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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」 (20)

2007年3月31日07時53分
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佐々木満男弁護士+
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週日曜日朝9:30〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。今日はその第20回目です。



                                     ◇
「創造するために破壊しなければならない」



 あなたは、「創造のための破壊」とか、「新しいものを造るには古いものを壊さなければならない」という言葉を聞いたことがありますか。



 私の事務所は東京の六本木にあります。六本木といえば、六本木ヒルズを連想しますね。回転ドアに挟まれてお子さんが亡くなったり、ホリエモンや村上ファンド問題と、六本木ヒルズに悪いイメージが付いてしまいましたが、それでも日本一高いオフィスタワー、高層レジデンスタワー、テレビ朝日ビルを含む六本木ヒルズは、新しい日本の象徴です。



 以前はこの地区は、古いビルや家屋が密集したなんの特徴もない地区でした。この地区を再開発して六本木ヒルズを造るためには、密集していた古いビルや家屋がたくさん壊されたのです。新しいものをを造るには古いものは壊さなくてはならないんですね。これはビル建設などのように目に見えるものでは、よくわかることです。



 でも、目に見えない物事の古い見方、古い考え方を新しいものに変えることは、簡単なことではありません。自ずから率先してできることではありません。なにか問題が起きたら、やむを得ず取り組んでみようということになるのが普通ですね。そういう意味では、何か問題が起きたということはいいことなんですね。「創造のための破壊」のチャンスなのです。まさに、「ピンチはチャンス」、ピンチこそ新しいことをするチャンスなのです。



 私は弁護士としていろいろな事件を解決するために働いていますが、同時にいくつかの事件を抱え込んでしまって身動きがとれないことがあります。たいていの事件は自分でやるか同じ事務所の他の弁護士にやってもらってなんとかなってきました。ところが、複雑で難しい事件になると他の弁護士にもまかせるわけにもいかず、自分で抱え込んでしまうのです。解決のために何度も取り組んでみるのですが、私が多忙なこともあって集中できず、一気に処理することができません。そのうちその事件は後回しになって長期間ファイルに寝たままになってしまうのです。でも、あの事件は遅れてしまっている、早くやらなければと、心のプレッシャーはどんどん大きくなっていきます。



 苦しまぎれにある時、事務所に入りたての弁護士一年生に、その事件を研修のために検討してもらうことにしました。そうしたら数日後、私が思いつきもしなかったような解決案をもってきたのです。「それはいい考えだ。じゃあそれでやってみて下さい」と事件の処理そのものも彼にまかせてみたら、一週間もたたないうちに解決してしまいました。



 この経験によって私の古い固定観念がこわれました。それは、「複雑で難しい事件を弁護士になりたての若い弁護士にまかせても無理だ」という固定観念でした。そして、新しい考えが生まれました。それは、「若い弁護士は頭が柔軟で気力も体力も充実しているから、複雑で難しいと思われる事件でも解決することができる」という考えです。



 以後、どんな雑事件でも若手弁護士にまかせて、協力して楽しく問題の解決に当っています。一人だけで問題を抱え込んでしまうことがなくなりました。



 あなたも、さまざまな問題を通して、古いものをこわして、新しいものを造り上げていかれたらどうでしょうか。



                                     ◇



 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。

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