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米大統領選、ライト牧師の発言で人種問題が改めて浮上

2008年5月7日00時09分
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 【CJC=東京】次期米大統領を目指す民主党のバラク・オバマ上院議員が師と仰ぐ黒人牧師ジェレミア・ライト・ジュニア氏(66)が4月28日、ワシントンのナショナル・プレスクラブで講演、人種対立をあおる過激な説教を繰り返し、米国や白人社会を敵視しているとメディアから批判を浴びたことについて説明した。



 オバマ氏を支持するライト氏は3月、黒人が虐げられている現状を嘆き「くたばれ、米国」と発言したが、それまでにも「米国は黒人社会に病原菌を拡散した」「米中枢同時テロ事件は米国自身が招いた」などと主張して批判を呼んでいたことも明らかになった。



 ライト氏は、メディアの批判を「わたし自身やオバマ氏への攻撃ではなく、黒人教会全体への攻撃」に等しいと指摘した。また講演後の質疑で「愛国心に欠ける」と責められると、「6年間兵役に就いた私が愛国的でないなら、チェイニー副大統領はどうなのか」と、ベトナム戦争時代に入隊猶予を受けた副大統領を引き合いに反論した。さらに「エイズウイルス(HIV)は政府が黒人を抹殺するために開発した」などと述べたことに関しては「黒人が経験してきたことを考えれば、政府はどんなことでもやりかねない」と発言、改めて論議を呼ぶ形となった。



 一連の発言に、低所得の白人層が強く反発、4月22日のペンシルベニア州予備選でオバマ氏が敗れる一因になった。オバマ氏の支持率は5月2日までに実施された主要世論調査で急落している。一部調査ではヒラリー・クリントン上院議員に逆転を許した。



 オバマ氏は28日の記者会見で、「ライト師とは連携をとっていない」と述べ、さらに29日、ノースカロライナ州での記者会見で、「昨日見た人物は、わたしが20年来知っているライト師ではなかった」と言明。「わたしの、そして米国民の感情を害した。非難されるべきだ」と同氏の発言に強い拒否感を示した上で「彼はわたしの代弁者ではない」「わたしの持つ世界観と相反している」と強調、師と仰いできた人物との決別を宣言した。



 オバマ氏の発言に、ライト氏は「彼は政治家だから距離を置こうとしている。彼は『私が希望を与えていない』というが、どうしてわかるのか」と不快感を示した。



 ライト氏は1941年9月22日、フィラデルフィア生まれ。父、祖父、叔父の1人も牧師。高卒後、バージニア・ユニオン大学神学校に入学、偏見を受け、教会が人権運動を強く支援していないことが不満で退学した。海兵隊と海軍で6年間兵役に就いた。退役後、ハワード大学で勉学を再開、神学教師を目指したが、アフリカ系市民(黒人)が多数、キリスト教を離れ、他の宗教に転向するのを見て、説教への転身を決意した。



 72年、シカゴのトリニティ合同キリスト教会牧師に就任。当時は会員87人だったが、年初に辞任した時には8000人にまで増加している。オプラ・ウインフリーやラッパーのコモンなども会員。



 説教は、黒人の解放の神学に結びつくもので、キリスト教と黒人の経験とを融合させ、人種差別や不正義を取り上げる。説教「希望への大胆さ」は、オバマ氏が2004年7月の民主党全国大会での基調講演に影響を与えたとされ、同氏が06年に公表した著作の題名にもなっている。

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