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榮義之牧師「天の虫けら」(68)・・・ノボシビリスク

2008年1月4日18時13分
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榮義之牧師+
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 次の訪問地ノボシビリスクはシベリア最大の都市だ。VIP並に空港まで案内され、だれよりも先に飛行機に乗せてもらう。しばらくほかにだれも来なかったので、一人のために飛ぶのかななどと心配する。ノボシビリスクに到着すると、ソーニャと言う美しいガイドが、機内に迎えにきてくれ、皆より先に降りる。観光案内はタクシーで、彼女が説明してくれる。第二次世界大戦の二万人の戦死者モニュメントの所で、「戦争は嫌い」と彼女は言った。カミュの墓や市内の主要な建物を回り、説明を聞く。



 この町でも公認バプテスト教会を探したが、町はずれも町はずれの田舎にあった。バスで一時間半も行った所でやっと見つけたが、集会日なのに礼拝をやっていない。牧師もいないし、門番の老婆が一人いるだけ。要領を得ず、二冊だけ聖書を置いて帰った。今考えても、あんな所までどうして行けたのか不思議だ。きっと主が、「これが道だ、これに歩め」(イザヤ30:21)と導いてくれたのだろう。



 この町に四日も滞在する予定になっていたため、ソーニャさんの勧めで夜はサーカスへ行った。その途中、ハリストス正教会で行なわれていた結婚式に紛れ込んで、若い二人の祝福を祈り、記念写真をいっしょに撮り、持っていた聖画とトラクトをお祝いに贈った。



 ノボシビリスクには、世界最長のオビ・エニセイ川が流れている。アムール川での船旅に味を占め、今度もまた船に乗ることにした。切符を買えたので、最初に出る船に乗り込んだ。満員状態だが、こちらからあちらへと両岸をゆっくりと進む。人々は次々に降りていき、二時間くらい過ぎたら、ほんの数人になった。そのうち二つの川が合流する地点まで来た。さすがに不安になり、このまま北極海まで行くのではなどと考えはじめていると、川の合流地点で船は向きを換え、今来た行路をゆっくりと戻りはじめた。ホッとした。何とも頼りなく、心細いひとり旅だ。



(C)マルコーシュ・パブリケーション




◇



榮義之(さかえ・よしゆき)



 1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。



 このコラムで紹介する著書『天の虫けら』(マルコーシュ・パブリケーション)は、98年に出版された同師の自叙伝。高校生で洗礼を受けてから世界宣教に至るまでの、自身の信仰の歩みを振り返る。(Amazon:天の虫けら)

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