Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

【書評】『映画を早送りで観る人たち』 教会も他人事ではないコンテンツ「消費」の時代

2022年9月5日18時21分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
【書評】『映画を早送りで観る人たち』 教会も他人事ではないコンテンツ「消費」の時代+
稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社 / 光文社新書、2022年4月)

「映画を早送りで観る!? そんなバチ当たりなやからが存在するのか?」 本書を手にした私の第一印象である。しかし本書は、映画のみならずさまざまなデジタルコンテンツに向き合う若者の姿勢を通して、令和時代の「日本人気質」を照らし出している。

本書で描き出されているのは「Z世代」である。Z世代とは、1990年代後半から2000年代に生まれた10代から20代前半の若者の総称である。しかしZ世代のみならず、現代日本人全般に共通する生き方の実態を本書は描き出している。そして忘れてはならないのは、日本のキリスト教会、そして個々のクリスチャンもまた、当然こうした日本人気質の影響下にあるということである。

では、冒頭の驚きに戻ろう。近年、ネットフリックスに代表されるような定額制動画配信サービスで映画を視聴することがはやっている。コロナ禍によってこうした動きは加速し、今では見慣れた情景になりつつある。そしてこれらデジタルコンテンツに特徴的なのは、月決めで料金を支払うため、1カ月間に何本映画を観ても料金が変わらないことである。

すると本書でも語られているが、一作品一作品の重みがなくなっていく。かつてはDVDにしてもビデオにしても、わざわざレンタルショップへ借りに行き、そこで興味のある作品を選び、そして一作品につきいくら、という料金を支払うことになっていた。しかも、一定期間後にはそのメディア媒体を返しに行かなければならない。これだけの労力を払わなければ、映画(や過去のテレビドラマシリーズなど)を自宅で視聴することはできなかった。定額制動画配信サービスは、こうした労力を極端に少なくすることにたけている。

著者の稲田豊史氏曰く、「その夢のサービス(筆者注・定額制動画配信サービス)は、作品を『鑑賞』する機会を増やすよりもずっと大きなインパクトで、コンテンツを『消費』させる習慣を我々に根付かせたのかもしれない」(77ページ)。作品鑑賞からコンテンツ消費へ。これは教会内でも現実的に起こりつつある問題である。

例えば、これほどデジタルコンテンツが一般化する前までは、大きな集会に参加し、そこでわざわざDVDやビデオを注文し、そして自宅に届いたそれらの媒体を通して集会の映像を視聴することが、でき得る最大のことだった。さらにもう一昔前は、カセットテープに録音した集会の説教などを教会で複製し、それをテープレコーダーで聴くことしかできなかった。共通しているのは、レンタルショップでDVDなどを借りるのと同じく、具体的なコンテンツに労力とお金をかけ、その対価として集会の説教や賛美を入手するということである。

しかし、ユーチューブなどの無料で利用できる動画配信サービスの普及や発展は、日本のみならず全世界の教会で行われている礼拝や各種の集会を、スマホやタブレット、パソコンで簡単に視聴できる世界を生み出してしまった。そして、少しでも気に入らなければ(その理由はさまざまだが、退屈、耳が痛い説教などがそのほとんど)、すぐに別の教会の礼拝や集会の動画配信に移ることができる。つまり、礼拝などの集会や説教も消費コンテンツ化しつつあるということである。決して他人事ではない。

本書は、どうして作品が「コンテンツ」となり「消費」されるのか、という点について、早送りで視聴する人の心情として「失敗したくない」という思いを挙げている。突き詰めると、コストパフォーマンスを優先するということである。せっかく時間を使って長いドラマや映画を視聴するのだから、無駄打ちしたくないということである。これが教会の場合、「退屈な説教に時間を費やしたくない」「つまらない集会で一日をつぶしたくない」という、若者たちの間にあるであろうサイレントマジョリティー的な声ということになるだろう。

本書はある種、大人世代に向けての警告の書である。「今、若者たちはこんな状況ですよ」「そして、大人世代の価値観と確実に乖離(かいり)を始めていますよ」ということを、つまびらかにしているといってもいい。決してサブカルのニッチな一分野(映画視聴や定額制動画配信サービス)だけの傾向ではない。教会に来ている若者世代もまた、確実に「Z世代」なのである。

特に説教を語る者にとっては、必読書であろう。説教者がこれまで使い古してきた小慣れた表現が、もはや通じないと言われているのだから。かつて説教実習で「起承転結」を学んだとしたら、今はこれではほとんどの若者たちが耳を傾けてくれないということになる。席を温めてくれることはあっても、深い眠りにつくか、別のことを考えて上の空、みたいな光景が生まれることも決して否定できない。本書には、ヒット曲の特徴を語る中で、最近はサビから入らないと最後まで聴いてくれなくなっている、というくだりがある。これは説教でも同じかもしれない。「面白いジョークを入れないと・・・」「最初に分かりやすい結論を持ってこないと・・・」という話になってしまう。

本書には、そういう若者たちと「どう接したらいいのか」までの言及はない。その当たりがいかにも、コラムニストの著作であると思わせられる。言い換えれば、ここから先は私たちへの宿題ということだろう。

教会で若者と接する人なら、一度は手に取っていただきたい一冊である。

■ 稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』(光文社 / 光文社新書、2022年4月)

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 22世紀のキリスト教界を考えるために、今こそ読むべき一冊! 成田悠輔著『22世紀の民主主義』

  • 【書評】『親ガチャという病』 流行語を通して日本の趨勢を知ることができる啓蒙的一冊

  • 「命は大切」を深く考察できる衝撃のルポ 『赤ちゃんポストの真実』

  • 牧師の私に「聖なる保険屋」であることを教えてくれた『超★営業思考』

  • キリスト教界はどうしてる? 『不要不急 苦境と向き合う仏教の智慧』を鏡に現代キリスト教界へ提言する!

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.