3年連続でイラクの「モスルではクリスマスの鐘が鳴らない」とアッシリア人の司祭が語る

2016年12月15日16時35分 記者 : 行本尚史 印刷
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+3年連続でイラクの「モスルではクリスマスの鐘が鳴らない」とアッシリア人の司祭が語る
ジュネーブの国連本部でメディアに向けた共同研究の発表で発言するエマヌエル・ヨウクハナ神父=12日(写真:Ivars Kupcis / WCC)
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エマヌエル・ヨウクハナ神父は、イラク北部の都市・モスルでは3年連続でクリスマスに教会の鐘が鳴らないことを残念に思っているという。世界教会協議会(WCC)が13日、公式サイトで伝えた。

同神父は、2014年6月ごろ、イラクで2番目に大きい都市の周辺にいたヤジディ教徒やキリスト教徒のような宗教的少数者たちが、過激派組織「イスラム国」(IS)、アラビア語でいう「ダーイッシュ」によるおぞましい猛攻撃に直面し始めたことを詳しく語る。モスルはかつてイラクのキリスト教の主な中心地の1つであったが、それは再びキリスト教徒に対する大量虐殺の中心地になってしまったと、同神父は語った。

「10月以来、今月が解放の2カ月目です」とヨウクハナ神父は語ったが、ISが軍事的に負けた後に何が起きるのか、まだ多くの心配があるという。

「うれしいことに、何千人ものキリスト教徒があの過激派たちから逃れることを余儀なくされた私たちの故郷の地が取り戻されつつあるのですが、その一方で、将来に何が起きるのかが心配です」とヨウクハナ神父は12日にジュネーブにある国連で語った。

アッシリア人キリスト教徒の指導者でCAPNI(北部イラク・キリスト教援助プログラム)の最高責任者であるヨウクハナ神父は、12日の記者会見と、WCCや、ACTアライアンスの加盟団体であるノルウェー教会援助(NCA)が発表した報告書に関するセミナーで発言した。

11月28日にオスロで初めて発表されたこの報告書は、「シリアとイラクの少数者たちを保護する必要性」と題したもの。それはノルウェー外務省の資金援助を受けた。

「私たちはいつの日か故郷の町や村に帰ることができるようになると確信していました。私たちはこの希望のうちに生きているのです」とヨウクハナ神父は語った。

キリスト教徒やヤジディ教徒を含め、イラクの宗教的少数者たちの多くは同国北部に住んでいる。イラクのキリスト教徒で最も人口が多い集団を構成しているアッシリア人のキリスト教徒は、自らの言語を話し、自らをアラブ人であるとは必ずしもみなさないと、この報告書は説明している。その結果、彼らは自らのことを独自の民族集団とみなしており、他の人たちからもそのようにみなされている。

ヤジディ教徒は主にクルド語を話し、イラクやイラクのクルド人地域に故郷がある。2003年以来、ヤジディ教徒の故郷であるシンジャールの多くはクルド人地域政府の支配下におかれてきているが、公式にはイラクの中央政府の支配権の下にあり続けている。

多くのヤジディ教徒たちは自らをクルド人とみなす気があるものの、彼らは自らを独特の民族集団とみなしているのだが、彼らはISの下で混乱に直面しており、それより前にでさえ、「完全に正当化が不可能なほど、悪魔崇拝者であるとして非難されている」という。

ヨウクハナ神父は、イラクのキリスト教指導者たちが、2016年11月現在で、同国に残っているキリスト教徒の数は25万人未満であると推計していることを繰り返し述べた。

WCCとNCAの報告書にある推計によると、2003年以来、イラクのキリスト教徒の約70パーセントが同国を離れており、残っている人たちのほとんどは国内避難民だという。

ヨウクハナ神父は、自らが撮ったキリスト教徒の地域における被害の写真を見せ、残念ながら、イラク国軍の軍人たちによって壁に宗派のメッセージが塗られてしまっていたと語った。

同神父は、それらの壁には「ドイツ人の聖戦主義者たちによって塗られた」というドイツ語のメッセージが吹き付けられていたことにも言及した。

「軍の作戦が始まったことを喜ぶと同時に、私たちは勝者がこの地域の人口を変えようと試みないことを望んでいます」とヨウクハナ神父は語った。「(以前と同じように)キリスト教徒の人口を取り戻すことはできないかもしれませんが、でもキリスト教の価値を取り戻してこの地に価値を付加することはできます」

同神父は、モスル周辺にはイラクの先住民族の共同体、ユダヤ人の共同体、マンダヤ教徒、すなわち洗礼者ヨハネに従う人たち、ヤジディ教徒、そしてキリスト教徒といった、幾つかの主な宗教的・民族的少数者たちがいることに言及した。「アラブ化の前に、彼らは皆イラクに住んでいたのです」。これらの民族のうち、イラクの学校のカリキュラムで紹介されたことがあるものはいない。

「私たちはダーイッシュが来て私たちを物理的に根絶しに来る以前に、無視すらされていたのです。私はこれが繰り返されてほしくないのです」と同神父は言った。

同神父は、100年以上も、自身の家族の3世代にわたって、大量虐殺の企てに直面してきたと語った。最初はオスマン帝国の下で、それから1933年にイラク国の形成の後に、そして今はISによる最近の企てである。

WCC教会と国際問題に関する委員会担当部長のピーター・プローブ氏は、イラクが、モスルのための戦いが終わった後の「リトマス試験」に直面していると語った。「社会の多様性が宗派主義に対する最善の砦です」と同氏は述べた。

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