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聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

2017年8月5日18時34分 コラムニスト : 中西裕人 印刷
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2016年9月、ダフニ港へ到着し、いつものように大きなバスに乗り、首都カリエを目指した。

この時期は夏ともあって巡礼者の数も多く、カリエの街のあちらこちらで、バスを待つ巡礼者たちがワイワイと賑やかに話し、声がやむことがないくらいだ。

とりあえず、いつものようにカリエから徒歩10分のクトゥルムシウー修道院に向かい、今晩は泊まらせてもらうことに決めた。この修道院も徐々に整備がなされ、修道院の外には新たな宿坊が完成されていた。

初めてその部屋を借りたのだが、清潔でとても快適に過ごせた。ただ、修道院の外のためシマンドロ(板木)を聞き逃す可能性があり、注意しなくてはならないのが難点である。

翌朝、祈りを終え、我々は再びあのメギスティス・ラヴラ修道院を目指した。カリエでミニバンに乗り込み、10数人はいただろうか、いつものように向かった。エーゲ海を左に見ながら、クネクネ、ガタガタと道は進む。

すると、上り坂の途中、運転手が何やら、急に停まった。運転席の窓から身を乗り出し、後ろに目をやった。すると、「Oh, No!」と・・・。そう、後ろのタイヤがパンクしたのであった。

我々を含む乗客は全員降ろされ、運転手が作業をするから数分待ってくれとのことだった。当然乗客から、暑いだの、急いでくれなど文句を言う人が現れるものだと思った。しかしながら、そのような人は誰もいなく、みな静かに、いや賑やかにただ待つのであった。

私にとっても、バスをチャーターしない限り、このような道で停車して撮影をすることができないため、絶好のチャンスなのであった。雄大なアトス山を背に、パンク姿も何か絵になる。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

慣れた手つきでパンクの修理を始め、ものの10分でスペアタイヤに交換し、何事も無かったかのようにバスは出発したのであった。

数分後、ラヴラ修道院へ到着。ここへ来ると、不思議な感覚に陥る。現実なのか、過去なのか、未来なのか、地球上なのか・・・と、以前もお話しさせていただいたが、今回もまたそうだ。

ここは、アトス半島の東端に位置し、一番古く、遠い修道院である。外のテラスには、のんびりと猫が過ごす。なんだか気持ちよさそうに伸びをして、カメラに目を向ける。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

昼間は、馬も修道院の中を自由に歩き回り、花と戯れる。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

いつものようにあの働き者のM司祭もいた。シマンドロを叩き、祈りの時を告げる。叩きながらも私に気付き、優しい目で頷(うなず)いてくれた。そして、いつものように祈りが始まる。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

晩の祈りが始まる前、巡礼者たちは扉が開くまで、おしゃべりをして待つ。ガヤガヤとその声は決して鳴りやむことはない。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

朝の祈りでは、修道士、巡礼者たちによっては外で祈る者、海の前に出て祈る者もおり、聖堂でなくても祈る場所はどこでも許されている。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

誰もがみな個人に任され、ここで過ごしていることが分かる。ここの祈りの場とは、やはり、強制、苦行などという言葉は1つも見つからず、神と一対一、つまり、自分と神との関係のみで自らを考える場なのかもしれない。そんなことにいつも気付かされるのである。

ある修道士は聖堂の外で、聖堂内の至聖所に向かって十字を切る前、目をつむり続ける。彼は何を思っているのだろうか。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

ここへ来るとのんびりと、自分のこと、人のこと・・・。いろいろなことを考える時間が増えていることに気付く。ラヴラは、私にとって自分の過去、未来を深く考えさせてくれる場所なのである。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(33)再びラヴラ 中西裕人

次回予告(8月19日配信予定)

ヴァトペディ修道院を目指します。

写真展情報

9月7日(木)より、キヤノンギャラリー銀座にて、中西裕人写真展「記憶〜祈りのとき」を開催します。2015年7月に開催した「Stavros アトスの修道士」の続編となります。ぜひお越しください!

<会期>
キヤノンギャラリー銀座 9月7日~13日
10:30~18:30(最終日15:00まで)日、祝休館
キヤノンギャラリー名古屋 9月28日~10月4日
10:00~18:00(最終日15:00まで)日、祝休館
キヤノンギャラリー福岡 10月12日~24日
10:00~18:00 土、日、祝休館

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中西裕人

中西裕人(なかにし・ひろひと)

写真家。1979年生まれ。東京都杉並区出身。日本大学文理学部史学科卒。外苑スタジオ勤務後、雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)専属フォトグラファーを経て独立、雑誌、広告、webを中心に活動中。2014年に洗礼を受ける。父は日本ハリストス正教会司祭であり、年に数回共にアトスを訪れ修道士の生活などに密着した取材を続けている。

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