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ささきみつおの「ドント・ウォリー!」(50)・・・意地を張りすぎない

2008年4月22日17時21分
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佐々木満男弁護士+
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 『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週土曜日朝11:45〜、インターネットhttp://vip-hour.jpで24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。(Amazon:どんなことにもくよくよするな!)




◇



1.こだわりの時代



 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」。夏目漱石の「草枕」の一節です。あなたは、智に働く方ですか、情に流される方ですか、それとも、意地を通す方ですか。



 今は「こだわりの時代」と言われます。髪型にこだわり、服装にこだわり。料理にこだわる。周囲に流されないで、自分の個性を生かすためには、「こだわり」は大切です。「がんこ」という和食レストランのチェーン店があります。町を歩いていたら、「意地っ張り」というラーメン屋さんがありました。



 しかし、何でもこだわればいいというものでもありません。自分だけで何かにこだわってもいいですが、他の人たちがからんでくると、こだわりすぎて無理に自分の意地を通すと、窮屈な状況を生み出してしまいます。しまいには、にっちもさっちも行かなくなってしまいます。もちろん、他の人たちも自分のこだわりに同調してくれて、「みんな一緒にこだわろう!」と言えば、グループ全体としての個性を生かして表現することができるでしょう。でも、他の人たちが同調してくれないのに、自分だけでこだわるなら、そこに大きなストレスが生まれてしまいます。



2.死んでも戦う!



 ある紛争事件で、相手方と交渉して和解することになりました。「裁判にならずに解決してよかった」と、依頼者は喜んでくれました。和解契約書を作り、依頼者のハンを押して、相手方に送りました。ところが、「もう一度考えてみたが和解しないことにした。絶対に和解契約書にはハンを押さない。死んでも戦う!」と言って、自分の周囲の反対を押し切って、相手方は和解をご破算にしてしまいました。



 やむを得ず依頼者は訴訟を提起しました。複雑な事件でしたので、裁判は一件だけではなく、十件以上にも広がりました。まさに、大訴訟です。莫大な弁護士費用をかけて原告被告の必死の攻防が続きました。



 何年もかかりましたが、次々に依頼者が勝訴して、相手方はすべての裁判に負けてしまいました。そして最後の敗訴判決が出てしばらくして、突然相手方が死亡してしまったのです。紛争が継続したことによるストレスが原因だったと思います。和解をご破算にした時に宣言した、「死んでも戦う!」と言ったことばが現実になってしまいました。



 結果論ではありますが、あの時和解契約書にハンを押していれば、相手方はその和解金で新しいビジネスを始めて成功していたのではないかと思います。いのちまで失うことはなかったのではないでしょうか。



3.こだわりの限界



 こだわったり、意地を張ったりすることは、必ずしも悪いことではありません。ただ、「何のためにどこまでこだわるのか」、「何のためにどこまで意地を張るのか」を見極めることが大切ですね。



 人間の基本的人権を守るためとか、人のいのちを守るためとかに、周囲の反対を押し切っても、体を張っていのち掛けで戦うことは立派なことです。アメリカの奴隷解放のために戦ったリンカーン大統領や黒人の公民権獲得のために戦ったキング牧師は、反対派によって銃弾で殺されました。しかし、その功績は、世界の歴史に永遠に輝いています。



 でも、ビジネスのトラブルで賠償金額をいくらにするかにこだわって、いのちまで犠牲にすることはないと思います。訴訟中にも何度も和解のチャンスはあったのです。それをことごとく拒絶してきた果ての壮絶な死です。



 「こだわる」ことも時には大切ですが、「意地を張りすぎる」と元も子もなくしてしまうことになりかねませんから、注意しましょう。




◇




 佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。



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