ネパールで「改宗禁止法」成立、大統領が署名 キリスト教団体が懸念

2017年10月29日23時07分 翻訳者 : 野田欣一 印刷
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ネパールの首都カトマンズ=2012年5月24日(写真:Royonx)
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ヒンズー教が多数派を占めるネパールで、ビドヤ・デビ・バンダリ大統領が16日、改宗や宗教感情を害する行為などを禁じる「改宗禁止法案」に署名し、同法が成立した。キリスト教迫害監視団体「世界キリスト教連帯」(CSW、英語)が20日に伝えた。

同法案は8月に議会で可決され、バンダリ氏の署名を待つ状況だった。英カトリック・ヘラルド誌(英語)によると、同法の成立により、改宗の手助けなどをすれば5年以下の懲役、宗教感情を害する行為をした場合には2年以下の懲役などが科されることになる。信教の自由を訴える活動家らはこれまで、バンダリ氏に対し法案に署名しないよう求めていた。

CSWによると、「ネパール信教の自由フォーラム」の創設メンバーで議長のタンカ・スベディ牧師は次のように語った。「この法案が成立したことを心から悲しんでいます。大統領や他の議員たちに対し、この法案を修正するよう訴えていましたが、無視されてきました。この法律は、表現の自由と信教の自由をかなり制限するものであり、ネパール政府は(時代に)逆行しています」

一方、インド東部のジャールカンド州でも8月、改宗を禁止する法案が州議会を通過し、現在、同州の知事と首相の署名を待つ状況にある。CSWのマービン・トーマス代表は、「インドの改宗禁止法やパキスタンの冒とく法がどれだけ宗教的緊張をあおり、宗教的少数者をターゲットにしているかを見てきました」と言う。

ネパールでは2015年9月、憲法が改正され、新たに他人を改宗させることを禁じる条項が盛り込まれたが、実際に改宗の禁止を規定する法律はこれまで成立していなかった。しかし、CSW(英語)によると、憲法改正後の16年6月には、キリスト教の漫画冊子を配ったキリスト教徒8人(うち1人は牧師)が逮捕されている。8人は、改宗を禁じる新憲法の条項に違反したとして同国で初めて起訴されたが、審理が数回延期された後、同年12月に無罪を言い渡されている。

CSWによると、バンダリ氏が法案に署名したのは、国連総会でネパールが国連人権理事会(UNHRC)の新理事国15カ国の1つに選ばれたのとまさに同じ日だった。冒とく法を有するパキスタンもまた、UNHRCの理事国に選ばれた。

トーマス氏はこう主張する。「私たちはネパール政府に、この不当な改宗禁止法を廃止し、(他人の改宗を禁じる)憲法26条第3項を修正するように強く求めています。それは、この2つとも、信教の自由を制限するものであり、国際法に基づくネパールの立場、つまりネパールがUNHRCの理事国であることと矛盾することになってしまうからです」

「改宗禁止法」と呼ばれ、問題視されているのは「刑法第2074号」。その中でも特に第9部160条は、宗教表現や信条を広範囲に制限する懸念が持たれている。例えば、宗教団体が慈善活動をしたり、自身の信仰について語ったりする行為も改宗を促すものとみなされてしまう可能性があるという。

さらに、CSWが以前から警告していたのは、「宗教感情を害する行為」を禁じるという同法第9部158条。これは、イスラム教徒が、非イスラム教徒に自身の宗教を冒とくされたとして反撃しても罰せられないというパキスタンの冒とく法と似ている。改宗を禁止する法律はインドやミャンマーなどの国にもあるが、宗教的少数者に対する迫害を正当化するために使われるケースもある。

ネパールのロカマニ・ダカル国会議員は8月、宗教的少数者に混乱を引き起こすとして、改宗禁止法の問題視されている2つの条文は削除すべきだとし、次のように述べていた。

「ネパールは、国内法を起草するとき、信教の自由や人権を守る国際条約の調印国であることを忘れてしまっているように思えてなりません。『国際条約の署名国であるネパールが、国内法に関してはまったく別のことを行う国だ』などと、世界の人々にどうか言わせないようにしてほしいものです」

ネパールは人口の約8割がヒンズー教を信じており、2006年までは国教とされていた。一方、米クリスチャニティー・トゥデイ誌(英語)によると、キリスト教徒は1960年までは同国での居住を禁止されていたが、その後、年10〜20パーセントの割合で増加し、アジアで最も教会成長が著しい国の1つとなっている。2015年には、ネパールの人気フォーク歌手、ラジュ・パリヤーさんが洗礼を受け、話題を集めた。しかし、人口比で見ると、キリスト教徒はまだ1・4パーセントにすぎないという。

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