9月に白紙撤回された、2020年東京オリンピック・パラリンピックの旧エンブレムの選考過程について検証していた外部有識者による調査チームは18日、旧エンブレムの1次審査で「不適切な投票があった」とする調査結果を発表した。朝日新聞が伝えた。
旧エンブレムの選考をめぐっては、最終審査で1位に選ばれた佐野研二郎氏(43)を含む8人のデザイナーに対し、組織委員会側から事前に応募要請があったことが明らかになっており、元東京地検検事の和田衛弁護士ら4人による調査チームが、選考過程を検証していた。
同紙によると、「不適切な投票があった」とされる旧エンブレムの1次審査は、計20票を持つ審査委員が104作品に対して1作品1票を投票し、2票以上獲得した作品が2次審査に進む仕組み。事前に応募要請をしていた8人の作品のうち2人の作品が1票しか獲得していなかったため、8人の作品番号を知っていた当時のマーケティング局長と企画財務局クリエイティブディレクターの2人が、審査委員代表で8人全員の1次審査通過を要望していた永井一正氏(86)に伝え、永井氏が残りの持ち票を、票が不足していた2作品に投票することで1次審査を通過させたという。
一方、2次審査以降は不適切な行為はなかったとし、佐野氏の作品を含む入選作品の決定に影響はなかったとしているという。
永井氏は、1966年の札幌冬季オリンピックのエンブレムをデザイン。佐野氏デザインの旧エンブレムがベルギーの劇場のロゴと似ているとして盗作疑惑が起こった際には、佐野氏の当初の応募案を一部修正したものだとして、盗作ではないと説明するなどしていた。