2004年の大統領選の投票日直前に反戦を訴えるメッセージを礼拝中に語ったとして、米カリフォルニア州南部最大の聖公会教会が米国国税庁から調査を受けていることがわかった。
米紙クリスチャンポストによると、米聖公会のオール・セインツ教会(パサディナ市)で6日、エドウィン・ベーコン同教会主任牧師は、同教会が非課税の対象外となる可能性があるとの通知を国税庁から受けたことを教会員に明かした。調査対象となった礼拝メッセージは、同教会前任のジョージ・リガス牧師が2004年10月31日に語ったもの。大統領選を2日後に控えたこの日、リガス師はゲスト説教者としてメッセージを取り次いだ。同牧師は1995年に引退している。
リガス師は説教の中で、イエス・キリストがジョージ・ブッシュ、ジョン・ケリー両候補(当時)と政治討論をする例話を語った。リガス師は、「深い信仰を持つ良き人々」がどちらの候補に投票しても良いとした上で、戦争や妊娠中絶、国家予算に関するブッシュ候補の主張に明確に反対する持論を展開したという。
同師はこの説教を「もしイエスがケリー議員、ブッシュ大統領と討論していれば」という題で語った。「イエスはブッシュ大統領に『先制攻撃は誤った政策だ。切迫した脅威もない“敵”の経歴を強制的に書き換え、かえって悲劇を招く結果となった』と語ったはず」などと述べたという。
リガス師は「イエスの信仰は成果主義、好戦、米国主義であるかのような認識が広まってしまった」「私は中絶ではなく、自己決定権を支持する。望まない子を女性に強制的に与えることは女性にとって苦痛と屈辱」などと付け加えたという。
現在同教会を主任するベーコン師は「われわれの教会は何ひとつ違反などしていない」「国税庁の懸念は事実的根拠に基づかない」などとする声明を発表した。個人的見解を述べることと政治的支持を求めることは同一ではないと主張している。
クリスチャンポストはベーコン師の話として、リガス師は説教の最後に「投票に出かけるとき、平和を創り出す方、イエスについてあなたが知っている全てのこと、あなたにとってイエスが意味するもの、あなたの根本的価値観を一緒に持っていって欲しい」と述べた、と伝えた。
米政府は、組織が非課税優遇措置を受けるための条件として「政治活動の禁止」を挙げている。違反例が1件でも明確に証明された場合は優遇解除の対象となるが、まれだという。
保守派からリベラル派まで幅広く参加する言論ネットワーク、ピュー・フォーラムが主催した討論会では、同庁からの通告で不快な思いをしたり威圧感を感じたなどとする発言が相次いだという。
ベーコン師は、牧師が礼拝中に人生の中核的な価値観に言及することを法的に制約すべきでないと述べ、「価値観を教えるのが教会の役割。戦時中の大統領選ということを理由に平和に関する価値観を述べることを禁じるのは、民主的主権を保持する国民に対する侮辱だ」と非難した。
ベーコン師によると、この教会は今年6月9日に国税庁から最初の通達を受けた。その後、大統領選以前に教会内で配布された文書や教会規約を同庁に提出したが、同庁から不十分と報告されたという。
同教会は非課税措置を専門的に扱う弁護士を選び、全面的に争う構えだ。
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