軍の暫定統治が続くエジプトで25日、軍最高評議会は辞任したシャラフ暫定首相の後任として、ムバラク前政権時代に首相を務めていたカマール・ガンズーリ氏(78)を指名した。
エジプト首都カイロ中心部のタハリール広場での反軍政デモの拡大に伴い、28日には議会選挙を行う予定である。米クリスチャン・ポスト(CP)が報じた。
CPによると、エジプト軍最高評議会委員で、同国選挙委員会と率いるモクタル・エル・ムラ氏は、暴動で不安定となっているエジプトにおいて軍の暫定統治を続けることについて、「群衆は『権力があることは祝福ではない。これは呪いだ』と叫んでいます。このような不安定化での暫定統治にはとても重い責任があります。私たちの暫定統治に委ねられた責任を手放すことは、国民を裏切ることになります」と述べたという。
先週、カイロやスエズなどエジプトの主要都市によって軍の暫定統治を反対するデモが高まるようになった。米ロサンゼルス・タイムズは、エジプト軍最高評議会が、先週の軍と民間人の衝突で死亡者が出たことについて深い謝罪を行ったとことを報じている。
軍最高評議会は、当初一時的に権力を持つに過ぎないとしていたが、10月に入ってエジプトが新たな憲法を批准し、議会を招集できるようになるまで、暫定統治を継続することを宣言した。
ムラ氏はほとんどのエジプト国民は軍最高評議会を信頼していると述べているという。なお、28日から開催される議会選挙ではエジプト在住のキリスト教徒のうち半数は投票するつもりはないことが最近の調査で示された。国外に避難するキリスト教が続出しているエジプトでは、議会選挙後にさらにキリスト教社会が疎外化されることが懸念されている。
暫定統治を行う軍に対するデモは27日も首都カイロ中心部で数千人規模で繰り広げられた。選挙戦では、前政権時代に背後に押しやられていたイスラム教原理主義組織「ムスリム同胞団」を母体とする政党が与党となる勢いが示されている。
エジプトの民主政治実現に向け、デモを回避して議会選挙を続けるために、国際機関との協力した統治が引き続き求められている。国連では、議会選挙に先駆け「エジプト当局は、平和で安全な環境下で議会選挙が行えるように努める義務があります。エジプト国民は暴力のない環境下で普通選挙に参加する権利を有しています」との声明文を発表している。
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