ユニセフ・アジア親善大使のアグネス・チャンさん、サイクロン「ウィンストン」被災地の支援訴え

2016年3月25日20時33分 記者 : 守田早生里 印刷
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サイクロン「ウィンストン」の被災地支援を訴えるユニセフ・アジア親善大使のアグネス・チャンさん=24日、東京都品川区のユニセフハウスで
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今月7日にユニセフ・アジア親善大使に任命された、歌手でカトリック信徒のアグネス・チャンさんの任命状署名式が24日、東京都品川区のユニセフハウスで行われた。1998年から日本ユニセフ協会の大使として活動をしていたアグネスさんは、「これからは、アジアの子どもたちの状況を世界へ発信していくこと、また世界の子どもたちの現状をアジアに発信していくことが私の任務。責任は重くなったが、これからも子どもたちの幸せを願う心は変わらない。一生懸命頑張りたい」と決意を語った。

アジア親善大使として初仕事となったのが、サイクロン「ウィンストン」で甚大な被害を受けたフィジー共和国での視察だった。20、21日の2日間という強行スケジュールだったが、精力的にさまざまな地域を周り、その現状を映像と言葉で伝えた。

カテゴリー5に分類される巨大なサイクロン「ウィンストン」がフィジーを襲ったのは、今年2月19日から21日の3日間。フィジーの歴史上、最も強烈なサイクロンだった。同国は、1970年に国が独立。その後も、民族紛争、クーデターがたびたび発生し、現在では2014年の総選挙で選ばれたフィジー第一党のバイニマラマ政権が続いている。

国民の半数以上がキリスト教徒で、約330の島々からなる国土には、教会が立ち並ぶ。広大なサトウキビ畑が広がり、青い海にマリンスポーツが盛んなこの国では、砂糖と観光が国の経済を支えていた。初等教育純就学率はおよそ99パーセントだ。アグネスさんは、「今まで訪れた支援の必要な国に比べて、この国はまだ良いのではないか・・・とフィジーに到着するまでは思っていた」と話した。

しかし、情勢の不安定さが続いたこの国の体力はもろく、サトウキビ畑は壊滅状態。重ねて、サイクロンが襲う前の数カ月は、エルニーニョ現象の影響で数カ月間雨が降らないなど、天候も安定しない状態が続いていた。今回の被害で、全国土にある学校の約55パーセントが損壊。子どもたちにも大きなダメージを与えた。

倒壊した家屋の復旧は、遅々として進まないが、それでも生活を立て直すため、自分の家は落ちている廃材などを利用して、自分たちの手で修理している。自給自足の生活をしている家族も多いが、荒れ果てた農地からは収穫が見込めず、今後の子どもたちの栄養なども懸念される。

フィジーでは習慣として、食事は男性が先に食べる、その次に女性、そして最後に子どもたちが食べる。食物自体が不足している場所で、子どもたちの口に入るものがどれだけあるのか。アグネスさんは、とても心配だと話した。

被災後、隣国のオーストラリアやニュージーランドからの援助が入った。フランス、そして日本からも支援があった。しかし、被災から1カ月がたち、援助隊が帰国、支援も徐々に減ってきている。アグネスさんは、「支援が急激に減る。これからが問題」と話した。

ユニセフ・アジア親善大使のアグネス・チャンさん、サイクロン「ウィンストン」被災地の支援訴え
サイクロンの暴風と高潮で全壊したエスター・コリタパさん(13歳)の家で。被災から1カ月。幹線道路から離れた農村部やオバラウ島などの島嶼部の人々の暮らしの復旧は、まだ進んでいない=21日、オバラウ島トコウ村で(写真:日本ユニセフ協会/2016/Taura)

離島にあるカトリック系の小学校を訪ねたアグネスさんは、「やっと土台だけ残った校舎の一部で、ユニセフの支援によって屋根をつけた。そこで、たくさんの子どもたちが勉強をしていた。図書館からは、ほとんど本がなくなってしまった。心に傷を負っている子どももたくさんいる。サイクロンの恐怖がトラウマになってしまって、カウンセリングを必要としている子どももいる。本当に心が痛かった」と話した。

アグネスさんが訪れた海沿いの村では、サイクロンが上陸したときに高潮と重なり、津波のような大きな波が襲った。その波によって建物が流され、家を失った人々は、避難所での生活を余儀なくされている。

この村では、生活水の確保も大きな問題となっているが、学校の再建が進んでいることから、学校では安全な水が確保できる。子どもたちは、ペットボトルのような容器を学校に持参し、水を入れて自宅に帰るという生活を続けている。

ユニセフでは、ここ1カ月の間に緊急援助をしてきたが、330にも及ぶ離島にある小さな村々の全容を把握するには至っていない。アグネスさんは、「まずは子どもたちの栄養状態、衛生状況などを把握するために、村を調査することが必要。これから、蚊の発生などにより、伝染病が蔓延(まんえん)する恐れもある」と話した。

最後にアグネスさんは、「フィジーは私にとって、憧れの国でもあった。青い海に浮かぶ洋上コテージでいつか素敵な休暇を過ごしてみたいと思っていた。しかし、今回、私が見たフィジーは全く違っていた。彼らの生活は厳しく、サイクロンに耐えられる国ではないということが分かった。『サイクロンが去った後、フィジーでは鳥もお腹がすいている』と言った現地の少女の言葉が、忘れられない。遊びに行くのではなく、これからは、支援活動をもっと積極的に行っていきたい」と話した。

講演後の本紙のインタビューに対し、アグネスさんは、「フィジーにも祈りが必要。現地では、家よりも何よりも先に教会の再建に取り組んでいた。とてもびっくりした。彼らの信仰には、頭が下がる思い」と語った。

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