2024年10月3日20時48分

ノアの日のごとく 穂森幸一

コラムニスト : 穂森幸一

人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。洪水前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです。(マタイ福音書24:37〜39)

私はノアの洪水とは、単に大雨が降り、地上が水に浸かってしまっただけの状態ではなかったと思っています。ノアの洪水の前と後では、地球環境が一変してしまったのではないかと思います。

神様がこの地球を造られたとき、「神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった」(創世記1:31)と聖書にあります。神が納得し、満足される完璧な地球環境だったのです。一説によると、地球は水蒸気の膜で覆われていて、宇宙線、紫外線、放射線から完全に保護されていたといわれます。酸素濃度も今日より濃く、重力も今よりも若干弱く、気圧は人体にちょうど良く、地球全体が温暖で、あちこちに水の噴き出す泉があったといわれています。

私は過去に二度交通事故に遭遇し、十分に治療したつもりですが、雨の降る前とか嵐が接近する前には、天気予報ができるほどの神経痛を抱えています。もし気圧が安定した環境に身を置けたら、どんなに楽だろうかと夢想することもあります。

最上の地球環境があり、宇宙線による攻撃から細胞や遺伝子が守られていたら、人類には病気も老化もなかったかもしれません。また、水も空気も食べ物も最良のものを与えられていたら、創世記に登場する人物が信じられないほどの長寿であることも納得できます。重力の影響が緩和されると、巨大生物が存在していてもおかしくないという論理になります。ですから、古代の地層から超巨大な木の根っこや巨人の骨が発掘されても何ら不思議ではありません。

酸素濃度の高い環境で生活すると、成長が促進されるだけでなく、脳の機能が著しく良くなるといわれます。ノアの洪水以前に、現代社会をしのぐ高度な文明があったとしてもおかしくありません。エジプトに行ったとき、カイロ大学の考古学の先生がピラミッドとスフィンクスを案内してくださいました。その時、「スフィンクスには洪水に覆われた痕跡がある」と話されたのが印象に残っています。

私はピラミッドもスフィンクスも、ノア以前の先史時代の遺物なのではないかと、考古学の先生の説明を聞きながら考えていました。恐らくピラミッドは、クフ王が造ったものではなく、先史時代の遺物をクフ王がリフォームして、全体に大理石が貼り付けられたのではないかと考えています。その工事のために、洪水の痕跡が消えてしまったのではないでしょうか。そもそもピラミッドのような頑丈なものをなぜつくる必要があったのでしょうか。私は核融合炉のためではなかったのかと想像しています。

古代史を研究している学者が、古代の地層の中に、核戦争の跡ではないかという痕跡を見つけたという話を聞いたことがあります。ノア以前の世界は、私たちが想像する以上に文明が進み、邪悪で危険な世界だったのではないかと思います。「主は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった」(創世記6:5)とあります。

ノアの洪水の時、地軸は傾き、北極と南極は瞬時に凍り、地殻変動のために海底に沈む大陸もあり、失われた文明もあったのではないでしょうか。そこへ地球を覆っていた水蒸気が大雨となってなだれ込んできました。洪水後の地球環境は一変し、人類の寿命は上限が120歳になり(創世記6:3)、さまざまな病気も入り込んだのではないかと思います。

洪水後の世界は、限られた寿命の中で、私みたいに神経痛に悩まされる人もいるし、持病に苦しんでいる人もいます。頭脳も思うように働かず、思ったようには知恵も働かせることができません。この地上は最上の環境とは言えない状況です。だからこそ、天の御国を求める気持ちが強くなります。さまざまな障壁があるからこそ、へりくだりを学ぶことができます。

歴史を通して人類を見ると、愚かさの繰り返しです。全ての人々が力を合わせて協力していけば、誰も飢えることなく繁栄していけるはずなのに、権力欲にとりつかれた一部の人に振り回され、国家存亡の危機に陥ります。王朝は栄枯盛衰の繰り返しです。

これは企業でも同じです。足の引っ張り合いで商機を逃すこともありますし、派閥抗争で会社が傾くこともあります。戦争の愚かさはもっと悲惨です。他国を侵略して栄華を極めることなどあり得ません。日本に原爆が2発も投下されて、恐ろしさは十分に証明されたはずなのに、隙あれば核兵器を用いようとする国家が絶えないのはどういうことでしょうか。

今の時代は限りなく、ノアの洪水前の世界に近づいています。人の子(キリスト)の来臨も近いのかもしれません。この地上ではなく天に目を向けることが求められています。

万物の終わりが近づきました。ですから、祈りのために、心を整え身を慎みなさい。(1ペテロ4:7)

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穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

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