【CJC=東京】教皇フランシスコは7月8日、イタリア・シチリア州のランペドゥーサ島を訪問した。地中海上のランペドゥーサ島は、北アフリカに近い位置関係から、アフリカからの移民・難民を乗せた船が漂着することが多い。現地の自治体や教会、住民はこれらの人々の救援や受け入れをめぐる様々な現実に日々直面している。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇フランシスコが登位後、初めてのバチカン市国外での司牧行事としてランペドゥーサ島を訪問したのは、現地サン・ジェルランド教会のステファノ主任司祭からの招きに応えたもの。教皇はこの訪問を通し、これまで海上で犠牲になった移民たちのために祈ると共に、移民の支援と受け入れにあたる人々を励まし、この問題に対する人道的意識を福音の立場から訴えることを要望した。
同日朝、ランペドゥーサ島の空港に到着した教皇は、島東部カラ・ピサーナよりイタリア海上保安庁の巡視艇でランペドゥーサ港ファヴァローロ突堤へ向かった。
到着した突堤で、教皇は移民たちに迎えられた。多くはまだ年若い移民の一人ひとりに、教皇は通訳を交えて言葉をかけた。続いて、教皇は同島のグラウンドでミサを捧げた。ミサには約1万2千人の市民が参加した。
ミサの説教で教皇は、このたびの訪問の目的を説明。「希望への道であるはずだった船が死への道になった」、こうしたタイトルと共に海上で亡くなった移民の記事を読んだ時、今までも何度もあったこうした出来事が心の棘となって苦しみと共に想起、この地に来て祈り、連帯を示し、こうしたことが二度と起きないようにわたしたちの意識を呼び覚まそうと望んだ、と述べた。
人口5000人の同島には、毎年1万人以上がアフリカから欧州を目指してたどり着く。リビアで激しい内戦があった2011年には5万人が押し寄せた。同日朝も、1隻のボートに乗った166人が保護された。
イタリア内務省は今年、6月末までに約8千人の移民が船で漂着した、と発表している。そのうち約3700人が同島に着いた。
同島に着く前に難破で水死したり、船内で暑さや水不足などのひどい環境のために亡くなる例も多い。
教皇は同島で移民の支援にあたる人々の連帯の精神に心からの感謝を表明した。
教皇は、同日午後バチカンに戻った。
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