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日本から来たドイツ人(21)・・・キリスト教的刹那主義

2010年6月17日17時35分
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ドイツ・フランクフルト。サラリーマンが、束の間の昼休みを屋台などで過ごしている。+

 我が家のベランダのあじさいも彩り豊かに咲く季節になりました。つい先日のことですが、ベランダの手すりに見知らぬ小さな物体が...。顔を近づけてよーく見てみると、カタツムリの赤ちゃんがゆっくりとどこかへ行こうとしているのです。どうしてこんな高い所までやって来たのか不思議に思いながら、このできたてほやほやの命に「これからも楽しい旅を続けて行ってね」という気持ちを込めて、あじさいの葉っぱの上にそっと置きました。何気ない日常の中で、ふと見つけた小さな命に励まされ嬉しくなりました。



 目覚ましい現代医学の発展と共に、日本人の平均寿命も今では男性が約79歳、女性はだいたい86歳くらいになっているそうです。70歳を過ぎて一人で街に出られるくらいに健康が護られているというのは、本当に感謝すべきことだと思います。それは与えられた環境、水や空気に恵まれているということでもあるのです。



 この平均寿命を長いと感じるか、短いと感じるかは皆さんの人生観によるところですけれど、本当に大切なことは「どれだけ長く生きることができるか」ではなくて、「どのように生きるか」ということではないでしょうか?



 私は日本語の「一期一会」という言葉をとても気に入っています。ドイツ語にもdie Einmaligkeit「一度限りであること」という言葉がありますが、日本語のこの言葉のように、その場の出会いに対する深い思い入れを表現したものとは違うものです。



 どちらかと言うと、ヨーロッパの人たちの方が「一期一会」的な毎日を過ごしている気がします。もっとふさわしい言葉に置き換えてみると「刹那的」でしょうか。



 「刹那的」についてインターネットで見てみると、ネガティヴな印象を持っている人が意外にも結構いたことに驚きました。このことから「刹那主義」を辞書で調べてみると、「過去や将来のことを考えないで、ただ現在の瞬間を充実させて生きればよいとする考え方。また、一時的な快楽を求めようとする考え方」という意味でした。この文面からすると、必ずしもネガティヴな意味を持つ言葉のようには感じられないのですけれど...。



 日本では静かな時をゆっくりと味わいながら生きることが美しい生き方とされるのに対し、ヨーロッパは「今を精一杯生きる」ことがすばらしいと思われているようです。今を大切に生きる生き方、それは全てのことを委ねた生き方とも言えるでしょう。



 「刹那」について考えている時、その反対に「永遠」と言う言葉が思い浮かびました。ご存じの通り「永遠」は聖書に幾度となく登場してくる言葉です。「永遠の命」は私たちが神様から与えられた救いの一つです。「永遠の命」とは決して朽ち果てることのない命です。私たちクリスチャンはこの「永遠の命」を目標にして生きています。



 この「永遠」と言う言葉は、しばらく、あるいはずっと先のことのようなに感じられるかもしれませんが、神様が私たちに対して求められているのは、先のことだけを見据えた生き方ではないのです。



 大切なのは先のことばかり案ずるのではなく、今目の前に与えられた課題に精一杯取り組むことです。それはある意味において「刹那的生き方」と言えるのかもしれません。そう考えると「刹那的生き方」も決してネガティヴではないのです。私たちはいつも与えられた瞬間を大切に生きなければならないのです。そしてそのひとつひとつを「永遠の命」へと繋げて行くのです。



【by Tokyoterin - 東京在住の女性クリスチャン】

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