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悲しみを通じて知った祈り合う大切さ 現地の牧師に聞く熊本地震1年

2017年4月15日07時00分 印刷
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2016年4月14日と16日に震度7を記録した地震が熊本県を中心に襲ってから1年。日本ナザレン教団熊本教会(熊本市)牧師の中出牧夫氏と、九州キリスト災害支援センター熊本ベースのディレクターで熊本ハーベストチャーチ牧師の中村陽志氏にこの1年間を振り返ってもらった。

被災現場で手を取り祈られたことに感激

悲しみを通じて知った祈り合う大切さ 中出牧夫氏と中村陽志氏に聞く
中出牧夫牧師

日本ナザレン教団熊本教会は、会堂の天井が崩れるなど大きな被害を受けた。牧師の中出氏は言う。「1年が経過し、表面的には平穏な日々を取り戻したかに見えますが、いまだに余震が続いており、下からドンと突き上げるような揺れが来る時には、つい身構えてしまいます」

教会員の中にも、仮設住宅での生活を余儀なくされている人もいる。また、命は助かったものの、倒壊した家の解体がやっと終わり、ここから新しい家を建て直すのに二重ローンを背負わなければならない人もいる。先行きの見えない不安を多くの人が抱えているのだ。

震災翌日に、熊本県のさまざまな教派の牧師を中心に作られた「熊本キリスト災害支援センター」と、隣接する福岡県にあった「支援センター」が合併する形で「九州キリスト災害支援センター」(九キ災)が立ち上がった。東日本大震災を教訓にして、迅速かつ効率的な支援を展開した九キ災は、多くの団体が支援を打ち切る中、今もなお援助活動を継続している。

中出氏は九キ災についてこう話す。

「非常に迅速な対応によって、地域の方々に主の愛と恵みを分かち合うことができたと思います。一番被害の大きかった益城町に本拠地(熊本ベース)を置き、市からも信頼される働きを続けています。これは主の大きな憐(あわ)れみだと思います」

震災以降、熊本教会には、全国からの励まし、支援物資、献金が届けられた。また、教団教派を超えて、多くの牧師、信徒が激励に現地を訪れ、尊い義援金を届けに来てくれたという。

「主にある愛の心にどんなに励まされたことでしょうか。何よりも、被災現場で手を取り祈ってくださったそのことに感激しました。1年がたち、多くの人に忘れられそうになっていますが、必要はまだまだこれからです。地元からは九キ災に『手伝ってほしい』との依頼が来ます。ボランティアも少なく、スタッフが対応していますが、追いつかない状態です。ボランティアが必要です。運営資金はこれからも必要です。お祈りに覚えていただければ感謝です」

悲しみを通じて知った祈り合う大切さ 中出牧夫氏と中村陽志氏に聞く
被災直後の熊本教会の礼拝堂(左)と礼拝堂修復完成後に持たれた最初の礼拝の様子

悲しみから寄り添う気持ちが生まれた

熊本ハーベストチャーチ(熊本市)牧師の中村氏は、九キ災熊本ベースのディレクターとして、この1年間、現地だけでなく、日本各地を飛び回り、現況を報告し、支援を訴え続けてきた。

支援活動を始めた動機は何だったのか。中村氏に聞くと「成り行きに任せたというのが本音です」という答えが返ってきた。この「成り行き」という言葉には、実は深い意味が込められている。

中村氏自身も被災者だ。しかも、ボランティアを受け入れた教会も被災している現実の中で、牧師として多くの葛藤があったという。しかし、気が付けば周辺の教会や支援団体が次々と協力してくれた。「皆さんが助けてくれた」との感謝が込められているのが「成り行き」という言葉なのだ。

悲しみを通じて知った祈り合う大切さ 現地の牧師に聞く熊本地震1年
中村陽志牧師

九キ災のこれまでの活動は、本紙を含めすでに多くのメディアで紹介されてきた。今回は、その中でもあまり語られなかった中村氏の心の内を聞くことができた。

今から6年前、中村氏は、東日本大震災の被災地だった宮城県女川町に自転車を届ける準備に取り掛かっていた。これは、「現地の移動手段として自転車がほしい」との要請に応えたもので、100台を手配中だった。

そのような中で衝撃的な知らせが中村氏の元に届いた。福岡で一人暮らしをしていた父が火事で亡くなったのだ。コンセントに積もったほこりが発火原因だったという。その少し前に父を訪ねていた中村氏は、近々、自分たちが住む熊本に連れてこようと思っていた矢先だった。

「神様、僕は支援どころではありません」。そう訴えたが、東北には自分と同じような思いをしている人が大勢いる。自分が今できることは、被災地から必要だと頼まれた自転車を届けることだ。そう思い直して、中村氏は自転車を貨物列車に載せて現地に向かった。

ある夜、届け先の村の人とたき火を囲んでいたとき、村長が尋ねた。

「中村さん、何であなたはここに来たんですか」

中村氏が父親を火事で亡くしたと打ち明けたところ、皆が一緒に泣いてくれたという。その彼らが熊本地震の時、中村氏の働きを支えてくれた。女川から新鮮なカキを持参してボランティアやスタッフに振る舞ってくれたのだ。その姿は「美しかった」という。

「この時の僕は、6年後の今の状態を全く想像すらしていませんでした。神様の永遠へとつながる視点は素晴らしい」

悲しみを通じて知った被災者への深い思い 九州キリスト災害支援センター 熊本ベースディレクター 中村陽志牧師
九キ災による被災者の自宅片付け作業の様子。これまでに6200人を超えるボランティアが参加したという=3月16日、作業現場(熊本県益城町)で

震災から1年がたち、これからは被災した各教会がどのように強い協力関係を築き上げていくかが重要だ、と中村氏は言う。復興して暮らしは落ち着いていくが、より開かれた教会としての役割が求められている。

九州キリスト災害支援センター(九キ災)の支援口座
■ ゆうちょ銀行
記号:17410 番号:89238981
■ ゆうちょ銀行以外の金融機関からの振り込み
店名:七四八(店番:748)(普)8923898

※ 送金後、メール(kyusyuchristdrc@gmail.com)に住所、連絡先を送ると、ニュースレターや趣意書、お礼状、領収書などが送られてくる。

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