Skip to main content
2025年11月3日23時28分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム

榮義之牧師「天の虫けら」(74)・・・タイ訪問

2008年2月13日23時20分
  • ツイート
印刷
榮義之牧師+
+

 初めてタイを訪ねたのは、一九八四年だった。在タイ宣教師の森本憲夫師の出迎えを受けた。山田長政のアユタヤの遺跡に立った時、少年時代に熱中しつつ読んだ本を思い出し、「兵どもが夢の跡」を見る思いだった。



 ケンコーイ郡に、日本からの援助で建てられたキリスト教会があった。「エコノミック・アニマル」と世界中に軽蔑される国の、少数のクリスチャンの祈りの結晶を見た。日本の経済力が世界宣教に用いられる時、日本はあらゆる意味で世界の先達になれる。リバイバルはそのことも可能にするのだ。そう祈り、確信した。



 最後に訪れたのは、カンチャナブリ市だった。ここは「戦場に架ける橋」で有名な土地である。第二次世界大戦時、日本軍はビルマ侵攻のため、泰麺鉄道敷設を計画した。破竹の勢いで勝ち進む日本軍は、イギリスやオランダ、さらにはオーストラリアやアメリカなど、連合軍兵士を次々に捕虜にした。鉄道敷設のためには、すでにタイ、ビルマ、インドシナ半島の現地人や、カレン族などの山岳民族、二十万人以上が徴用されていた。遅々として進まない敷設工事にいらだった軍は、捕虜を強制労働に駆りたてた。食糧事情も悪く、気候も熱気や雨で大変な上、怒声とむちと軍靴に踏みにじられ、けとばされて、多くの青年兵士たちの生命が、虫けらのように失われていった。



 映画を見て「クワイ河のマーチ」のメロディーを知っていても、あるいは書物を読んでいても、現地に立ち、現実に触れ、事実を見つめる時、戦争の悲惨さを知った。「主よ。私たちの国をお赦しください」。戦争の責任を過去に問うことも一理あるが、今、日本人としてどうかが問われなければならないと思った。



 現地強制労働者二十万人、うち死者八万人。イギリス兵捕虜三万人、うち死者六五四〇人。オランダ兵捕虜一万八〇〇〇人、うち死者二八四〇人。オーストラリア兵捕虜一万三〇〇〇人、うち死者二七一〇人。アメリカ兵捕虜七〇〇人、うち死者三五六人。実に九万二六二六人もの犠牲によって、この橋は完成した。枕木の数だけ死者が出たとさえ言われている。そのためこの橋は、別名「死の橋」と呼ばれている。しかもカレン族をはじめとする山岳民族は、死者の数にも数えられなかったとのことだ。



 緑の芝生が美しい公園墓地に、整然と並ぶ十字架の墓碑。刻まれた銘を読み進むうちに、涙でかすむ目は文字を追うことすらできなくなった。「永遠に忘れない」「必ず再び会える」「あなたこそ真の勝利者」「平和のうちに眠れ」「神は目の涙をぬぐってくださる」「偉大な愛の手から奪う者はない」「神はすべてを知っている」などなど。父や母が、恋人が、妻が、兄弟や親族が、それぞれの思いをこめて刻んだ銘が、謝罪を、そして赦しと平和を訴えかけている。日本人の一人として、墓地にたたずみ、祖国の罪を悔い、祈りを献げつつ、今何ができるかを主に尋ねた。



 「平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです」(マタイ5:9)との、主の御声を聞いたように思った。平和を祈る人、叫ぶ人、求める人は多い。しかし一方で平和のために憎み、争い、戦う人もいる。聖書は、平和をつくりだす幸いを教えている。



 第一にすべきことは、神の和解の福音を世界に宣教することだ。これこそ、平和をつくりだすことだ。一万五〇〇〇人の日本軍が、三十万人を強制労働に駆り立て、十万人近くの人々を死に追いやったとすれば、少数者だからできないというのは言いわけにはならないと思う。キリスト者の平和への希求は、世界への宣教をもってこそ達成されるのだ。私はそう確信している。



 それ以降、毎年夏にはカンチャナブリを訪れ、カンチャナブリ市教会の助けを得て、その働きを継続している。この教会のチュン牧師は、日本人宣教師君江師と結婚している。その長男エリシャは、タイ国立大学を卒業すると同時に、生駒聖書学院に留学、卒業後はタイに帰国し、通訳として、宣教の働きの大きな推進力となっている。



(C)マルコーシュ・パブリケーション




◇



榮義之(さかえ・よしゆき)



 1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。



 このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。(Amazon:天の虫けら)

  • ツイート

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • 地球環境の守り人 穂森幸一

  • 主につながり主に求めよう 万代栄嗣

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(31)夢の中での再会

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • ワールドミッションレポート(10月31日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(1)

  • ワールドミッションレポート(11月2日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(2)

  • ワールドミッションレポート(11月3日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(3)

  • ワールドミッションレポート(10月29日):アンゴラとザンビアのルヤナ族のために祈ろう

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • ワールドミッションレポート(11月2日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(2)

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 花嫁(36)薄明かりの祈り 星野ひかり

  • 「2033年までに全ての人に福音を」 世界福音同盟の第14回総会、ソウルで開幕

  • ワールドミッションレポート(11月2日):エジプト 福音の力—何世代にもわたる暗闇を撃破(2)

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.