蜜と塩―聖書が生きる生活エッセイ(13)思い出深いイースター ミュリエル・ハンソン

2016年6月17日18時52分 コラムニスト : ミュリエル・ハンソン 印刷

13章 思い出深いイースター

薄暗い闇に包まれていた夜が明けてきました。桜の「香り」が漂っていたらよいのですが、 部屋に漂うにおいといえば、どちらの病院にもよくある消毒の「臭い」だけでした。

私はイースターの朝を京都の病院で迎えました。その時の私は、割れるようなひどい頭痛に悩まされていましたが、イースターの朝には、いつも心を躍らせた感動を何とかして心の中によみがえらせたいと思っていました。しかし、その朝は、何の感慨も沸き上がりませんでした。

私の祈りは、病院の天井にぶつかって天には届かないようです。気持ちがこんなにも沈んだことは、今だかつてありませんでした。

そのような時に、看護師さんが「卵に色を付け、イースター・エッグを作ったので、お子さんに届けておきました」と部屋まで私に伝えに来ました。

日が差し込み、明るくなってきました。午後には、思ってもいなかった「外出許可」を頂きました。夫と2時間の外出ができて、こんなにうれしいことはありませんでした!

面会時間が始まると同時に迎えに来た夫と、川に沿ってドライブに出掛けました。川の両側に立ち並ぶ桜はなんと見事に咲き誇っていたでしょうか。ほのかな桜の香りに包まれて楽しいドライブの時を過ごしました。

サングラスが必要な私の目のために、神様は花曇りの日を備えてくださいました。最善をなしてくださる主に、私は心から感謝いたしました。病院で配給されたコーヒーを魔法ビンに入れて持っていき、2人でゆったりと味わったコーヒーは、今までで最高の味でした。

疲れて部屋に戻り、休息を取っていたときに、信じられないことが次々と起こりました。周波数を合わせようとしたら、ザーザーという耳障りな音が聞こえます。そのような雑音の中で、ラジオに耳を傾けたくはないと思っていましたが、イースターのメッセージはどうしても聞きたいと願わずにはいられませんでした。病院の職員からは、病院が工事中なので短波放送を聞くのは無理でしょう、と聞かされてはいましたが。

それにもかかわらず、ラジオのダイヤルを回すと、受信機の雑音は一つもなく、はっきりと聞こえてきたではありませんか。ロンドンの教会から、イースターのメッセージが私の所に直接届いたのです。

牧師は「イエス・キリストを信じる人々の人生と、主イエスのよみがえり」について説教しました。今まで聞いたイースターのメッセージの中で一番心に残り、私のために語られたようなメッセージでした。

そしてまた、フィリピンからのラジオ放送による英語メッセージを聞くときも与えられました。私の心は十分満たされて、それから心地よく寝入りました。

日が沈む頃に、目が覚めました。私の部屋は柔らかな明るい色に染まり、今まで見たことのない素晴らしい夕焼けが私を包み込んでいました。ベランダに出てみると、一面に荘厳な光のパノラマ! 神様が、私一人に降り注いでくださった神様の最高傑作が目の前に広がっていたのです。しかも、このイースターの夕べに!

夕焼けの虜になり、しばらくはベランダから離れられませんでした。地平線と山々がラベンダー色、ピンク、ブルーや黄色、灰色、若草色に染まり、大きな大きな虹のように見えました。今まで見てきた虹とは違って、私には類まれな『契約の虹』のようでした。

私たちは歴史の中で、目覚ましく進歩した時代に生きています。さまざまな分野で自動化が進み、職業が多様化され、プロ意識に囲まれている時代です。ですから、時代の波に乗れず、「自分は誰の役にも立っていない、必要とされていない人間なのだ」と寂しさを感じて悲観的になってしまう人もいるでしょう。

しかし、神様は一人一人が必要なのです。イースターの夕暮れ時に見た虹は、神様と全人類の間を結び付けた契約を示していると思います。その契約とは、自らの人生を主に委ねた全ての人が、神様から与えられたご用を十分に果たすことができるという約束です。

そして、主に用いていただいて得られる恵みを享受できます。たとえ、置かれた環境が、身動きの取れない、限られたものであっても、それとはおかまいなしに、主に仕え恵みをいただけるのです。

なぜならば、どのような状況も神様の御手の中にあるからです。置かれている場所で「その人らしい花を咲かせる」と言ってよいでしょう。 全知全能の神様は、その指先で世界を支えられるお方です。

全能の神様が、鉛色の空を分かち、その空に、主にある者たちのため、契約の虹をかけてくださったと信じるのは行き過ぎでしょうか。

私は全能の神様の御業だと信じます!

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【書籍紹介】
ミュリエル・ハンソン著『蜜と塩―聖書が生きる生活エッセイ

蜜と塩

読んでみて!

一人でも多くの方に読んでいただきたいエッセイです。聖書を読んだ経験が有る、無しにかかわらず、著者ファミリーの普段着の生活から「私もそのような思い出がある」と、読者が親しみを抱くエッセイです。どなたが読んでも勉強になります。きっと人生の成長を経験するでしょう。視野の広がりは確実です。是非、読んでみてください。

一つは、神を信じている者が確信を持って生きる姿をやさしく、ごく当たり前のこととして示しているからです。著者は、日本宣教のため若き日に、情熱を燃やしながら来日しました。思わぬ事故のためにアメリカへ帰らなければなりませんでしたが、生涯を通して神への信頼は揺るぎませんでした。

もう一つは、日常の中に働いている聖霊のお導きの素晴らしさを悟ることができるからです。私たちの日常生活が神様のご意志のうちに在ると知ることは、安心と平安を与えるものです。

さらに、著者のキリスト者生活のエピソードを通じて、心が温まるものを感じます。私たちの信仰生活に慰めと励ましが与えられます。信仰が引き上げられて、成長を目指していく姿勢に変えられていく自分を発見するでしょう。

長く深く味わうために、急がずに、一日一章ずつでもゆっくりと読んでみてはいかがでしょうか。お薦めいたします。

ハンソン夫妻の長い友  神学博士 堀内顕

ご注文は、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

ミュリエル・ハンソン

ミュリエル・ハンソン(Muriel Hanson)

ミュリエル・ウエッスマン(Muriel Wessman)はミネソタ州出身、カルヴィン・ハンソン(Calvin Hanson)はカリフォルニア州出身。2人は、イリノイ州シカゴにある福音自由教会聖書学校で出会う。その後、ディヤーフィールド(Deerfield)郊外にあるトリニティー(Trinity)神学校で学ぶ。両氏はウィートン大学(Wheaton)で学び、ミネソタ大学(Minnesota)を卒業。1947年6月7日に結婚。

夫がミネアポリスで牧会に携わっていた時の1949年3月、2人はアメリカ福音自由教会から日本への初代宣教師としての召命を受け、遣わされることになる。

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