日本キリスト教協議会(NCC)は7日、靖国神社の春季例大祭(4月21~23日)に岸田文雄首相が真榊(まさかき)を奉納し、新藤義孝経済再生担当相と高市早苗経済安全保障担当相の閣僚2人が参拝したことに抗議する靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)の声明(同29日付)をホームページで発表した。
同委は、靖国神社の春季・秋期例大祭ごとに、首相や閣僚らに対し、参拝や真榊奉納を行わないよう要請。行われた場合は抗議を表明してきた。今年の春期例大祭についても、3月に同様の要請をしていた(関連記事:NCC靖国問題委、首相や閣僚らに靖国神社の春季例大祭に参拝しないよう要請)。
同委は声明で、首相や閣僚が政府を代表する公的な肩書をもって靖国神社に参拝や真榊奉納することは、「日本国政府と一宗教法人である靖国神社とが特別な関係にあることを宣伝するものである」と主張。憲法が定める政教分離原則に違反すると訴えている。
また、岸田氏が「内閣総理大臣」の肩書で真榊を奉納したことに触れつつ、奉納料を私費で支払ったとしても、「『私的参拝』という言い訳は通用」しないと指摘。「公的な立場を背景に報道がなされていること自体、明らかに『公的』な性格であることを示している」としている。
また、戦前・戦中の国家神道体制は、「学校教育などを通して全国民に一律に靖国神社の思想を教え、信じない例外を認めなかった負の歴史」だと指摘。その「国家神道の中心的存在であった靖国神社」に、首相や閣僚らが参拝や真榊奉納を繰り返すことは、政教分離原則に違反するとともに、「憲法尊重擁護義務を踏みにじる」ものだとしている。