レバノンは、シリアやイスラエルと国境を接する中東の小国であり、かつて「中東のスイス」と呼ばれるほど豊かな文化と教育水準を誇っていた。しかし、2020年の爆発事故、内戦と経済危機、そして現在も続くイスラエルとヒズボラの緊張によって、国全体が不安と混乱の中にある。南部では既に、戦闘の影が迫り、多くの家族が避難を余儀なくされている。
そのような状況の中でも、レバノンの福音主義教会と宣教団体の働き人たちは、恐れずに福音を伝え続けている。ある牧師は「人々は恐怖の中で希望を求めています。私たちは戦争を止める力はありませんが、心に平安を与えるキリストの福音を伝えることができます」と語った。
中東のニュースでは、紛争の厳しい映像が前面に出されるが、同じ地で聖書を手にして祈る人々がいる。ある宣教師は、避難所で子どもたちに絵本を読みながら、こう語る。「私たちは子どもたちに、神が彼らを忘れていないことを伝えたいのです」。彼らは物資支援とともに聖書と祈りを届け、恐怖と絶望の中に小さな光をともしている。
レバノン国内にはおよそ6万人のシリア難民クリスチャンが存在するとされ、その多くは迫害を逃れてこの地にたどり着いた。彼らもまた、福音の担い手として現地社会に仕えている。物価は数年間で数十倍に跳ね上がり、国民の8割以上が貧困線以下の生活を送っている中、彼らはパンを分け合いながら、共に礼拝し、希望を賛美に乗せて歌っている。
「もし明日が来なくても、今日、キリストを語りたい」と語る若い女性の宣教スタッフの言葉は、戦火の中にあっても消えることのない福音の力を証しする。恐怖と不安のただ中でも、レバノンの教会は力強く、希望と福音を宣べ伝えている。
レバノンの教会が、さまざまな脅威の中でも信仰に堅く立ち続け、避難民や傷ついた人々に主の平安をもたらす使者として、その働きを全うするよう祈っていただきたい。
■ レバノンの宗教人口
イスラム 59・0%
プロテスタント 0・6%
カトリック 23・9%
正教関係 7・3%
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