【CJC=東京】旧約聖書に登場するモーゼはシナイ山で神から十戒を授かったとされているが、それは麻薬の影響による幻覚経験だった可能性が極めて高い――イスラエル・ヘブライ大学のベニー・シャノン教授(認知心理学)の論文が、英心理学雑誌『タイム・アンド・マインド』に発表された。
シャノン教授は、イスラエル放送との3月6日のインタビューで、「シナイ山上のモーセに関する限り、超常現象とも伝説とも信じられず、モーセやイスラエルの民が麻薬の影響を受けていた中での出来事だったと思われる」と語っている。
出エジプト記の中に出てくる雷鳴と稲妻、角笛の音などは、麻薬の影響下にある人間が持つ典型的なイメージだ、と同教授は言う。モーゼが「燃える柴」を見たとの表現も、麻薬の影響を示しているという。
教授は、シナイ半島で自生する植物2種類に、ブラジルのアマゾンの森林で発見された1種と同種の成分があることを発見した。アマゾンの植物は、強力な向精神薬アヤフアスカの原料として知られている。
ユダヤ教指導者の反応は冷淡なもので、正統派のラビ、ユヴァル・シャーロウ氏はイスラエル放送に「聖書は深遠な出来事を伝えるもの。心配しなければならないのは聖書のモーセの運命ではなく、科学の運命だ」と語った。