南太平洋に人口1万1千人余りが暮らす小さな島々、ウォリス・フツナ諸島がある。フランスの海外領土で、ポリネシア文化の中にある諸島群は、ウヴェア(通称ウォリス島)とホーン諸島(フツナ島・アロフィ島)から成り、かつてはトンガ王国の影響も受けた伝統的な王国制度を持つ島々である。島の人々はフランス語、ウォリス語、フツナ語を話し、ヤム芋やタロ芋、漁労を暮らしの基盤としているが、近年は若者の移住や人口減少が課題となっている。
フランスの海外領土ということもあり、島では歴史的にカトリックが圧倒的な影響力を持ってきた。1837年からフランスの宣教師が入り、42年には保護国条約が結ばれ、今日に至るまで深い宗教的伝統が根付いている。そのため、プロテスタント福音派の足跡は極めて限られており、宣教フロンティアと呼ぶにふさわしい状況が今もある。
そうした背景の中で、福音宣教の静かな働きが始まっている。広域には知られていないが、特に、隣接するヌーメア(ニューカレドニア)からのペンテコステ派の宣教団体「アクション・ミッショネール・カレドニエンヌ」(AMC)が、ウォリス・フツナ諸島への宣教チームを派遣し、現地の島民に福音を届ける働きを実らせつつある。「数十人の新しい信者」が生まれたという報告は、人口わずか1万人余の島々にとっては、霊的に新たな地平線が開けたことを物語る力強い証しだ。
このように、太平洋の島々の間で、隣の島の信徒たちが自分たちと似た文化を持つ人々に福音を伝えるという働きは、非常に実践的で効果的な宣教の形である。文化や言語の壁が低く、心から通じ合える伝道が可能なのだ。言語・慣習・人種的な近さが宣教のハードルを緩和し、宣教の橋渡しの鍵となっている。この地で、教会を開き、聖書を手渡し、信仰を分かち合う小さな群れが形成されつつある。現在はまだ道半ばであるが、成長の可能性に満ちた歩みが始まっている。
ウォリス・フツナ諸島の人々が、キリストに出会い、信仰に根を張り、地元の文化とともに主の働きを深めていくことを、そして少数ながら始まった福音の芽が、やがて成長し、家族・村・島全体への祝福となるように祈ろう。ポリネシアの小さな島々から起こされるこの信仰の波が、太平洋の他の島々へと広がるように祈っていただきたい。
■ ウォリス・フツナ諸島の宗教人口
カトリック 96・5%
プロテスタント 1・0%
異端派 1・6%
バハイ 0・5%
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