【インタビュー】異色のクリスチャン大工・大山利行さん まさにイエスの“弟子訓練”

2015年5月5日14時40分 インタビュアー : 竹村恭一 印刷
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+【インタビュー】異色のクリスチャン大工・大山利行さん まさにイエスの“弟子訓練”
埼玉県を拠点に注文住宅の設計・施工などを手掛ける工務店「サクタスタイル」の代表取締役である大山利行さん(54)
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職人技がものをいう大工の世界に、30を過ぎてから、しかも教会の移転に立ち会ったことがきっかけで入ったという、まさに異色の経歴の持ち主がいる。埼玉県を拠点に注文住宅の設計・施工などを手掛ける工務店「サクタスタイル」の代表取締役、大山利行さん(54)だ。七つ道具の入った腰袋を付ければ眼光鋭い職人も、お茶を飲んで一息付けば優しい“オヤジさん”に早変わり。“弟子”と共に笑い話に興じる姿があった。

話は、大山さんが大学時代、一人のエジプト出身の宣教師と出会ったことにさかのぼる。最初はただ英語を学びたくてついて行った。だが、その宣教師の誠実さや態度にだんだんと魅力を感じ、1年ほどで教会に行くようになった。「当時の私の基準と言えば、結局は自分の経験。そこには何の真理もなかった。そうやって自分の根拠のない自信が打ち砕かれたとき、神様の赦しなしには一歩も動けなかった」と、神を信じるようになった心情を語る。

大学を卒業後、いったんは出版社に入社。営業として5年間勤務した。ところが、30歳の頃、通っていた教会が移転することになり、それが大山さんの人生を大きく変えることになる。「プロでもない教会の人たちが協力し合ってビルの空きスペースを会堂に仕立て上げる姿を見たとき、こんな仕事がしたいと思ったんです」。迷わず転職を決意。家具メーカー勤務を経て、先代の社長に弟子入りした。既に妻子もある身。大工を志すにはかなりの遅咲きだった。

【インタビュー】異色のクリスチャン大工・大山利行さん まさにイエスの“弟子訓練”
昔ながらの釘を使わずに柱を組む技法を現代の内装に合わせてアレンジ。

当然、周りは自分より若い人ばかり。毎日怒鳴られ、へこみながら修行した。しかし、だからこそ今、会社の経営を引き継ぐようになった自分があると感じている。「もし最初に職人になっていたら、多分もっと人付き合いが下手で企画の提案や営業もできなかったはず。そんな自分の姿を、神様は『何一つ無駄にならないでしょ?』と笑って見ていてくれます」とほほ笑む。

そんな大山さんの最大の危機は10年前、先代から事業を引き継いだ頃に起こった。火事で社屋が全焼。資材も道具も何もかも失い、借金も抱えることとなった。大山さんは、自身の保険金を使って借金の返済を考えるまで追い詰められたが、聖書の言葉を読んで平静を取り戻した。「イエス様は自分が愛した人々に裏切られて、つばを吐かれても、人間全ての荷を背負った。そんな彼が『あなたの荷は軽い。どうやれば良いかは私が全て知っている』と言った。そこで『彼に委ねるしかない』と初心に帰りました」

つらい、つらいと思いながらも祈って日々を過ごすうち、新しい社屋が完成。インターネットで営業を始めたところ、徐々にまた仕事が入るようになっていった。「当時はちょうどリーマンショックで世の中の価値観がひっくり返った時。そうでなくとも、人はうまく行っているときは傲慢(ごうまん)になってしまいやすいもの。思い返せば、あの時に神様は古いものを取り去り、全く新しくしてくれたのだと思います」とうなずく。

【インタビュー】異色のクリスチャン大工・大山利行さん まさにイエスの“弟子訓練”
木目を生かしたデザイン。年月を経るごとに色合いの変化も楽しめる。

現在サクタスタイルは、国土交通省が設立した大工育成塾に加盟し、昔ながらの大工の技を持った職人育成も併せて行っている。一戸建てはまさに一つとして同じものが無く、現場の状況もクライアントの要望も全く違う。また複数の案件を掛け持ちすることも珍しくなく、これらに対応するには、“腕“だけでなく、職人同士の緊密な連携が必要不可欠だという。「長い時を一緒に過ごした仲間だからこそできることがある。イエス様も長い時間を共に過ごして弟子たちを育てたように、大工の世界も同じ」と感慨深げに口にした。

現在、日本では大手のハウスメーカーが住設機器などを大量に仕入れることで工事コストを下げ、その時々に応じて地元の工務店に仕事を回すのが主流。ハウスメーカーの家は画一的になりやすく、国産の良材をふんだんに使った家を造ってもらおうにもなかなかに難しい。

サクタスタイルではそこに目を向け、「20年、30年と時間が経過してこその風合いを感じてもらえるのが良い木の特徴。その変化をお客様に楽しんでいただきたい。当然一手間も二手間もかかりますし、金額もかかります。そもそも家はお客様にとって一生に一度ともいえる大きな買い物。私たちはその分、大きな責任をお客様からお預かりするということ。甘い世界でないのは当然」と、職人特有の鋭い目を光らせながら語る。

【インタビュー】異色のクリスチャン大工・大山利行さん まさにイエスの“弟子訓練”
現代の機能性やデザインに年月を経た職人芸が光る。温故知新という言葉を思い起こさせる仕事が“サクタスタイル”だ。

もちろん建築業界に限った話ではないが、とした上で、大山さんは「生き残るためには『私たちだからこそできるもの』を提供し、お客様にメリットを感じてもらう必要がある」と強調。サクタスタイルがいわゆる“流れ大工”を雇わず、職人を一から育成し、現場に送り出しているのもそのためだという。

「人=企業の力であり、腕が良いだけの下請け、孫請けの大工では決して信頼は勝ち取れない。まさにイエス様の行った“弟子訓練”です。また弟子だけではなく、お客様とも長い時を一緒に過ごして関係を築き、技術と共に志を伝えていくことが大事」と、熱い思いを語ってくれた。

■ サクタスタイル
http://www.sakuta-com.jp

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