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戦後70年

従軍作家たちの苦悶 若井和生

2015年5月8日12時12分 コラムニスト : 若井和生
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関連タグ:若井和生岩手フィリピン

8月になると、戦争を振り返るドラマやドキュメンタリーが毎年テレビで放映されます。今年観たものの中で特によかったと私が思ったのはNHKで放映された「従軍作家たちの戦争」というドキュメンタリーでした。

石川達三、林芙美子、吉川英治といった当時の日本を代表する作家たちが戦争に徴用され、陸軍のメディア戦略の中で国策に利用されていった事実を紹介する番組でした。

私はかつてフィリピン留学中に、戦時中、キリスト教会の神父や牧師たちが国策のために利用されていった矛盾や苦悩について調べ、論文を書いたことがあります。そんな私にとって、とても興味深い内容でした。

番組が特に注目していたのは芥川賞作家の火野葦平です。従軍記者として中国に送られて以来、戦争の様子を記し続けました。火野の著した『麦と兵隊』『土と兵隊』『花と兵隊』の「兵隊三部作」は、300万冊も売れる大ヒットだったそうです。

ただし火野は暴力的で荒廃した戦場の姿を記したのではなく、人間的で日常生活の延長であるかのような戦争の姿をドラマチックに描きました。その結果、火野は戦意高揚に多大な貢献をし、売れっ子作家になりました。

ところが戦後、火野が戦争中に戦地で書き記したという20冊の手帳が発見されました。その中に記された火野のなぐり書きの中に、戦争のありのままの姿が記されていたのです。

番組の中ではさらに、火野が戦後『麦と兵隊』に自ら修正を加え、加筆していたエピソードが紹介されていました。そこで、火野が記した事実、それは日本兵によって中国の民衆たちが殺害されていく様子。戦争の暗黒面を書き記し、それをもって「決定稿」としました。

火野葦平という作家について、私は何も知りませんでしたが、自らの戦争責任と戦後も向き合い、苦悶し続けた作家であることを知らされました。自らの記した作品によって戦争を美化し、多くの若者たちを戦争に駆り立ててしまった自らの罪に苦しみ続けました。戦争の不条理と恐ろしさを別の角度から教えられる番組でした。

「戦争は自由な言論が統制されるところから始まる」。番組の中で作家の浅田次郎が語っていた言葉が心に残りました。言論の自由が奪われ、都合の悪い部分がひた隠しにされ、反対意見が言えなくなる。そのような社会状況から戦争が始まるとするならば、戦時体制はもうすでに始まっていると言えるのではないでしょうか。火野ら従軍作家たちが味わった苦しみが無駄にならないように、私たちには今、どんな努力ができるでしょうか。

(『みずさわ便り』第101号・2013年9月1日より転載)

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◇

若井和生

若井和生

(わかい・かずお)

1968年、山形県生まれ。1992年より国立フィリピン大学アジアセンターに留学し、日比関係の歴史について調査する。現在、岩手県の水沢聖書バプテスト教会牧師。「3・11いわて教会ネットワーク」の一員として、被災地支援の働きを継続中。妻、8歳の息子と3人家族。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:若井和生岩手フィリピン
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