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教皇元執事に機密文書流出で禁固1年半判決

2012年10月9日10時40分
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 【CJC=東京】教皇ベネディク16世の元執事パオロ・ガブリエレ氏(46)に、バチカン(ローマ教皇庁)の機密書類流出問題を審理する裁判所は10月6日、教皇庁の機密書類を暴露した罪で、検察側の禁錮3年の求刑に対し、禁固1年6か月の判決を言い渡した。被告ガブリエレ氏は、裁判費用支払いも命じられた。

 事件はこの1月、被告が自らの権限を利用して、教皇ベネディクト16世への書簡など、機密扱いの内部文書を盗み出し、イタリアのメディアに渡したことが明らかになったもの。

 被告は5月24日、自宅で機密文書が発見され逮捕された。10月2日の被告人質問に対し、被告は文書の複写を流出させたことを認める一方で、「教会への心からの愛のためにやったことだ。自分が泥棒だとは思っていない」と起訴内容を否認した。「文書を外部に渡したのは私だけではない」とも述べた。

 ANSA通信などによると、被告は2010年から文書を2部複写し始め、1部を「外部の人間」に渡し、1部を自分で保管したという。動機については「信じられない状況がバチカン内に広がっていることに失望したからだ」とし、汚職などの是正をはかる考えがあったと示唆している。

 また「共犯者はいない」としたが、枢機卿ら聖職者数人の名を挙げ、「影響を受けた」と述べた。ただ「息子を愛するように接してくれた教皇を裏切ったことには罪の意識を感じる」と語った。

 判決が9月19日の初公判から1週間で出され、また判決後、教皇庁報道担当者が「元執事に教皇が恩赦を与えることになろう」と述べるなど、スキャンダルを早期に収拾させたい意向もうかがえる。

 インターネットの内部告発サイト「ウィキリークス」になぞらえて「バチリークス」と呼ばれたこの事件には、バチカン内部の権力争いが背後にあったという指摘もある。

 イタリアでは5月にジャーナリストのジアンルイジ・ヌッツィ氏がバチカンの汚職や腐敗、陰謀も明かす私信や文書を基に実態を暴露した『スア・サンティータ』(聖下=教皇に対する敬称)を出版している。

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