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聖書の非神話化と再神話化-「現代人にわかる聖書翻訳を」

2012年6月7日11時46分
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 2日、日本クリスチャンアカデミー関東活動センター(東京都新宿区)が主催する聖書講座が開催され、講師として東京大学非常勤講師の上村静氏が講演を行った。

 同氏の著書「旧約聖書と新約聖書」を参考文献として同書序章の部分について対話形式で講義が進められた。上村静氏の講演は今後7月7日、9月29日、10月27日、12月1日の5回連続で行われる。

~聖書は「神話」であるということ~

 上村氏はまず、神話としての聖書であることの意味について、および古代人の世界観と現代人の世界観の違いについて説明した。現代人は物事を基本的には合理的かつ科学的に考える一方、古代人は神話論的な世界観をもっており、自分の手に負えない事柄が起きると、自分たちの知り得ない諸霊や諸力、悪魔的・悪霊的な力が介入して悪いことをしていると考えており、手に負えない事柄を操っている存在がいて、その存在を実体として捉えようとするのが古代人の考え方であったと説明した。

 キリスト教の聖霊も、人間には手に負えないところで、神の力が働いていることを意味している。聖霊と表現したとたんにその力が実体となると説明し、このような手に負えない力を実体化して捉える古代人の世界観や聖書が書かれた時代が今から2000年以上も前の時代の事柄であることから、「聖書は一言で言うと、神が歴史に介入する物語です。神がこの世を創られた物語であり、神が積極的に介入して来たお話です」と説明した。旧約聖書のバビロン捕囚も、史実として読めばただ戦争で負けただけの話ではあるが、ユダヤ人にとっては神が歴史に介入して、自分たちの罪を罰するためにこのようなことが生じたという話として聖書には書かれている。そしてキリスト教はイエス・キリスト生誕の出来事、それ自体が神の歴史への介入であると物語っている書物であり、その信仰を前提にして書かれているのがパウロの書簡であると説明した。

 また上村氏は、神話を聖書とすることについて、「権威の問題」が生じて来ることを指摘した。神の言葉が書かれた聖なる書物とすることで、そこに書かれている事柄は真実であるということになり、真実であるならば、それに従わなければならず、規範性・拘束性が生じてくる。しかし一方で書物にしても、言葉にしてもその解釈は一義的にはなり得ない。言葉の表現には限界があり、書物であればなおさら限界が生じると指摘した。常にその時代に沿って書物の意味について多様な解釈が可能であり、ここで問題が生じるようになると指摘した。つまり聖なる書物であるため、そこには規範性・拘束性があるべきであるが、書物である以上多様な解釈が常に可能であるという。その問題を解決するために「特定の解釈を絶対化したい」という欲求が生じ、そこで「権威」が求められるようになってしまうと指摘した。

 「聖書が聖なる書物とされることで、本当のところは聖書の言葉の解釈は、一義的ではなりえないはずなのに一義的になってしまう。そのために権威が必要となる。『聖書が聖書である』ということは、認められている権威を絶対化し正当化することになる。神の名のもとに、権威に逆らう者への暴力を正当化することになる」と述べ、自分を正当化したい人たちがそのために聖書を利用するという本来あってはならないことが現在進行形で起こってしまう懸念を伝えた。

 また聖書が「神話」であることについて、「そもそも『神話』という言葉に対して誤解があり、その誤解を生み出したのが西洋キリスト教でした」と述べた。大航海時代に新大陸で植民地政策を行う中で、西欧諸国がキリスト教以外の自分たちと全く違う宗教的なものを再発見し、それらのものを「神話」とすることで、聖書に書かれている話が真実であり、「神話」は嘘の作り話であると区別してしまったため、「神話」という言葉に対して「作り話」という否定的なイメージが生じてしまったと説明した。

 その上で上村氏は神話の本来の意味について「神話とは、人間の経験世界、人間存在のありようを何とか意味づけしようとした物語であり、現実認識の物語化が神話です。自分たちの生きている世界を何とかして意味づけしようと人は頑張っています。意味づけができないとすごく生きにくい。時間はある意味ではただ淡々と流れています。時間に区切りがなければ、時の流れの単調さに人間は耐えられません。」と説明した。

  神話について、上村氏は「象徴的な言語を用いて間接的な仕方で、人間存在についての洞察を語っています。その洞察には真理性が含まれている可能性があります。真実を間接的に伝えている可能性があるものが神話です」と述べた。

 古代人の世界観と現代人の世界観の違い

  上村氏は、古代人と現代人の持つ世界観の違いについて、古代人が人間の手に負えないことが神的な力、悪魔的な力の実在によるものだとしていたことに対し、現代人は「すべては自然法則の下に起こる、という合理的・科学的な世界観の結果『神の死』と表現される時代が生じるようになってしまいました。そのため現代においては神を実体化して信じることが不可能になり、イエスが死んだ後、昇天したという話を、事実として信じることが難しくなってしまいました」と説明した。

 上村氏は、現代人の世界観の中で聖書を伝えるにおいて「無理やり聖書に書かれてあることが真実だと伝えるのは、有害になります。聖書の非神話化と再神話化が必要になります。神話論的な表象によって表現されている古代人の現実理解や洞察、つまり聖書そのものを現代人に理解できるようにいったん抽象化してみること(非神話化)が必要であり、ただ抽象化されただけではよくわからないので、それを現代人にもよく分かることばで再神話化して伝える必要があります。聖書に書かれている現実理解、現実認識や洞察そのものを現代人に向けて語り直すことが再神話化の作業です。牧師が説教することが再神話化であり、神話であることを認め、そこから自分なりにメッセージを拾って現代の人に分かるように語ることが牧師の説教です」と述べた。

 上村氏は「我々は常に自分が生きている時代に対して、何らかの責任を負っているはずです。結局のところ、(ノンクリスチャンに)接する人が自分のクリスチャンの信仰や時代についてどう向き合おうとしているのかが問われています。産業革命以降の時代に生きている我々は、聖書は『神話』であるという簡単な事実を認め、神話に何が含まれているのか、どんな人間についての洞察が含まれているのか、それを真剣に考え、取り出し、自分なりに理解して、自分が生きている時代の人たちに理解可能な形として語り直すことが、現代において聖書を読み、語ることの意義だと思います。それができずにいつまでも聖書は相変わらず『神の言葉』、『真実』ということにこだわり、非神話化できないと、きわめて傲慢な態度に出てしまう可能性があります。本当のところそのような人たちは、自分の信仰がすごく不安であり、自信がないから、信仰熱心な自分をなんとしてでも演じて見せようとしています。聖書は文字通り『神の言葉である』と熱心に信じ、科学よりも神の方を私は信じていると主張したいという一部のファンダメンタルな人たちは、実のところ自分が何を信じているのかを考えておらず、理解しておらず、問うこともしていないのではないでしょうか。本当のところは、その人たちには不安が内包されていて、その不安を払しょくするために、彼らは熱心な信仰を演じ続けるので、その熱心さが暴力的になってしまいます。なぜなら、本当のところ自分自身の存在を肯定できず、それをごまかすために信仰熱心を演じるからです。他人のいのちを奪う事にも平気になってしまいます。アメリカは最もキリスト教の信仰に熱心である一方、最も暴力的であり、信仰熱心でいながら、極めて不信仰な部分がある国ともいえます。いい加減、そういう暴力的な聖書の伝え方は人道的な観点からも止めるべきです」と述べた。

次ページはこちら「非キリスト教徒が非キリスト教徒のままで理解できる翻訳作業が必要」

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