2024年12月22日19時46分

ワールドミッションレポート(12月22日):バングラデシュ 決して失われない希望―バングラデシュの少女が祝うクリスマス(2)

執筆者 : 石野博

モリョム(本名は伏せてある)は、イスラム教徒が多数派のバングラデシュで改宗した両親のもとで生活をする9歳の少女だ。キリスト信者だという理由だけでひどい偏見と迫害を受けるようなイスラムの強い地域で、モリョムは学校に通っている。彼女は聡明で、勉強が大好きだ。そんな彼女の夢は、いつか母親のように教師になり、生徒たちに主イエスのことを伝えることだという。これは、その信仰に立つ少女の驚くべき証しだ。(第1回から読む)

教師になりたいという願いと学ぶことへの意欲があるにもかかわらず、学校はモリョムにとって安全な場所ではない。毎朝学校に行くとき、彼女は、今日は侮辱されるのか、または嫌がらせを受けるのか、はたまたその仕打ちが他の子どもたちから来るのか、大人たちから来るのか、それがどこから来るのか、彼女には全く見当がつかない。迫害の矢は至る所から飛んでくるのだ。

「私は学校まで2キロ歩いて行きます。誰も私をリキシャ(人力車)に乗せたくないからです。リキシャに乗りたいと思っても、人々は私を乗せてくれません。彼らはあざけって否定的な意味で私を『クリスチャン』と呼び、他の人々にも私を乗せないようにと煽動します。リキシャに乗るのを拒否されるとき、本当に悲しくなります。でもそんな時は、イエス様に祈り、一人で歩き続けます」

このような言葉による虐待は、地域社会だけでなく、同級生からも受けている。「学校に行くとき、道でクラスメートに会います。彼らは私をあざけって『やーい、クリスチャン』と罵倒します。時にはレンガを投げられたり、押し飛ばされたりしますが、それでも私は学校に行くことをやめません」

ある日、モリョムは友達を探して一緒に行こうと試みたが、村の誰もがキリスト信者のモリョムと一緒にいるところを見られたくなかった。「学校に行く途中で、友達の家に寄ったことがあります。一緒に学校に行けるようになりたかったからです。すると彼らは『お前はクリスチャンじゃないか! イスラム教に戻れば一緒に行ってもいいが、クリスチャンじゃダメだ!』と」

モリョムは、学校では多くの時間を一人で過ごす。「学校のほとんどの人たちは、私をよく扱ってくれません。時々、彼らは棒で私をたたき『やーい、このクリスチャンめ!』と侮辱します。クラスメートと一緒に座りたくても、彼らは座らせてくれません。一緒に遊ぶことも許されません。彼らは『お前はクリスチャンだ。イスラム教に戻れば、一緒に遊んでやるし、仲良くしてやってもいい』と言います」(続く)

<<前回へ     次回へ>>

■ バングラデシュの宗教人口
イスラム 89・0%
プロテスタント 0・5%
カトリック 0・2%
ヒンズー 9・1%
仏教 0・6%
土着の宗教 0・5%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。