平林けい子
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主は生きておられる(166)夏雲、秋の雲 平林けい子
買い物の帰り。ゆっくりゆっくり歩いていた。角を曲がって、立ち止まった。天までつき抜けるような入道雲が立っていた。こんな巨大な綿菓子、何千人もの子どもが食べられるよ。「夏の終わりによく見ておきなさい」
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主は生きておられる(165)一緒にいてくださった 平林けい子
激痛のあまり、「イエス様助けてください」と言えなかった。言えたのは、「痛い、イタイ!」50年近く、聖書のみ言葉を頂いてきたのに、愚かな、不信仰な自分に泣き崩れた。
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主は生きておられる(164)見とれてしまう 平林けい子
朝、ベランダで洗濯物を干しながら見上げた。あまりにも美しい空、見とれてしまう。イエス様、ありがとうございます。AIを使っても、こんな澄み切った空を造ることはできません。
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主は生きておられる(163)敗戦75年 平林けい子
コロナウイルスの脅威の中で敗戦75年を迎えた。あの痛ましい戦争が、遠くなりにけりではないか。開戦時、私は国民学校1年生、終戦時は5年生。修学旅行も知らない。戦時下を生きた者として、私にできることはないか。
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主は生きておられる(162)数えてみた 平林けい子
40年ほど前、試練のなかで明日の糧も乏しくなり、どうすればよいか途方に暮れた。その時、恵みを数えてみた。ノートに書きはじめた。1ページが終わって、2ページ3ページと続いた。息ができることから始まって、見える、聞こえる、話せる。
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主は生きておられる(161)「少ししか」の喜び 平林けい子
少ししか持っていない。少ししかあげるものがない。少ししかできない。少ししか分からない。少ししかもらえない。「少ししか」という言葉の後には、「ない」という否定語がつく。
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主は生きておられる(160)老々介護 平林けい子
まさか90代の夫を80代の私が老々介護するとは。老々介護はしんどい、腹立たしい、投げ出したい、優しくできない、すべてを受け入れられない。すべてのことを主に対してするようにしなさい。「できません」
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主は生きておられる(159)宝庫 平林けい子
宝物を探すことは面白いかもしれないが、宝物を欲しいと思ったことはない。ところが、宝庫が自然に与えられた。歳を重ねるにつれて、右を向いても左を向いても、前を向いても後ろを向いても、お世話になるばかり。
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主は生きておられる(158)蛍 平林けい子
今年は行けないけど、この時期友に誘われて近くの小さな川べりに蛍を見に行った。普段は関心を持たれない川が、この時だけ人でにぎわう。あ、あそこ。ほら、むこうにも。光り輝く蛍に目をこらす。
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主は生きておられる(157)スローペース 平林けい子
若い頃、母と歩いた。もっと早くと母をせかした。何をそんなに急いだのだろう。歩くのがもどかしくて、常に自転車で走っていた。歳を重ねた今、私は一足一足ゆっくりゆっくり歩く。歩けることがうれしく感謝。急がなくてもいいよ、イエス様の声。
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主は生きておられる(156)生き切る 平林けい子
94歳の夫は口癖のように言う。「生きるのがしんどい。もうすぐかもわからない」。私は繰り返す。「生きるのがしんどいのね。もうすぐかもわからないのね」。そばで見ていて長寿のしんどさを感じる。
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主は生きておられる(155)天ぷら 平林けい子
ひさしぶりにてんぷらをつくる。揚げる材料を切って小麦粉を水で溶き、油の鍋にポトン。ジューと天ぷらの花、いい匂い。40数年前、試練の中で食費にも欠いたとき、てんぷらをつくった。
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主は生きておられる(154)主の目的を知って 平林けい子
85年の人生の中で、涙の谷、苦しみの谷、思い煩いの谷を幾つも越えた。越えた後に、感謝と喜びの泉を見つけた。イエス様は、私を鍛えようと目的をもって導かれたのだった。
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主は生きておられる(153)変えられた日 平林けい子
あまりにもつらくて人と話したくなかった日が、あまりにもうれしくて人に話せずにいられなくなった日に。あまりにも悲しくて立ち上がる力がなくなった日が、あまりにも多くの励ましで生きる力を伝えずにはいられなくなった日に。
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主は生きておられる(152)解除 平林けい子
緊急事態宣言、解除。解除と聞いて警戒警報解除、空襲警報解除を思い出す。「欲しがりません 勝つまでは」の心で生きていた小学生時代。「ウー」というサイレンで、友達と遊びをやめて家に飛んで帰った。
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主は生きておられる(151)新緑 平林けい子
新緑の今、疲れた目も、困りはてた目も、イライラする目も、悲しみに沈む目も、周りの新緑を見ると、ほっとする。心が和む。美しさに圧倒される。励まされ、力をもらう。新緑は新しい命、希望、底からのよろこび。
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主は生きておられる(150)チューリップに励まされて 平林けい子
数十年前、悩みと疲れの中、自転車をこいでいた。入院中の夫を見舞うため。ふと気が付いた。狭い畑に赤や黄色のチューリップ。ひしめき合うように咲いていた。一本一本が言った。「暗い土の中で長い間、じっと待っていた。やっと今、咲いた」
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主は生きておられる(149)衣替え 平林けい子
衣替えの季節、厚いセーターを脱いだ。さあ、何を着ようか。薄手のブラウスが良いか、やっぱりこの方にしようか。風に心地よいこの生地が、気持ちが良い。体を覆う衣服、季節によって衣服を替えられる。心を覆う衣服はあるか。
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主は生きておられる(148)今こそ 平林けい子
今こそ目を開いて見よう。今こそ耳を澄まそう。美しい朝、昼、夜の空。咲こうと待っていたきれいな花々。道端のコンクリートの割れ目から、コンニチハと顔をのぞかせるタンポポ。
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主は生きておられる(147)大空 平林けい子
空の色の不思議。空色といっても春の空色と秋の空色とは違う。薄い水色の空には薄いピンク色の桜が似合う。濃いコバルト色の秋の空には赤いもみじが似合う。大空と語り合える不思議。疲れた、つらい。さあ、見上げてごらん。
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