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【コラム】軍事カルトの時代における平和(シャローム)の探求(2)   木村公一

2004年5月25日07時05分
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<神の平和と地の平和>

前節で私たちは、神の国の内容である平和は常に《成ル》ものとして、「間近にある」ものとして経験することを学びました。したがって、平和を単に戦争以前の状態への回帰であるとか、天地創造においてすでに実現されていた原初的秩序であるとか、キリストの贖罪によってすでに回復された永遠の本質の体系である、という理解はすべて誤っています。聖書はそのような秩序について何も語っていません。

平和は歴史の意味と価値の源泉です。その平和を歴史的な世界から切り離して、永遠的な世界において成就された秩序とみなされるとき、歴史はその意味を失います。キリスト者の平和行動とは、各自が信仰においてイエスにおいて成就された神の国の平和を経験し、その《しるし》をこの世界に実現する働きです。神の国において実現している平和はこの世の王国にすでに勝利しています。それは歴史に働き、決して歴史と同一化することなく、歴史のただ中でこの世の帝国に対し自らを実現する動的な力です。

わたしは近年しばしば教育に携わる先生方の集まりに招かれますが、そこでよく聞くことは「今までの私たちの平和教育は正しかったのか」という自責の質問です。この問いには、教育による道徳の創造的な進歩が可能であるという先生方の信念が前提されているようです。

実際には、教育による道徳の創造的な進歩は不可能なのです。なぜなら、道徳的進歩は恵みと自由な決断の問題であって、成長の問題ではないからです。教育は、道徳的決断がなされる規準や水準を伝達できるだけであり、決断そのものは伝達できないのです。平和教育者がそのことに気づくとき、「教育基本法」はその本来の意味と力を発揮するはずです。

聖書は人間の歴史の領域に神の国の平和に対抗するデーモン(悪霊)的な勢力の存在を語っています(エフェソ六・十二)。こうして歴史は、神的なものとデーモン的なものとの闘いの場であることが明らかとなるのです。近代において「デーモン的」なものに関する理解が失われた原因は、進歩に関する近代的理念の勃興と、その理念が原始教会の創造的な歴史解釈を破壊したことによるのです。

地上に平和のしるしを実現する教会の奉仕は、デーモン的な「諸力」に関する理解を深める必要があります。なぜなら、デーモン的な諸力とは永遠的な世界に関係する概念ではなく、歴史的な実在に関係する聖書的な理解であるからです。

<木村 公一>

一九四七年東京生まれ。東京神学大大学院修士課程、西南学院大専攻科修了。八六年から二〇〇二年年まで十七年間インドネシア宣教師としてインドネシア・バプテスト神学大で教べんを執る。二〇〇二年十二月から福岡市の伊都キリスト教会(日本バプテスト連盟)協力牧師。二〇〇三年三月には「人間の盾」としてイラクへ。現在、講演会、討論会など全国で活躍中。

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