9日(現地時間)、南部スーダンが独立宣言を行い、世界で最も新しい国が誕生した。独立の過程での政情不安から、国際連合が8日に同地域の治安のために7千人の軍隊と900人の警官を派遣した。
米政府によって草稿された南部スーダン独立に関する国連の決議案は国連安全保障理事会によって全会一致で承認された。南部スーダンは1980年代中盤から長年北部スーダンと紛争状態にあった。紛争の部分的要因は宗教的対立にあった。北部スーダンの大部分の住民はイスラム教徒である一方、南部スーダンの大部分の住民はキリスト教徒か自然崇拝者で構成されていた。
南部スーダン独立にあたって、世界各国キリスト教団体や音楽家ボノや俳優のジョージ・クルーニーなどの国際的著名人らがこれまでスーダンの紛争に国際的注目を引かせる活動に貢献してきた。東日本大震災でも積極的な支援活動を展開してきたキリスト教支援団体サマリタン・パースも、スーダン紛争での難民支援に積極的な貢献をしてきた。
サマリタン・パース総裁のフランクリン・グラハム氏は「ジョージ・クルーニー氏その他ハリウッドで活躍される多くの著名人の皆さまがスーダン紛争への国際的注目を引くための貢献をして下さったことに深く感謝します。スーダンに国際的関心を寄せる努力が本当に価値あるものとして実を成したと言えるでしょう」と述べた。グラハム氏はさらにサマリタン・パースなど支援団体による長年の支援活動が南部スーダン独立に大きな貢献を果たしてきたことにも言及した。
南部スーダンの自治について、グラハム氏は「南部スーダンは今後本当に独立した国となるまでには多くの支援が必要になります。米政府も疑う余地なく、南部スーダンの独立のために積極的に関わっていかなければなりません。米政府が今、独立した南部スーダン支援をただちに引き上げるようなことになれば、今後南部スーダンがどうなっていくかわかりません。欧州や国際連合も南部スーダンの今後の自治に関わっていく必要があるでしょう。国境が安全に守られるようにならなければなりません。油田開発の関連から、中国政府も南部スーダンへの投資を通じて関わっていかなければなりません。南部スーダンが機能的に動いていくには数年を要するでしょう」と述べた。
クリスチャン・ポスト(CP)によると、米バージニア工科大学は独立した南部スーダンの新たな首都となるジュバにおいて米国際開発庁(USAID)とともに農業大学の設立に支援を行っていく予定であるという。同大学政治科学科准教授のパラク・フーン氏は、「南部スーダンは国際共同体による人的・物質的インフラを整える支援が今後数十年必要となるだろう」と述べている。
8日、国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏は、南部スーダンの独立祝典後に起こる事態について米ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「貧困・治安の問題やインフラの欠如が懸念されます。南部スーダン政府はまだ独立政府としての経験がほとんどなく、初期段階にあるといえます。一方で南部スーダンの独立の今後にははかり知れないポテンシャルが隠されているともいえるでしょう。南部スーダンには豊富な原油資源があり、耕作可能な広大な土地があります。また南部スーダンの中央にはナイル川による水流があります。ですから南部スーダンは独立後、繁栄し、十分自治可能な国家として同国の国民の雇用を確保し、治安と十分なサービスを提供できる国家へと成長していくポテンシャルがあると言えるでしょう」と述べた。
南部スーダンは、2005年1月に結ばれた第二次スーダン内戦の包括的な暫定和平合意によってスーダン政府から自治を認められて以後、2011年の分離独立のための住民投票では分離独立票が圧倒的多数(99パーセント)となり、2011年7月9日に「南スーダン共和国」として晴れて独立に至ることになった。
英BBCによると、「南スーダン共和国」は既に国歌が作成されており、歌詞の内容は「神に信頼を置く」ことが記載されている他、抑圧からの解放を喜び、スーダン紛争での犠牲者を哀悼する内容が書かれているという。また2012年のオリンピックに向け既にサッカーとバスケットボールのチームが結成されており、練習が開始されているという。
9日付けの日本経済新聞社説では、東日本大震災で世界各国から支援を受けた日本政府は、これまで築いてきた信頼を維持するためにも南スーダン独立に際して目に見える貢献を果たしていくことが重要であることが論じられている。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者
-
石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相
-
花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり
-
イエス様は何を祈ってくださるのか 菅野直基
-
篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(243)聖書と考える「世界の果てまでイッテQ!」
-
新しい発見 佐々木満男
-
2024年の聖書頒布統計発表、デジタル版が印刷版を初めて上回る
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(230)「善き隣人」を支えたい 広田信也
-
「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育
-
ワールドミッションレポート(9月8日):南アフリカ せめぎ合う真の福音と繁栄の福音
-
石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相
-
「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者
-
牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも
-
2024年の聖書頒布統計発表、デジタル版が印刷版を初めて上回る
-
「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇
-
「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育
-
花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(230)「善き隣人」を支えたい 広田信也
-
イエス様は何を祈ってくださるのか 菅野直基
-
ワールドミッションレポート(9月8日):南アフリカ せめぎ合う真の福音と繁栄の福音
-
石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相
-
牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも
-
「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇
-
ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声
-
「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育
-
「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者
-
花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり
-
2024年の聖書頒布統計発表、デジタル版が印刷版を初めて上回る
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司