2024年12月25日17時59分

ワールドミッションレポート(12月25日):バングラデシュ 決して失われない希望―バングラデシュの少女が祝うクリスマス(5)

執筆者 : 石野博

迫害下にあるバングラデシュに住む9歳の少女モリョムが祝うクリスマスは、神との関係の親密さ、喜びの大きさ、希望の明るさが、迫害のない豊かな先進国に住むキリスト信者の経験するクリスマスとは全く違うように見える。モリョムのように、まだ10代にもならない少女が、これほどまでに深くキリストに根ざして、キリストを信じ、迫害者を許して彼らのために祈るのだ。胸を打たれないわけがない。(第1回から読む)

無風状態の平和の中で飼いならされて、ゆっくり死んでいくキリスト教徒、激しい迫害の向かい風の中で、生き生きと命に輝くキリスト教徒、果たして、両者のどちらが幸いであるのか、深く考えさせられる。

そして聖書はこう言う。「光はやみの中に輝いている」(ヨハネ1:5)と。困難と迫害の暗闇は、確かに希望の光を際立たせるのである。もし今日この日、あなたが暗闇の中に置かれているのなら、神の御子はそんなあなたの暗闇を照らすために光として世に来られたのだ。あの迫害の国で希望の光をともし続けるたった9歳の女の子は、そんな励ましを私たちに投げかけてやめないのである。

オープンドアーズは、バングラデシュの地域協力教会を通じて、モリョムのような迫害の中で孤立して生きる子どもたちを支援している。この支援は、彼らの信仰のともしびが絶やされず、周囲からの圧力に負けないようにすることを目的としている。

世界中の兄弟姉妹からの支援により、こうした子どもたちは自分たちの聖書を手に入れ、自分たちの日曜学校を維持することができる。そこでは、信仰の種が彼らの心にまかれ続けている。それでも彼らは、今なお迫害の縄目の中にいる。祈りとともに具体的な支援が、モリョムのような子どもたち、そして日常的に迫害を受ける世界中の信仰者たちに「あなたは決して一人ではありませんよ」という励ましを提供するのだ。

「互いに愛し合いなさい」と言われた方の言葉をクリスマスの贈り物として目に見える形で表すことができるのは、私たち豊かさに恵まれている国に住む信者の特権だ。このような贈り物でキリストの心を具体的に表すこと、きっとこれほど素晴らしいクリスマスの過ごし方は他にないだろう。

バングラデシュの迫害下にある子どもたち、信者たちのために祈っていただきたい。

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■ バングラデシュの宗教人口
イスラム 89・0%
プロテスタント 0・5%
カトリック 0・2%
ヒンズー 9・1%
仏教 0・6%
土着の宗教 0・5%

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石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。