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工藤公敏牧師「北アルプスのふところから神の懐へ」(31)・・・蛍になりたい

2009年12月16日11時13分
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工藤公敏牧師+
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 私は、聖書学院に22歳で入学しました。当時は入学式も卒業式もありませんでした。私は3月14日に羽鳥に着きました。7月8日は2カ月間、夏の伝道実習に遣わされることになっています。1年生は学院に残って草を刈ったり留守番です。私は夏、伝道がしたくて、先輩のE兄に学院長にお願いしていただきました。また「お宮の縁の下でも、橋の下でも寝てでも伝道したいので、交通費だけいただきたい」とO兄と2人で頼みました。小林学院長はこのことに、いたく感動してO兄は田端の本部に、私は開拓を始めた日立教会に行くことになりました。準備のために尼崎の祈りの部屋でお祈りしていたその時に、ヘブル人への手紙13章5節の聖句が心に響きました。



 そこには、「わたしは決してあなたを離れない。捨てない」と記されています。日立には若い青年の牧師が遣わされておりました。戸別訪問をしましたり、松本工業の先輩後輩を訪問したり私なりに励んでいました。しかし色々と注意されるのに耐えられなくなり、私は必要ないように思えてきた末、夜中に教会を抜け出し、学院に向かって歩きだしました。私は、おめおめと学院に帰れないと思いました。途中コンクリート作りの橋がありましたので、私は橋の下に降りて行きました。ちょうど、炭俵が田のあぜに置いてあり、私はそれを敷いて横になりました。



 田んぼに蛍が自由に飛んでいます。私は蛍になりたいと思いました。一緒にいてくださる主イエス様を忘れて蛍になりたい、と叫んだのでした。翌朝教会へ戻ると、先生が夜も眠らずに祈って待っていてくださいました。長い年月がたって、傲慢な修養生であったことを覚え悔い改めました。あの時、蛍にならなくて良かったと思います。



どちらの布団をあげたらよいか



 日立教会での夏期伝道の時のことです。朝早く日立工場の会瀬グランドのベンチでお祈りをしていました。目を開けると一人の青年が立っていました。彼に話しかけましたところ、昨夜は野宿をした、ということでした。彼は着ることが趣味で、衣服を買って着るがすぐに目移りして他の服が欲しくなり、お父さんの品物を質屋に入れて、新しい衣服を求めていました。ある時は、私も一緒に質屋に行き彼の預けた品物を受け取りました。



 後に彼はイエス様を信じ悔い改めて洗礼を受け、東京に就職することになりました。彼は布団も背広もありません。私は2組の布団を持っていました。1組は名古屋に就職するときに母や姉が用意してくれた布団でした。いや死んだ父が用意してくれたのかも知れません。寮で4年間使った硬くなったせんべえ布団でした。もう1組は伊勢湾台風の時、教会でお見舞いにいただいたまだ一度くらいしか使っていない、新品の布団でした。



 私は、「どちらを彼にあげたらよいでしょうか」と祈りました結果、彼に新しい布団を差し上げました。その冬は寒かったので、祈りのために掘った穴に、落ち葉を敷いて寝ることにしました。穴の中はとても暖かです。地上は霜柱が立っているのに穴の中は固い布団でも大丈夫でした。神様は一枚の布団を覚えていてくださいました。



 後に、岩間教会の教会員の方が布団をくださいました。また、鹿児島教会から網走に転任のときの送別の品は、「神は愛なり」との布を縫い付けた敷き布団でした。さらに網走では、知床ホテルや網走の旅館を経営していた方からたくさんの布団が与えられました。



◇



 工藤公敏(くどう・きみとし):1937年、長野県大町市平野口に生まれる。キリスト兄弟団聖書学院、ルサー・ライス大学院日本校卒業。キリスト兄弟団聖書学院元院長。現在、キリスト兄弟団目黒教会牧師、再臨待望同志会会長、目黒区保護司。

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