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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」(27)…「木を植える人」になろう

2007年9月28日07時55分
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佐々木弁護士+
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週土曜日朝11:45〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。




◇




 「木を植えた人」。ご存知ですか。これはフランスのジャン・ジオノという人が書いた本の題名です。作家が一人旅をしてフランス南東部の無人の丘陵地帯にたどりつきました。



 そこで、一人の無口な羊飼いに出会いました。その羊飼いは、毎日100個のドングリを、荒れ果てた山に植えていたのです。鉄棒を地面に突き刺して穴を作り、その穴の中にドングリを1個入れて土でふさぐ。こうしてカシの木の種を100個づつ播いていったのです。



 その後、戦争が始まりました。戦後何年もたって、作家は再び同じ場所を訪れました。驚いたことに、かつての荒りょうとした山や谷が、緑の木々でおおわれ、せせらぎが流れている風景を見たのです。



 すごいですね。ひとつの明確な目標を持ってひとりの人が黙々と継続的に行動していくと、やがてその目標が達成されていくのですね。いや、その人が初めに持っていた目標をはるかに超えるような、すばらしいことが達成されるんですね。あの「木を植えた人」は、荒れ果てたはげ山を見て、なんとかして自分の手で少しでも木を植えてみたいと願って行動しただけだと思うのです。やっているうちにだんだんビジョンが広がってきたのではないでしょうか。広がったビジョンに向かってなおも黙々と木を植えていくうちに、とんでもないことになってしまったのだと思います。



 みんなで心を合わせて一緒にやることができれば、物事は早く大きく前進します。しかし、多くの場合、みんなの意見や思いが一致しません。一致しないと団体行動はとれませんから、何年も何十年も物事が進まないことになります。政府と住民の意見が合わないため、世界的観光地イタリアのヴェニスは、今や町中ごみの山だそうです。町は悪臭に満ち、カヌーに乗って観光客が楽しんできたヴェニスの運河はどろどろに汚れているそうです。



 一人なら自分の意志だけで行動できます。一人でできることは意外に多いのです。ほとんどの場合、新しいことをするには一人でやらなければなりません。「貧しい人たちの中でも最も貧しい人たちを救おう」と決心し、インドのカルカッタの貧民窟に飛び込んでいったのは、一人のか弱いカトリックの修道女マザー・テレサでした。彼女は周囲の反対を押し切って、たった一人で行動したのです。さまざまな闘いがありながらも、自分自身も病気にかかりながらも、彼女は死に行く人々を助けることをやめませんでした。



 彼女の働きに感動した人が一人加わり、二人加わりして、やがて大きな組織に発展していったのです。



 あなたも何か思い立ったら、まず自分一人で行動することです。うまずたゆまず黙々とやりつづけるのです。そうすると、あなたの当初の思いをはるかに越えた、すばらしいことが実現するのです。




◇




 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

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