東アジア初、日本でユダヤ人伝道の国際会議 12の国・地域から参加

2017年11月21日11時28分 記者 : 内田周作 印刷
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「2017年 東アジア・ユダヤ人伝道カンファレンス」の東京・公開フォーラムには、韓国や中国、イスラエル、米国など計12の国と地域から来日した海外からの参加者を含め、約130人が参加した=18日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で
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ユダヤ人伝道をテーマにした東アジア初の国際会議「2017年 東アジア・ユダヤ人伝道カンファレンス」が13日から15日まで、和歌山市の近畿福音和歌山ルーテル教会(チャールズ・クリンゲンスミス牧師)で開催され、一般向けの公開フォーラムが16日に大阪で開かれた。また、東京での公開フォーラムも18日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で行われ、約130人がユダヤ人伝道のビジョンを分かち合った。韓国や中国、イスラエル、米国など計12の国と地域から、ユダヤ人伝道団体の代表者らも参加した。

この会議を主催したのは、ローザンヌ・ユダヤ人伝道協議会(LCJE)日本支部。1974年、全世界の福音主義指導者がスイスのローザンヌに集まり、世界宣教会議を開いたことに端を発する「ローザンヌ運動」の継続的な働きだ。2015年、エルサレムで開催されたLCJEの国際会議にクリンゲンスミス氏が参加したとき 、日本での開催を思い立ち、今年初めて実現した。

まず午前は、各国におけるユダヤ人伝道をめぐる神学教育について、次の4人が発表した。韓国・白石(ペクソク)神学校校長でアジア神学協議会(ATA)韓国支部議長のキム・ジンソプ氏。イスラエルで中国人向けの旅行ガイドを行うシンガポール出身のケニー・リム氏。米ユダヤ人伝道団体「ツェダカ・ミニストリーズ」会長のエイミー・ダウニー氏。お茶の水聖書学院教務主任の福井誠氏(日本バプテスト教会連合玉川キリスト教会牧師)。

福井氏は、日本の神学校が持つ2つの課題を紹介した。1つは、ヘブライ語やギリシャ語の習得など、基礎教育には多くの時間が割かれるが、伝道・牧会上の実際的な教育が十分でないこと。もう1つは、講師が一方的に教える講義スタイルの授業に終始していること。改革を求める声もあるが、神学教育の現場では教えることがすでに多過ぎる上に、伝道・牧会上の実践教育も充実させ、さらにユダヤ人伝道について盛り込むのは難しいという。

「日本では、ユダヤ人伝道に熱心な人と、まったく関心を持たない人との温度差が激しい。日本人には、ユダヤ人を含めた世界宣教に対する正しい認識と霊的な熱心さを持つことが非常に必要だ」と福井氏は問題提起した。

東アジア初、日本でユダヤ人伝道の国際会議  12の国・地域から参加
パネルディスカッションの発題者。左から、韓国・白石(ペクソク)神学校校長のキム氏、米ユダヤ人伝道団体「ツェダカ・ミニストリーズ」会長のダウニー氏、イスラエルで中国人向けの旅行ガイドを行うリム氏、お茶の水聖書学院教務主任の福井氏。

その後、4人によるパネルディスカッションが行われた。「限られた神学教育の中で、どのようにユダヤ人伝道を教えるか」とのクリンゲンスミス氏の問い掛けに、「神学校の教授でもイエスのユダヤ的ルーツをあまり理解していない者がいる」とダウニー氏が指摘すると、「福音を理解するためには、まずイエスがユダヤ人であったことに思いを向けるべき」とリム氏、「神学校の教師の問題は大きいと思う」と福井氏も同調した。

キム氏は多くの神学生を教えてきた経験から、「聖書の全体像を教えることが重要。全体像を捉えれば、イスラエルを排除することはできない」と語った。また福井氏も神学教育の充実を訴えた。

「牧師は人の人生を左右する重要な仕事。神学教育は通常4年だが、医学教育と同じ6年は必要ではないか。さらに、卒業後も継続して生涯教育が求められる。ただ、日本の村社会的な文化がキリスト教界にもあるため、充実した神学教育のためには、神学校間のネットワーク作りをしなければならない」

LCJE国際ディレクターのメルニック氏(左)
LCJE国際コーディネーターのメルニック氏(左)

午後はまず、LCJE国際コーディネーターでロシア系ユダヤ人伝道に従事しているジム・メルニック氏が基調講演を行った。

今年、宗教改革500年を迎えたが、マルティン・ルターは数々の功績がある一方、ユダヤ人への差別的発言もしており、それが今のクリスチャンの世界観にも影響していると話した。また、ドイツ最大のプロテスタント教派であるドイツ福音主義教会(EKD)が昨年、「世界宣教はすべきだが、ユダヤ人には伝道するべきでない」との声明を発表したことを取り上げた。これはホロコースト(ナチスによるユダヤ人大量虐殺)への罪悪感から来ているとし、過去の歴史に縛られず、ユダヤ人に福音を伝えることが大切だと訴えた。

その後、参加団体の活動紹介が行われ、日本人による報告もあった。京都でユダヤ人旅行者向けの無料ゲストハウス「バルハバ京都」を運営する石井田晶二氏(シオンとの架け橋)。世界各国のユダヤ人ろう者に向け、数カ国の手話で伝道を行う「メシアの家」代表の網本善年氏。これまで3千人余りのユダヤ人に福音を伝えてきたエターナル・ラブ・イスラエルの宮本純子氏(シャローム教会牧師)。イスラエルを含め世界各国にマンガ聖書を送り届けている新生宣教団の田倉誠一氏だ。

石井田氏によると、近年、観光などで来日するユダヤ人が増えているという。イスラエルのパスポート保持者だけでも、2010年までは1万〜1万5千人で推移していたが、ここ5年余りは毎年増加し、今年は3万4千人が見込まれる。イスラエルには徴兵制があるが、退役後は海外旅行をする人が多く、ユダヤ人伝道は、観光で訪れたユダヤ人も重要な対象になるという。

東アジア初、日本でユダヤ人伝道の国際会議  12の国・地域から参加
増加する来日イスラエル人(ユダヤ人)を示す「シオンとの架け橋」の石井田氏(左)

続いて、イエスを信じて救われ、今はユダヤ人伝道団体の代表として活動しているメシアニックジュー(ユダヤ人クリスチャン)の3人が講演を行った。そのうち2人はニュージーランドで働きを行っており、主にユダヤ人観光客を対象にしている。その1人、オムリ・ヤアコボビッチ氏は、自身も20年前にニュージーランドを訪れた際、宿泊先のオーナーがクリスチャンだったことから回心した。それから3年後にユダヤ人観光客向けのゲストハウスを広げる働きを始め、現在、そのネットワークは世界中に広がっている。「海外に行かなくても伝道ができる。さらに家を出なくても伝道ができる」とアピールした。2020年に東京オリンピックが開かれる日本では、開催までの3年間に宿泊場所を提供してくれる500人を探す計画だという。

最後にクリンゲンスミス氏が次のように語って公開フォーラムは幕を閉じた。

「今日学んだことをぜひ教会へ持ち帰ってください。そして、祈ってください。私たちは、自国に来ているユダヤ人を見る目、愛する愛、語り合う口と耳、そして彼らに仕える手、また共に歩く足が必要なのです」

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