「置かれた場所で咲く花に」 渡辺和子さんの学園葬に3500人

2017年2月13日13時14分 記者 : 守田早生里 印刷
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+「置かれた場所で咲く花に」 渡辺和子さん学園葬・お別れ会
ほほ笑むシスターの遺影に多くの人が勇気と元気をもらった=12日、岡山国際ホテル(岡山市)で
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昨年12月30日に89歳で帰天したノートルダム清心学園理事長、渡辺和子さん(修道女名:シスター・セント・ジョン)の学園葬が12日、岡山国際ホテル(岡山市)で行われた。学園葬は追悼ミサとお別れの会の2部構成。同学園の卒業生をはじめ、財界、各宗教界から約3500人が参列した。

渡辺さんは1963年に36歳でノートルダム清心女子大学学長に就任。「生涯現役」をモットーに、最期を迎える直前まで教壇に立ち続けた。著書『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)がミリオンセラーになった後も、多くの学生から身近な存在として慕われた。

「シスターはいつも学内で声を掛けてくださった。近寄りがたい雰囲気はなかった。講義の時、年に数回、小さな紙に授業の感想を書いて提出するが、シスターからひと言、返事をもらえるのがとても楽しみだった」と卒業生。

西江和司・カトリック岡山教会主任司祭はミサの中で、「あなたの元に召されたシスター・セント・ジョン渡辺和子の上に、いつくしみを注いでください。あなたの限りない愛を信じる者にとって、死は終わりではなく、私たちとの絆を断ち切るものでもありません。キリストの復活の光の中に希望を持ってあずかることができますように」との祈りをささげた。続いて説教の中では次のように語った。

「故人が人として遺(のこ)した遺産は、他人が触れることはできない。しかし、シスター渡辺が遺したのは、キリストにある遺産。これは誰でも触れることができるのではないか。キリストにある霊性こそ、シスターが遺した遺産」

式次第に従って祈りや賛美がささげられた後、聖体拝領(聖餐式)が行われ、ミサの最後には「神ともにいまして」(カトリック聖歌660番)を皆で歌った。

「置かれた場所で咲く花に」 渡辺和子さん学園葬・お別れ会
友人代表のあいさつをした青山俊董堂長

続いて行われたお別れ会では、学校関係者、同窓生代表、幼稚園、小中高、大学のそれぞれの代表者からお別れの言葉があった。友人代表としてあいさつに立ったのは曹洞宗愛知専門尼僧堂(名古屋市)の青山俊董堂長。

「『時間の使い方は命の使い方ですよ』など、足元を照らす多くの言葉を賜った。昨年、私の著書の推薦文を書いていただき、そのお礼を御年始のあいさつと共に書き添えようと思っていたのに、私の声も賀状も届かぬところに行ってしまわれたと思うと、残念でならない。しかし、生死の境を超えて、静かなほほえみの中に、私たちをこれからも導いてくださいますよう」

「置かれた場所で咲く花に」 渡辺和子さん学園葬・お別れ会
親族代表の小林依子さん

また、親族代表として、渡辺さんと7つ違いの姪、小林依子さんが言葉を述べた。渡辺さんが母親の猛反対を押し切って受洗した直後は、一緒に疎開生活をしていたこともあるなど、幼少期は姉妹のように仲良くしていた。

昨年10月末に入院したとき、渡辺さんは「私は修道院に帰るべき」と退院を強く望んでいた。そして12月19日に退院する前、小林さんに「私、お父さんの子でよかった」と話したという。

渡辺さんの父親は陸軍教育総監だった渡辺錠太郎氏。1936年、「二・二六事件」で青年将校に襲撃され、自宅の居間で命を落としたが、その様子を渡辺さんは間近で目撃していた。

「80年の時を経て、雪の降る寒い日に突然逝った父親と再会できて、今、叔母は少女のように喜んでいるのだと思う」と小林さん。最後に、渡辺さんがいつも手紙の最後などに記していた「みなさん、どうか『お大切に』」という言葉で結んだ。

「置かれた場所で咲く花に」 渡辺和子さん学園葬・お別れ会
安田善三郎さん

式には、「二・二六事件」で渡辺総監にとどめを刺したとされる青年将校の弟、安田善三郎(91)さんも出席し、献花をした。

事件から50年後の1986年、青年将校らの法要に渡辺さんが初めて訪れたとき、偶然、安田さんが案内することになった。その人が渡辺総監の娘であることを知り、安田さんは涙ながらに謝罪。その後、手紙などを通して交流が始まった。渡辺さんが関東地方に講演などで来るときには、安田さん宅を訪れ、食事を共にしたこともあった。やがて渡辺さんに導かれるように、1991年、神奈川県内のカトリック教会で受洗した。現在もミサを守り、自宅では聖書を読むことを欠かさないという。

「私は、シスターの姿にキリストを見たような気がしている。どうして、自分の父親を殺した犯人の墓に手を合わせたり、その弟の私と食事を共にしたりするようなことができるだろう。私は、シスターの100分の1、千分の1にも満たないが、あのような人になりたいと思った」

「渡辺さんとの会話の中で、思い出深い聖句は?」と尋ねると、「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」(マタイ11:28)を安田さんは挙げた。

受洗の際、記念にロザリオ(祈りの時に使う数珠状のもの)をプレゼントされ、以来、大切にしているという。学園葬のあった12日にも安田さんはそのロザリオを手にしていた。

年末に渡辺さんの訃報を聞いたときは、ショックのあまり記憶がないほど落ち込んだという。「シスターには感謝しかない」

献花は1時間以上に及び、ほほえみかけるシスターの遺影に、悲しみのうちにも勇気と元気をもらって会場を後にする人の姿も見られた。参列者には渡辺さん直筆の「置かれたところで咲く花に」という言葉とサインの印刷されたカードが配られた。

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