪我をして長期間入院しました。顔が変形するほどの火傷を負ったうえに、毎晩眠れないほど体中の痛みが続き、働けないために無収入となり、住んでいたアパートを追い出されました。知人に紹介されてミャンマー伝道に重荷を持つH牧師の教会にころがりこむようにして、助けてもらいました。教会に寝泊りして、毎日聖書を学びながら奉仕をしているうちに、イエス・キリストのすばらしさに目覚め、H牧師から改めて洗礼を授けてもらいました。



 その後、聖霊のバプテスマを受け、言葉のハンディがありながらも、按手礼を受けて熱烈な伝道者として立ち上がりました。ところが、H牧師がミャンマー伝道の志し半ばで急逝。その悲しみを乗り越えて、E先生は、H牧師への恩返しとして日本伝道を志し、教会で牧会しながら、新宿の公園にいるホームレスの人たちへの「炊き出し礼拝」を毎週欠かさず継続してきました。



 初めのうちは、30人ほどだったのが、次第に数が増え、200人から250人にも及ぶようになりました。情熱的にメッセージを語るE先生は、みんなから、「お母さん」と呼ばれて慕われました。午後3時から始まる公園礼拝を楽しみにして、1時から来て、路上にすわって待つ人たちもいるほどでした。毎週の炊き出しの費用はかなりの額ですが、ほとんどがEさんの二人の妹たちが働いて得たわずかな収入でまかなわれてきました。



 「入管法違反の不法滞在者として、あなたを逮捕する!」。ある日突然、警察に連れて行かれたE先生は、入管の拘置所に収監されました。来日して10年目の出来事です。E先生の公園伝道を快く思わない人たちが通報したのです。そのままでは、他の不法滞在者たちと同じように、当然に強制退去です。ミャンマーに帰れば、どんな迫害が待っているかわかりません。周りの人たちが必死に動いて弁護士に依頼し、難民を理由とする異議申立てを法務大臣に提出してもらい、保釈金を積んで4ヶ月半の拘留の後、釈放されました。その間も、公園礼拝は妹たちによって炊き出しと賛美のみで続けられました。



 「お母さん、お帰りなさい!」。釈放後初めての礼拝で、みんなから歓迎され、E先生は涙がとまりませんでした。もう二度と会えないのではないかと、みんな心配して祈ってきたのです。「みなさんは私の家族です。私は一生結婚しないで、みなさんの母として仕えていきます!」。Eさんの言葉に、今度はみんなが号泣です。



2.在留特別許可



 けれども、行政の壁は厚く、法務大臣への異議申立ては却下されました。強制退去を免れるため、やむを得ず、東京地裁に裁判を提起するも、あえなく敗訴。東京高裁へ控訴するも、またもや敗訴。国との5年の闘争に負けた後の入管からの呼び出しです。十中八九、逮捕、収監、強制退去のコースをたどることが予想されました。もはや絶体絶命です。



 「どのように弁明しようか」。恐る恐る係官の前に立ったEさんは、「あなたに一年間の在留特別許可が出ました。一年後に再申請すれば、三年の更新が可能です。更新期間が過ぎた後は、永住許可もしくは日本国籍取得の申請を提出することもできます」と言い渡されて、頭の中が真っ白になってしまったそうです。まさに、地獄から天国への大逆転です!



 「一体全体どうして、強制退去にならずに、在留特別許可をもらえたのでしょうか?!」。と聞くと、「政治難民としては認められませんが、あなたは長年にわたって日本のためにとてもよい働きをしてくれたことが、許可が下りた主な理由です」ということです。



 法務大臣への異議申立て却下、東京地裁、東京高裁ともに敗訴。行政と司法の判断が確定しているのに在留特別許可が下りるのは、常識ではとても考えられない異例中の異例の措置です。



 「神さまが必ず私の日本滞在を認めてくださると信じて祈ってきたつもりでした。でも、現実を恐れて人に助けを求め、多くの方々にご迷惑をかけてしまったことを、心から申し訳なく思っています。また、福音の伝道者なのに不法滞在という違法行為を続けて、クリスチャンとして悪い証をしてしまったことを、深くお詫びしたいと思います」。支援者の一人としての私に経過報告をしてくれたE先生は、こう語っていました。



 「いや、形式的には違法だったかも知れませんが、実質的には合法だったのですよ。あなたが正しかったことを、神さまが日本国と人々に認めさせてくださったのです。これほどすばらしい証はありませんよ!E先生、どうもありがとうございました」。「伝道者でありながら違法行為を続けるなんて何事だ!早く自分の国へ帰りなさい!」という律法的な牧師や信徒たちの轟々たる非難や中傷に耐えてきたE先生への、せめてもの慰めのつもりで、私は心から感謝の意を表せざるを得ませんでした。




◇




 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

  • ツイート

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 新しい発見 佐々木満男

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(11)抗黙示思想と今この時のトーブ 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(9月15日):アンギラ 静かなる島に迫る変化と教会の使命

  • シリア語の世界(32)シリア語聖書の人名・地名小辞典 川口一彦

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.